清めの塩
お葬式でよく清めの塩を見かけられると思います。
日本では古くから死という現象に邪気が集まってくると考えられており、お葬式に参列した人が邪気を自宅に入れてしまわないよう、帰宅前に塩を体に振りかけて邪気を払うためです。
日本人は古くから、死という現象には悪いものを呼び寄せる力があると考えていました。
塩には食品を長持ちさせる効果や殺菌効果がある上、温度による性質の変化がほとんど起こりません。
そのため塩には、死を遠ざけたり邪気を払ったりする力があると考えられてきたのです。
死は穢れている、という考えは日本古来の考え方であり、神道に受け継がれています。
しかし6世紀に日本に伝わってきた仏教では、死は穢れたものとはみなしていません。
仏教には輪廻転生という考えがあり、死は次の生への始まりと考えられているため、忌み嫌う現象ではないからです。
塩に穢れを払う力がある、という考え方は日本古来のものであり、仏教のお葬式では清めの塩は必ずしも必要なものではありません。
ですが、習慣として使われる方も多いと思います。もしご葬儀に出席した際に用意がなかった場合、葬儀社の方に聞いてみてもよいと思います。