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葬儀の現場から

第15話「母国葬送」

 在日に方の中には、お亡くなりになったあと、韓国(母国)にご遺体を搬送し埋葬する方がいらっしゃいます。
 韓国は土葬の風習が根強く残っております。
 なので、お骨ではなくご遺体そのものを飛行機で搬送することとなる為、日本ではお通夜だけを行い、次の朝早くに韓国へと出棺、韓国でお葬式して埋葬という流れになることがほとんどです。
 そして、この日本での出棺までの一連の流れを、通称「母国葬送の儀」と呼んでいます。
 「母国葬送」と聞くと、たいがいの場合、ご遺族はクタクタになってしまいます。
 ご遺体が海を越えるのです。喪主様は役所や領事館や空港に飛び回り許可を取らなければいけませんし、韓国でのお葬式の手配もしなければいけません。
 現地に頼れる親戚がいればよいのですが、いない場合はご遺族が韓国まで行かなくてはいけません。
 そして、大きな苦労が・・・占術です。
 韓国では日付を見る方がいらっしゃいます。日本でも、引越の日取りや結婚式の時期を見てくれる方がいますが、それと同じようなものだと思います。
 ご葬儀の日取りから始まって、細かくは納棺の時間まで決まっています。
 例えば明日すぐにお葬式を希望していても、3日後と言われてしまえば、3日後。
 飛行機や許可申請の手続きで、ただでさえご葬儀まで時間がかかるのに、占いのために更に延期になってしまいます。
 以前担当させて頂いたお葬式でも、亡くなったのが3日でご葬儀が9日という何とも気の遠くなるようなこともありました。
 全ての並み居る条件を何とかクリアし、無事に埋葬を終えて日本に帰って来られたご遺族にお会いすると、「本当にお疲れ様でした」と、心から思ってしまいます。
 でも、人生における一大事ですので、楽に済ませようとするほうがおかしいと言う方もいらっしゃいます。こうやって、苦労をしながらも故人の遺志を尊重してあげることが、故人への一番の供養となっているだろうし、残された遺族も結果的に満足できるのかもしれません。

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