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葬儀の現場から

第99話「一番の贈り物」

先日の葬儀の出来事です。
ご親族は離れて暮らされている様で、久しぶりの再会といった感じでした。
なかには初対面の方も数名おられた様で、
「初めまして○○の娘の○○です」
「何年振りですか?○○の時にお会いして以来ですね」
「○○ちゃん大きくなったのね。幾つになったの?早いですね」
などと言った会話が聞こえてきました。

ただ久しぶりの再会とあってか会話も続かず、どことなくぎこちない
雰囲気が漂い、時間をもてあましている様です。

そんな時、お孫様と思われる女性が
「明日この写真を棺に入れたいのですが構いませんか?」
と沢山の写真を持ってこられました。
「是非入れて差し上げて下さい」
とお答えしたところ、その会話を聞いていたご親族の方が 
「私もその写真を見せていただけますか?」
と言われ、それを機に皆さん集まって写真をみておられました。

「この写真○○にみんなで行った時の写真じゃない?」
「お婆ちゃんの若い頃、今のお母さんにそっくり!」
「このお婆ちゃんに抱っこされている赤ちゃん誰?」
「この服、お婆ちゃんが買ってくれた服だよ。確か小学校の入学祝い○○ちゃんと
 お揃いで買ってもらったよね」

などと自然と会話が弾み、ぎこちなかった式場の中がだんだん和やかな
空気につつまれてきました。
その日のお通夜のお食事の席は昔話で盛り上り、故人様を通じて集まった
人達に新しい出会いの場がもうけられた瞬間でした。

あるお寺様から
「葬儀というものは、悲しいものですが同時に命の継承という縦の繋がり、人と人の
横の繋がり、そう言った絆を確かめ合う場でもあります。
また体は消えても心と魂は残るもの。だからお亡くなりになった後も故人様との
新たな出会いはあるものです」
と教えて頂いた事を思い出しました。

まさにこの事だと思いました。写真をきっかけに、故人様との思い出を話す事で
お互いに故人様の知らなかった新たな一面を知る事ができた様です。

人が一人亡くなる事で、目に見えない歯車がくるい始める事は多々あります。
葬儀の席で揉め始める事も珍しくありません。
その度に「火葬までの時間はあっと言う間なので、今は故人様の事だけ考えて
頂きたいのに・・・」
と、やりきれなくなる事もあります。
ですから、今回の様に葬儀をきっかけに仲良くなるご親族を見ると
心が温まってまいります。

そんなご親族の様子を見て私以上に故人様が喜ばれたのではないでしょうか?

翌日、その方は沢山の想い出とお写真を胸にご親族に見守られながら
旅立って行かれました。

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