「袖振り合うも多生の縁」という諺はご存じのことかと思います
実はこの諺、仏教的観念の強いことばで、今何かしらの出来事すべては前世からの因縁があり、それが今世で結果として「袖を振り合う」ような関係に現れ、この出来事がまた来世へと導かれていくというような意味をもっているそうです
つまり「輪廻転生」という考え方です
当然ですが我々は、自身の私生活や仕事上などで様々な出来事やたくさんの人と関わりをもちます
これはいわば「偶然」ではなくて「必然」であり、通勤電車で少しぶつかったりして「すみません」と言葉を交わすのも「必然的な縁」と考えられるわけです
前世だとか来世だとかという話になりますと宗教観が強くなってしまいますが、普段の生活でも実はこんなことはよくあるかもしれません
先日担当させていただいたご葬儀のことです
以前に弊社でご葬儀をされて、またご縁をいただくケースは珍しいことではありません
実はこのご葬家も数か月前に、このたび故人様となられた方のお母様のご葬儀を担当させていただいたばかりでした
数か月前当時、喪主様(このたびの故人様)は、私の印象では仕事も現役でされていらっしゃったからでしょうか、ご年齢以上に大変活発な方でしたので、このたびの訃報は「えっ!」という驚きが先に出てしまいました
数か月前、ご自宅にお打ち合わせに伺ってからの数日間、喪主様のご自宅へ何度か行き来しましたが、ご葬儀後は喪主様が弊社の事務所に何度も足を運んでくださいました
私がお伺いしますよ、といっても「近いから行くよ、行く、行く」といってお越しいただいたのが印象的でした
そして先日、その喪主様が故人様になられ、私は再び担当者としてご葬儀のお手伝いをさせていただきました
今回、喪主様となられたのが長女様です
前回のご葬儀の時は、喪主様のサポート役をされていらっしゃった長女様でしたが、今回は喪主様として責務を果たされていらっしゃいました
滞りなくご葬儀も終わり、喪主宅にてご遺骨を安置させていただき、喪主様と前回のご葬儀の時からの話を色々とさせていただきました
ここ数か月は何かと大変だったそうで、前のご葬儀の出来事や何度も会社へお越しいただいたことなどで故人様を偲んでおりました
そしてこのマンションには10年ほど前から住まわれていらっしゃるそうだという世間話から、実は私はこのすぐ隣に10年ほど前まで住んでいた、という話になりました
「それじゃあ、近所でお会いしていたかもしれませんね」
「本当ですね、これもご縁かもしれませんね」
恐らくこのお話から、学校やスーパー、商店街の話などに膨らんでいくと更に違う方との接点が出てきたかもしれません
私たちは、社会でたくさんの方と何かしらの関わりを持って生活しています
そして今回のように気付きはしなかったとしても、何かしらの関わりがあったかもしれない、ということはよくあることではないでしょうか
また、「○○さんところのお葬式に行ってたの、参列してたんだけど良いお葬式してるなーと思って。それにスタッフさんもみなさん良い感じだったから決めたのよ」というありがたいお言葉をいただくこともございます
我々はご縁をいただいてご葬儀のお手伝いをさせていただくのですが、そこで担当者として従事させていただくものは、それもご縁であると同時に、今までにもどこかでご当家とつながりがあったかもしれない、または参列者のどなたかと関わりがあったのかもしれないということは否定できないのではないでしょうか
つまり、日頃の生活や行動の中で、気付かないうちに関わっていた・・・ということがあり得るということです
そのときにどんな関わり方だったのか
こちらは気付いていなくても相手様は気付いていらっしゃるという場合もあります
好印象としてならよいのですが、あまりよろしくない印象をもたれていたら・・・
葬儀に携わる人間だからということだけではありませんが、葬儀という非日常的な状況におられるご遺族に関わらせていただく仕事に携わっている以上、「袖振り合うも多生の縁」という気持ちを常にどこかに持っておくべきだと、感じさせていただいたご葬儀でした
このように感じさせていただけたのも、きっと何かのご縁なのでしょう