精進料理
懐石料理といえば、茶席で招待した客に茶をすすめる前に出す手軽な料理のことで、茶懐石とも呼ばれています。
仏教では、インド以来「非時食(ひじじき)戒」という定めによって、修行僧は正午から翌日の暁まで、食事を禁止されていました。現在でも南アジアでは、厳守されている定めです。
そこで修行僧は、あたためた石を布に包んで腹に入れ、飢えや寒さを防いだのでした。これを薬石(やくせき)といいます。
後に禅宗では晩に粥(かゆ)を食べたところから、一般に夕食のことを薬石と呼んでいますが、それは僧が健康を保つための薬という意味なのです。
あたためた石をふところに入れて腹をあたためる程度に、腹を満たす料理という意味から、懐石料理となりました。