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経済産業大臣認可 第1784号 全日本葬祭業協同組合連合会 大阪市規格葬儀取扱指定店

葬儀の現場から

第64話「エンディングノート」

ある日大切な人が急に倒れ、救急車で病院に運ばれ、そのまま意識が戻らなくなり病の床に伏す。

あまりにも急で、家族はどうしていいかわからず、慌てふためきます。
どのような治療を望んでいるのか、自宅で療養したいのか、病院で入院したいのか、誰に伝えればよいのか、友人はどこまで伝えればよいのか。

そして、最期の時を迎えたとき、何をしたらいいのか、どのような葬儀を行えばいいのかわからず、家族の方は悲しみと困惑の中、様々な決断を迫られ、結果ご自分や故人様の思いとは違った葬儀を行ってしまったと言われる方も少なくありません。

そのような事態を回避するために、
エンディングノート(遺言ノート)というものを書くことをおすすめ致します。



エンディングノートとは、万が一の時に備えて、病床に伏した場合の介護・治療法、葬儀の希望・埋葬方法、財産分与・保険・家族へのメッセージなど伝達事項をまとめたものです。
遺言書のように法的拘束力はありませんが残された家族にとってこれほど心強いものはないと思います。



先日、そんなエンディングノートを書かれていたおばあちゃんがいました。
周りの人からも言われるほど、何事にも慎重で用意周到、弁の立つ裏表の無い性格の方でした。
ご自身の事で幾度となく当社に相談に来られていたので、深く印象に残っている方の中の一人です。
 

しばらく顔を見なくなったある日のこと。
聞き覚えのある名字の方から、1本の電話が当社に入りました。
 

「○○さんはおられますか?母が亡くなりまして」
 

詳しくお伺いすると、
 

「私が死んだ時は、この棚に入っているノートの通りにしてくれたらいいから」

と、亡くなる数日前におばあちゃんから聞いていたそうです。
そして、そのノートの中には、川上葬祭の○○に連絡して欲しいとのご要望が書かれていました。
 

早速ご自宅にお伺いし、たくさんのご親族がおられる中、お顔を拝見させて頂くと、そこにはいつも顔をくしゃくしゃにしてご自身のお話をしてくださったおばあちゃんの安らかなお顔がそこにはありました。
思わず、ふぅ〜っと長い溜め息が出てしまい、少し涙ぐむ自分がいました。葬儀社とお客様との関係といっても、お話をさせて頂いた方がお亡くなりになるというのは予想以上に辛いものです。
それから、おばあちゃんのお身体にドライアイスを当てながら、先程電話を頂いたご長男から事の経緯を伺いました。
ご長男が2ヶ月前に会った時は元気いっぱいで自分でご飯を作って食べていたそうです。
しかし、数日前に体調を崩され病院に入院していたということでした。
 

「しかし元気なうちから、先を見越してこのノートに自分の死後のことを書き留めていた母はすごいと思う」と、私に話して下さいました。
 

母が亡くなってから開いたノートの中には、
 

・身内とごく少数の親しい友人で送って欲しいということ
・連絡して欲しい人のリスト
・川上葬祭で事前見積もりを出していること
・遺産相続について
・自分の人生について
・お墓や納骨について
・家族への最後のメッセージ
 

など、残されたご家族がこれからどうしたらいいのか。ということが、事細かに書かれていたそうです。
そのノートの最後には昔飼っておられた愛犬と写っている満面の笑みの故人様の写真がありました。

「遺影写真まで準備しているなんて、ほんと何でも準備が良すぎるよ」
 

苦笑いでそう語るご長男の頬には一筋の涙がつたっていました。


 

しばらくして、ご家族が落ち着いたところで、葬儀の打合せを始めさせて頂きました。  しかし、おばあちゃんが事前に見積もりを出していたこととノートのおかげで打合せが通常の半分以下の時間で終わってしまいました。あまりにも打合せがスムーズに進み過ぎて、「おばあちゃん様様だね」と、周りの方もおっしゃっていました。
 

後日、おばあちゃんの希望していた通りの通夜と葬儀が近親者によってしめやかに行われました。


 

誰もが生きている限り、いずれ辿り着く人生の終着駅。
その駅に向かって準備をされる方もいれば、そこまで真剣に考えない方もいます。
ただみなさん口を揃えて言われるのは、
 

「なるべく家族に迷惑をかけたくない」

しかし、人間誰しも生きているだけで誰かにお世話になってしまうのも事実。
そのお世話になった方達への恩返しや感謝の気持ちを伝える最上の手段の一つが
『エンディングノート』だと、このおばあちゃんの葬儀を通じ感じました。


 
 

そんなエンディングノートを題材にした映画が10月1日より上映されています。
 

『エンディングノート』   監督:砂田麻美
 

高度経済成長期に熱血営業マンとして駆け抜けたサラリーマンが、定年退職後間もなくガン宣告を受けるも病と真正面から向き合い、最期の日まで前向きに生きる姿を、実の娘の目線で追う。「孫と全力で遊ぶ」「葬式のシミュレーション」など、“段取り命“で会社人生を送ってきた父親らしい余命の過ごし方が微笑ましくも感動を誘うドキュメンタリー。
 

監督の砂田麻美さんがガン宣告を受けた実父をビデオカメラで撮り続け、それを編集した作品ですので人生の最期というものが生々しく映し出されています。
ご参考までに・・・。


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