昔、母が「今の嫁はいいな。昔は親許に行くなんて考えられなかった。これも時代かなぁ」
当時は母が何を言っているのか意味がわかりませんでしたし、いまの時代に奥さんが実家に遊びに行くなんてことはよくある話だと思います。
しかし、ある日の事前相談で、母が言ってた言葉の重さがわかってきました。
相談者様は年老いたご両親のことが心配で来られたのですが、葬儀に関することは
一つひとつじっくりとお話し合いをさせて頂き、最後は「これで安心しました」
と、お言葉を下さいました。
ただひとつ気になったことは、葬儀を終えてからのこと。
相談者様は女兄弟ばかりで、全員が嫁いでいるので、自分達のご両親の葬儀はできても、お墓を立てたり、仏壇を用意して供養するというようなことはご主人の手前できないとおっしゃっていました。
妻となった以上、嫁ぎ先のご両親を供養していくのが世の常ということ。
つまり、女性が嫁ぐということは、実家の親と縁を切るということなのです。
言われてみると、母方の仏壇と父方の仏壇が、そろって肩を並べている家なんてありません。わかってはいましたが、現実に考えてみると、なんだかさみしくも感じました。
しかし、今の時代、息子が必ずしも仏壇を家において、両親や先祖を供養するとは限りません。お墓も持たないという方もよく聞きます。
であるなら、孫の世代にまで強要はできないだろうけど、ご自分が元気な間はご主人が理解してくれるなら、実家の供養をしていくこともありなのでは、と思うようになってきました。