社葬レポート
かわかみ葬祭が提供させていただいた2014年に執り行われました実際の社葬の現場レポートを通じ、「リサーチ時期」⇒「準備時期」⇒「社葬実施」⇒「社葬後」のように、社葬の流れを紹介します。
2014年5月15日 T社 取締役会長 社葬式
「大阪のお土産」といえばT社の商品を挙げられる方も多いのではないでしょうか?
そんな社を起ち上げ、常に第一線で成長させてこられたT社 取締役会長の社葬をレポート
4月9日
去る3月14日に急逝された取締役会長。3月17日に葬儀は近親者により密葬として執り行われました。そして関係会社への告知をお考えになられた折、かわかみ葬祭に社葬運営の依頼をいただきました。
この日は、会長のご子息でもあるT社社長、そして会長夫人と社葬をおこなう会場である「大阪市立 やすらぎ天空館」にて会場の下見と、社長の社葬に対するお考えをお聞かせいただきました。
(打ち合わせ時間、約2時間)
4月11日
この日、会長宅にての打ち合わせ。ご子息でもあるT社社長、会長夫人、社長夫人と打ち合わせをさせていただきました。
49日法要を間近に控えられていることもありましたので、この日は先ず、社葬に関してよりも故人様の供養並びにご遺族のご負担を軽減することを考え、法要時のアドバイスをさせていただきました。
そんなお話をさせて頂くうちにT社が現在に至るまでの発展の道のり、会長の商品開発へのすさまじい精神、仕事への思い、そして近年では東日本大震災での現地活動等…
会長のT社への情熱や熱意、そして社風というものが見えてまいりました。
こういったことを知ることが葬儀社としてはT社がどのような社葬を行いたいとお考えなのか、そしてどのようなアドバイスができるのかの大半が決まってくるといっても過言ではありません。
そして大変貴重なものをものも見せていただけました!! なんとそれは、密葬の時には慌ただしさで気付かなかった会長自筆の祭壇のデッサンが出てきたのです。
また他にも、会長のお気に入りの部屋も拝見させてくださり、たくさんのお写真もお預かりし、充分な打ち合わせとリサーチの時間をいただきました。
(打ち合わせ時間 約4時間)
4月24日
本社にて、T社社員を交えての初めての打ち合わせ。葬儀運営委員として主たる社員様にお集まりいただきました。
社葬式まで1か月をきっていますので、この日の打ち合わせは細かいこともたくさんございました。
社葬式は無宗教の献花スタイルで、案内状の発送時期、供花に関する事項、お礼状の確認、弔辞者に関して、集合写真、喪主や葬儀委員代表者の挨拶について、立礼者の決定、遺品コーナーについて、当日の流れなど…と、弊社の社葬運営マニュアルに則ってたくさんの項目を確認し、次回打ち合わせまでに決定すべき事項をチェックしました。
祭壇イメージも何パターンか出来上がり、お見せすることが出来ました。
またこの時期、ゴールデンウィークと重なってくることもあり、T社にとってはまさに繁忙期となり、弊社との密な連携が準備段階での重要なカギとなっておりました。
(打ち合わせ時間 約3時間)
4月28日
この日は24日の打ち合わせでの提案事項の決定をしていただく日となりました。
まだまだ社葬に対して実感が湧かないT社社員様もいらっしゃるようでしたので、実際の当日のタイムスケジュール、そして弊社でご用意させていただいた式次第に沿っての
弊社スタッフの動きやT社社員の役割などをお話させていただき、そこで主たる葬儀運営委員の決定や式次第、立礼者、弔辞者などが決まっていき、徐々に実際の社葬のイメージがT社社員様にも伝わり始めたころではないでしょうか?
(打ち合わせ時間 約3時間)
社内ミーティング
この日は社に戻ってから社内での社葬ミーティングを行いました。
社葬経験は、T社社員の皆様「初めて」の経験です。しかし社葬成功の鍵はT社社員様の力にかかっています。T社葬儀運営委員を確実にサポートさせていただくには、T社葬儀運営委員、弊社スタッフ、演奏者に至るすべてのスタッフが、式当日の流れを同じにしなければなりません。
では、どのようにすれば?弊社代表からのアドバイスで、式典の流れから全スタッフの動きがわかる「進行台本」の作成が急務であると。
この日から私はその作成にとりかかりました。
生花業者との打ち合わせ
今回の社葬において1つのポイントは、「会長のイメージした祭壇を具現化する」ことでした。
会長がイメージした祭壇をより忠実に再現するため、何パターンものCGデザインを創り上げてまいりました。
この祭壇イメージが実際にできるのであろうか?
