葬儀

「偶然か、それとも必然か」

私達の仕事は、本当にいつ何時ご依頼をいただくかわからない仕事です。

そして、それはどこの地域の方なのか、弊社を以前からご存知だったのか、それともたまたま見つけて急いでお電話をされたのか、わからない時もたくさんございます。

 

最近は「終活」という言葉が飛び交うように、事前相談をされる方が少し以前に比べれば増えてきていることも事実です。

とはいえ、あんまり早くにお葬式の相談をするのも気が引ける・・・、なんだか縁起が悪い気がして・・・とおっしゃられる方もまだまだたくさんいらっしゃいます。

よくよく考えてみれば、私達は職業柄、「事前相談しておくと万一の時に、慌てずに済む」という自負はありますが、果たして自分の身内の相談をさっさとできるであろうかと考えれば、なかなかできないものかもしれません。

 

現実にその日が近づいているにしても、それこそ正に現実逃避したくなるのが、人の心というものではないでしょうか。

では、いざという場面に出くわしたとき、何もお葬式に関する情報が無い状態で、どこの葬儀社に頼るのか?

 

いろんな方がいらっしゃるのでしょうが、やはり周囲の方からの口コミの影響というのは大きいのかもしれません。

そんなことを切に感じたご葬儀の話です。

 

とあるマンションでのご葬儀の打ち合わせ。そのお家の方は、特に葬儀社を決めていたわけではなかったようですが、たまたま広告を見てのご依頼でした。

そして、ご挨拶すると「聞いたことあるなってみんなで言っていたのよ、商店街のところにお店があるわよね、朝、掃除とかしていません?なんか広告見てピンときて・・・」との事でした。

 

そして数日後、新たにご葬儀のご依頼。詳しいお話を伺い、住所をいただいてますと、

「○○区○○通○丁目○○番・・・○号棟・・・、えっ、このご住所ですと○○マンションですよね?はい存じ上げております。何階になられますか?かしこまりました」

そう、数日前にご依頼をいただいた方と同じマンションの方からのご依頼です。

このお家の方は役所の広告を見てとのことで、ご近所の方からも弊社の名前は少し聞いていたとのことでした。

こういうことは過去に経験がなかったわけではありません。

最近は大きなマンション群もたくさんありますから、そんなに不思議なことでもありません。

ただ、この数日後にまた、同じマンションの方からのご依頼が、となると正直驚きました。

 

このお家の方はこのマンションの住人で、弊社でご葬儀をされた方から弊社の事を聞き、そして依頼した、という経緯です。

 

私の経験上、同じ月に、同じマンションの、しかも同じ棟の方から3件ご依頼を受け対応したというのは初めてです。

そして弊社を知ったきっかけは、皆さんバラバラです。

バラバラではありますが、逆に共通するのは「なんとなく名前を聞いていて」ということです。

 

これは、ヒヤッとする言葉です。

「なんとなく名前を聞いていて」というのは、良く捉えれば「その地域での認知度が少し上がってきた」ということでしょうが、言い方を替えれば「よくは知らないけど、他も知らないし…」とも捉えられるわけです。

 

3件のご葬儀をスタッフ一同精一杯務めさせていただいたのですが、ご遺族皆さまが「頼んで良かったわ!」と思っていただけたのか、もしくは「別に普通の葬儀屋さんだったわ」、さらに「あー、頼まなければよかったわ!!」なんて言われやしないかと、情けないかもしれませんが戦々恐々としてしまいます。

でも、こういったある種の緊張感がお客様に喜んでいただけるような仕事になり、それが人伝えに様々なところで伝わっていく、このようなことの積み重ねが地域に根差し、信頼を得ていく一歩になっていくのだろうと感じるのです。

私達はその地域で必要とされる企業であるためにも、普段からいろいろな場面で「見られている」という緊張感は必要なのだと思います。

今は「なんとなく…」であっても、いつかは「○○さんがお宅に任せておけば安心っていっていたので」に変わるよう努力していかなければなりません。

 

この努力の繰り返しが、今回のようなたまたま同じマンションの同じ棟の方にご依頼をいただいたことも「偶然」や「不思議なこと」ではなく「必然」となるのだろうと思わされるご葬儀でした。