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葬儀の現場から

第129話「お孫様の気持ち」

お通夜前のひと時、お孫様が柩に寄り添い、時折りお柩の窓から大好きだったお祖父様の顔を覗きこんでいました。

式場ではお通夜開始まで1時間と迫っており、ご遺族、ご親族様は身支度や挨拶などでバタバタとするなか、お孫様は柩の中で微笑むお祖父様の顔をじっと眺めては、 きっと大人の誰かから聞いたのでしょう、お線香の火が絶えないように、短くなったお線香の頃合いを見ては、新しいお線香を供えるという光景が続いていました。

お通夜開始時間が迫り、私がお寺様の机の上の準備をしていると、お孫様が横に来て「何しているの?」と話しかけてきました。 「お坊さんがお経を読めるように準備しているんだよ」というと、「ふーん」と言いながら横で私の準備の様子を黙ってじーっと眺めていました。

ご葬儀当日、ご両親に連れられて式場にやって来たお孫様は、早速、柩の横を陣取って、 今日もお線香の火が絶えないように見守ってくれました。

ご葬儀の開式時間が近づき、昨日と同じように私が机の上を準備していると、お孫様が来て「これは、ここに置いたらいいんだよね?」とお手伝いをし始めたのです。 私は思わず、「よく覚えてたねー、昨日見てただけなのにね」とびっくりしましたが、 「手伝ってくれてありがとう」と伝えると、満足気な表情でテキパキと動いてくれました。

お寺様の読経が終わり、大切な故人様とのお別れの時間がやってまいりました。 お柩の蓋を開け、中に思い出の品やお花を入れます。

ご遺族、ご親族様にお花をお渡ししていたときお孫様が、「僕も配りたい!」と今度はお花を配る手伝いにきてくれたのです。 小さなお孫様が一所懸命に手伝う光景を皆様が微笑ましく見ておられました。

故人様の弟様が、お孫様を見て「兄に良く似ている。いつも勉強や仕事を手伝ってくれる人やったからなぁ、この子はお祖父さんの血を受け継いでいるよ」と笑っていました。

そんなお孫様が大好きだったお祖父様は、お孫様がお手伝いをするといつも褒めていらっしゃったようです。 だからお葬式ではきっとお祖父様のためにお手伝いをしたかったんだということに気づきました。

こんな小さなお孫様であっても、大好きだったお祖父様の死を、子供なりに理解して、受け入れているんだと。 それはお手伝いをすることで、お祖父様が「よくできたな、えらいぞ」って褒めてくれ、そして安心して休んでくれると子供ながらに思ったのではないでしょうか。

そんな小さなお孫様のお祖父様を思う気持ちに触れ、お葬式って本当に何かを教えてくれる、何かは勿論、人それぞれ違うかもしれませんが、何かを残し、何かを引き継いでいくものなんだと改めて感じました。

そして葬儀社の一人としてお手伝いしただけの私でさえ、自分が祖父母に教えてもらったことを思い出し「もっとがんばらなきゃ」と思ったこともすごいことではないでしょうか。 このご縁に感謝しつくせない気持ちでいっぱいになったご葬儀でした。

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