正直、実際にどのような形になるのか我々も想像のつかない状況でした。
何度も試行錯誤を繰り返しながら、生花業者の協力のもとなんとかCGデザインが完成!
社葬後、生花業者制作担当者からの話しでは、この時CGデザインは完成したものの「こういう形の祭壇は実際に作ったことがない」と式前日まで、何度も祭壇の組み立てては改良を重ねていき「これだけ何度もシミュレーションしたのは初めて」とのこと。
祭壇施行当日、喪主様に見ていただくまで、気が気でなかったそうです。(生花業者との打ち合わせ時間 約40時間)
演奏者との打ち合わせ
社葬を彩る音楽。このBGMも無宗教スタイルの式典に欠かせない「故人様や企業らしさ」を演出するひとつです。
T社は冒頭に申し上げましたように「大阪のお土産」の代表格の企業です。CMソングも誰もが耳にされたことがおありになることかと思います。かといって、社葬になかなかそのままCMソングを使うわけにはいきません。
そうなりますと、アレンジした形で尚且つ会場の方が「あっ、あの曲だ」と思って故人様を偲ばれるようにしなければ意味がありません。10パターンのアレンジ曲から、最も社葬式にマッチするのはどのパターンか?を演奏者とともに調整してまいりました。
また、これからのT社の発展を揺るぎないものと会場にいるすべての方に感じていただけるような社葬式最終のクライマックスでの音源は、完全なオリジナル曲を使用することになりました。これにも演奏者、弊社スタッフともに意見を出し合い、「よし!これでいきましょう!!」となるまで何度も作り直してもらいました。
当日は生演奏です。より良い社葬式を行っていただくため妥協は許されません。
(演奏者との打ち合わせ時間 約20時間)
5月1日 第1回社葬打ち合わせ
今まで数回行ってきた打ち合わせとは違い、段取りでだけではなく実際に現場での重要事項の打ち合わせとなりました。喪主様、ご親族、葬儀委員それぞれの一日のタイムスケジュールをお渡しし、流れを把握していただきました。
特に「葬儀委員の人員配置」、ご遺骨のお出迎え、来賓の受付や案内、誘導、そしてお見送り・・・など重要な部分はすべてT社社員様が先頭を切って行っていかなければなりません。
そのためには、しっかりとした社葬に対する認識と責務をもっていただくことが重要です。そういったことを踏まえての打ち合わせとなりました。
社葬式まで残り約2週間。社員様も真剣です。たくさんの質問をお受けいたしました。
(打ち合わせ時間 約4時間)
会長のT社にかける思いを!!
会長のT社創業から、というよりもT社創業に至るまでの歴史も大変興味深く、なんとか限られたスペースのなかで、少しでも会長の思いをお見せできればと、メモリアルコーナーを制作させて頂きました。
数々の歴史のあるT社ですが、私は制作にあたりたくさんの写真を拝見しているうちにあの東日本大震災へ現地訪問されたときの会長の力強い顔が印象に残り、写真コーナーの最後をその写真で飾らせていただきました。
きっと、T社社員皆様はこの会長の強いリーダーシップのもと、一緒に歴史を刻まれてきたのであろうと確信いたしました。
5月13日 第2回社葬打ち合わせ
この打ち合わせは、当日、葬儀委員がどのような動きをしていかなければならないか?実際にイメージを固めていただくことがメインでした。
弊社の運営マニュアルを使ってT社社内でも葬儀運営委員の打ち合わせは何度となくされてきたそうでしたので、再度、式次第とタイムスケジュールを見ていただきながら進行台本に準じて自分のポジションや個々の役割を決定し、実際に現場での「礼」や「あいさつ」など細かい点を見直していただきました。
例えば式場内に出入りする際の「礼」。式場内は厳粛な場であり神聖な場所であります。その場所への出入りに際しての「礼」は弊社スタッフでは当たり前のことであっても葬儀委員すべての方にもしていただかなければ厳粛さは失われてしまいます。
他にもVIPの方が来られた時には?その時の立ち方は?立っているときの手の位置は?足の揃え方は?立ち位置、誘導の仕方、喫煙のマナーについては? 受付のお声掛けは?お車でこられた方への配慮は?雨が降ったら?
