お亡くなりになられる方は、何も年齢を重ねた方ばかりではありません。
生後数週間で亡くなられる方や、
これから社会に出ようとする方。
働き盛りでご家族のために頑張っておられた方。
家族やお子様のことを思い家庭を守ってこられた方。
定年退職され新しい一歩を踏み出そうとしておられた方など様々です。
本当に「人の寿命は誰にもわからないということを日々痛感しております」
先日、若くしてお亡くなりになった方のご葬儀を担当いたしました。
喪主を務められたのは奥様で、ご親族のみでの家族葬というかたちで葬儀が執り行われました。
奥様のご希望で、最後はご家族だけで静かに過ごしたいということが家族葬の理由でした。
亡くなれた方は人一倍、責任感の強い方で、毎日ご家族のために夜遅くまで仕事をし、
帰宅はいつも深夜だったそうです。
ある日の事、いつもどおり深夜に帰宅し食事をしたあと「お風呂に入る」と言って部屋を出て行きました。
しばらくしても出てこないので奥様が心配になって浴室を覗いて見ると倒れていて、
慌てて救急車を呼び病院へ向かいました。
病院で先生に告げられた病名は「くも膜下出血」。
ご主人は浴室で倒れて数日後にご逝去されました。
葬儀終了後に自宅へ伺い、後飾り祭壇を準備し説明しておりますと、
今年、幼稚園に入園したばかりの娘さんが「わたしも、パパのお参りする」と言って、線香に火を灯し、お鈴を「チーン」と鳴らして小さな手で合掌しておられました。
これには、奥様もびっくりした様子で「教えたことはないのに、いつの間に覚えたのかしら?」とお話し下さいました。
そして、静かに涙を流しておられました。
娘さんが私の顔を見ながら「おばあちゃんにも教えてあげるねん」と、得意げに話してくれました。
私も遺影に向かい合掌させていただき、静かにお家を後にしました。
合掌