樒
今年もお盆を迎える事になりました。
テレビでは帰省する方の渋滞情報が流れています。
今年はお墓の掃除もお迎えも姉に任せっきりになりました。
お盆前にお墓に行くとお花ではなく樒をお供えしているのを見かけます。
樒とは、植物学的にはマツブサ科シキミ属に分類される常緑樹で、仏教であれば宗派に関係なく法事などでお供えされるのに使われるため、寺院の境内でも植えられている姿を見かける機会が少なくありません。
ちなみに、樒は花から根に至るまで毒を含んでおり、食べると死亡するほどのものですが、実はこの特徴が仏事でお供えするようになった理由に深く関わっていて、日本でもともと土葬が広く行われていたことと深い関係があるようです。
土葬は文字通り故人様のご遺体を土の中に埋めるという埋葬法ですが、昔は野犬などが土を掘り返してご遺体を荒らすということも少なくありませんでした。
そこで、毒の成分を含む樒をご遺体の埋まっている場所の近くに植えることで、死体を荒らされるということを防ぐようにしたのが、樒をお供えするようになった理由でした。
加えて、樒は強い香りを発する特徴も持っており、その香りでご遺体の発する腐臭を消すことにも用いられていました。
また、その香りはお線香の香りをほうふつさせるものでもあるため、現代でもなおお線香の香料に使われているようです。