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葬儀の現場から

第11話「老老葬式(ろうろうそうしき)」

 老人が老人の介護をすることを、老老介護(ろうろうかいご)と呼んだりするようです。核家族化が進み家庭の事情などにより高齢者が高齢者の介護をせざるをえない状況のことらしく、介護者側の体力が限界になり、共倒れや心中などがニュースで取り上げられているように、様々な問題を併発しています。
 葬儀業界もまさにそうで、100歳近い仏様のお葬式ということは・・・喪主が子供なら80歳ぐらいになります。
 確かに経験がものをいう葬儀ではありますが、なんせ喪主は体力勝負。
 耳も遠くなっていたり、「もう、目も足も悪いから・・・」と式場にさえ来れない方もいらっしゃるほど、状況は深刻です。
 故人は子供がいない為、90近い高齢の奥様が喪主を務めたこともあります。
 そのほとんどは、名前だけ喪主として挙げているだけで、実質の葬儀運営は子供や孫、甥姪が行っており、喪主様は借りてきた猫状態。
 しかし、中には本当に高齢の喪主様がひとりで執り行うこともあり、正直わたくしたちもと惑ってしまうのです。
「どうしたら、ええんやろ」
「もう、何にもわからんねん」
「は〜、どないしょう」
 長年連れ添った連れ合いを亡くした悲しみのなか、ますます冷静な判断はできず、葬儀の打合せも前に進みません。当たり前です。本来なら、隠居生活を過ごしていてもおかしくない年齢です。
 何とか、遠縁の親戚さんに連絡を取ってもらい、その方が来られるまで1日待ってから打合せをします。しかし、葬儀も無事済んだとしても、本当に葬儀料金を払って頂けるのだろうかと、振込まれるまでドキドキしながら過ごさなければいけません。
 お通夜や、49日間の火の番も心配です。
明日、式場に行ってみたら燃えてなくなっていたらどうしようなどと、家に帰ってからも気がかりになってしまいます。

 辛かった介護の先にあるものは、何なのでしょうか。
 平和に溺れず、元気なうちに考えておきたいものです。

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