また、今回は献花スタイルということもありご会葬の方でも献花の仕方に困られる方がいらっしゃるかもしれません。その時、葬儀運営委員が献花の作法をお伝えできなければなりません。このようなことを全てチェックさせていただきました。
今回の社葬式では、社員である2名の方が「お別れの言葉」として弔辞を読まれることになっておりました。通常、弔辞は社外の方にお願いする場合が多いのですが、密葬の時に社外の方に拝読していただいたという経緯と今後のT社を見ていただきたいという思いから社員様のお2人が読まれることとなりました。弔辞を読まれる際の所作や弔辞の文面にいたるまでアドバイスさせていただきました。
(打ち合わせ時間 約5時間)
5月14日 T社社葬式 前日
社葬式前日、昼過ぎから喪主様をはじめ、ご令室、喪主夫人、また葬儀運営委員の方々も集まられて祭壇や供花、弔電の確認をしていただきました。
喪主様には供花の札名確認に多くの時間を割いていただきました。「絶対に間違いがあってはならない」ポイントの1つです。
運営委員の皆様は、事前にお渡ししていましたタイムスケジュールをもとに各自の配置を確認。実際の現場で戸惑わられるかと思いきや、お客様相手に店舗で活躍されている社員さんらしく自分のポジションを把握されておりました。
またそれと同時に我々スタッフも入念にリハーサルを行い、万全を期すべく打合せは夜に突入。
5月15日 T社社葬式 当日
社葬式の日程がウィークデイの日中ということもあり、今回は関係会社様への配慮から通知状は限定的に送られた喪主様でございましたが、この日は朝から雨という天候にも拘らず、開式前からたくさんの会葬者様がおみえになりました。厳粛なムードの中、全スタッフお出迎えのもとご遺骨が入場されました。
ご遺骨を祭壇にご安置後、全スタッフ集結しての朝礼が行われました。
弊社代表より全スタッフに本日の社葬における意義、再度の細部の確認のあと、喪主であるT社社長より社員様に対しての挨拶がございました。
T社社長の、社員様に対しての感謝の意と社葬成功の言葉によりまして、全社員の顔がキッと引き締まったのを私は見逃しませんでした。この瞬間で、この社葬は素晴らしいものになると強く感じました。
式場内は、喪主様の予想をはるかに越える会葬者様で溢れ、「皆さんに是非見てほしい!」とおっしゃっておられたメモリアルコーナーの前にはたくさんの方が足を止め、取締役会長を偲ぶ様々な声が飛び交っておりました。
ご遺骨入場から退場まで、式次第が進むにつれ厳粛さと華やかさを併せもったセレモニーは、T社社員様の団結力と今後のT社の発展を予想するに充分な内容であったのではないでしょうか。それを裏付けるかのように会葬者様からは本当に「T社らしい式だったよ」というたくさんのお声を頂戴いたしました。
社葬を担当させていただき
実は、私自身、このような社葬を担当させていただくことは今回が初めてでございました。どれくらいの人数の方がこられるのか?たくさんの方が来場されたときスムーズに対応できるのだろうか?弊社スタッフと葬儀委員がうまく連携し、サポートさせていただくことができるのか?正直不安でいっぱいでした。
しかし、T社葬儀委員との総打ち合わせ時間、実に30時間に及ぶ打ち合わせ。生花業者、演奏者との打ち合わせも実に60時間。T社葬儀委員の準備と社葬に対する熱意の結果として、社外の方にこれからのT社の発展の証を示すことが出来たのではないでしょうか?
実は喪主挨拶におかれまして、喪主であるT社社長より異例なことではあると思いますが、弊社の社名を挨拶中にお出しいただき、祭壇に感激していただいたこと、今回のこのような祭壇になった経緯をお話し下さり、労いの言葉もいただきました。
また、かわかみ葬祭の今までの社葬運営のノウハウも如何なく発揮でき、どのような企業様に対しても様々なノウハウを提供し社葬を成功していただけると確信いたしました。
今回の社葬を通して、企業の社葬に対する考え方や、チームワークも学ばせていただき、葬儀に携わる者として成長させていただきました。
最後に、社葬成功の最大のポイントは「社葬を行う企業の社員様お一人おひとりの力」ということも体感し、今後の社葬運営に活かしていけると実感しております。
そして、何よりも我々の原動力でございます一番のお言葉をご令室からいただきました。
「あなたたちに出会えてよかった」
2014年 5月