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葬儀の現場から

第97話「おしゃべり」

「最近、近所の○○さんがさ〜。 そうそうそう。 アハハハハ。 」

「芸能人の○○によく似てるって言われない? そ〜やろ〜。 ギャハハハハ。 」

これらの会話は、私が故人様を霊柩車にお乗せして、火葬場まで移動している中、
一緒にご乗車されましたご遺族お二人の会話です。

そしてこのお話は、私がやっとご葬儀の現場の担当を任せて頂ける様になり、色々な形の
ご葬儀を経験し始めていた頃のお話です。

故人様が病院でお亡くなりになられ、ご自宅に帰られるのは無理だという事で、
弊社の所有するご安置施設の方でお預かりをさせて頂きました。
通夜、告別式を行わない直葬のプランでしたので、火葬日当日、ご遺族にお集まり頂き、
安置施設で最期のお別れをして頂きました。
短いお時間でのお別れではございましたが、最後にお柩の上へ花束を置いて頂き、
霊柩車の方へご上棺。

そしてあっという間にご出棺のお時間です。

一緒にご遺族のお二人も霊柩車にお乗りになられ、故人様、ご遺族二人、私の四人で
火葬場の方まで向かう車中での会話が冒頭の世間話です。

ここまでお読みになられた方はどのように感じましたでしょうか?

故人様が可哀想に感じますでしょうか。

それとも、ご遺族のお二人が常識のない人達に映りますでしょうか?

私はそうは思いません。

なぜかと言いますと、ご遺族の会話の最後におっしゃられた一言。

「この人は本当におしゃべりが大好きでね。いつもこうして三人でバカみたいな
話をして笑ってたのよ。湿っぽいのが嫌いな人だから、最期もいつも通りに、
笑って見送るわ」

実は故人様のご要望に応え、ご葬儀は身内のみでの直葬をお選びになられたという事でした。
そして最期はご自身達の送りたい形で送ってあげる。

必ずしも世間一般の送り方が正しいと言う訳ではございません。

色々な考え方、形があって良いと私は思います。

この時、私が感じたのは、決して

小さなご葬儀=淋しいご葬儀

ではないという事です。
規模の大小に関わらず、送る側の想いがあれば一緒だということです。

一体、誰の為に行う事なのでしょうか。

その事を初めて感じ、教えて頂いたご葬儀でございました。

おしゃべり好きな故人様に暫く会えず、お話することがたくさんあったのでしょう。

火葬場へ到着するその時まで、車内は大きなしゃべり声と笑い声で溢れておりました。

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