「天台宗」は、非常に長い歴史を持っています。平安時代に最澄によって開かれた仏教の宗派であり、本山は京都市と滋賀県大津市にまたがる比叡山延暦寺です。
天台宗の葬儀の特徴:「受戒」と「引導」が中心
「受戒」では、仏教の基本である三帰受戒と言われる三つの戒めを受けます。これを受けることで、僧として仏門にはいったと認められます。
「引導」では、この世での執着をすべて捨て、浄土に旅立つために導師が「菩薩戒偈」を唱えます。
引導の後には、下炬(あこ)を行います。下炬とは、導師が松明(たいまつ)を持ち、空中に梵字と円を描いたあと、遺体を焼く燃料に火をつける儀式のことを言います。実際に火をつけることはなく、火葬の前に行う一つの儀式です。
天台宗の葬儀の流れ
お通夜の際に行われる儀式として「剃度式(ていどしき)」と呼ばれるものがあります。これは、水やお香を使って故人の身をお浄めする儀式です。「剃度」といっても現在では実際に剃髪をすることはほとんどありません。この剃度式が終わった後に、一般的に戒名が与えられます。
葬儀の際は、導師によって「列讃(れっさん)」が行われます。阿弥陀如来に迎えられて故人が仏となり、その成仏をお祈りすることになります。
この列讃の後には棺が閉ざされるのですが、その後に、茶器を供える「奠湯(てんとう)」「奠茶(てんちゃ)」と呼ばれる儀式があります。
導師によって引導が渡されたのち、下炬(あこ・・・上記参照)を行い最後に回向文が唱えられて、葬儀は終わります。
一般的な葬儀の流れであり、地域や宗教家により作法が変わることもあります。
天台宗の葬儀の焼香の作法:3本の指でつまみ、手を添える
天台宗の焼香は基本3回とされています。
合掌礼拝をした後、右手の3本の指(親指と人差し指と中指)を使って香をとります。その後、右手に左手を添えて額にいただき、焼香します。
これを繰り返したのち、再度合掌礼拝を行います。
特に回数に関して重きはおいておらず、気持ちを込めることが大切で、1回ないし3回と考えておけばよいでしょう。