死後の世界
ここでいう「死後の世界」とは「あの世」や「極楽浄土」といったものではなく、
「自分自身がいなくなった後の現実の世界」のことです。
先日、義母の友人がお亡くなりになったときの話です。
葬儀で喪主を務められたのは、内縁関係のご主人様だったそうです。
そのご主人様とも義母は友人でしたので、ご逝去されたことをすぐに知り、葬儀に参列したとのことでした。
故人様の闘病生活は長く、また旦那さんもご高齢ということもあり、体調面の不安からいわゆる直葬の形式であったとのことです。
義母は、友人達と話し合ってお花をたくさん準備し、お棺に納めてお別れをした、と言っていました。
義母は、お二人には以前から常々、お節介かもしれないが「早くちゃんと籍を入れなさい」と言い続けていたそうで、そんなこともあってかお二人は本来なら、亡くなる半月後に旅行に行き、その時に籍を入れようと夫婦でお話されていたそうです。
ですが、残念にも入籍することはなく、旅立たれたということです。
と、入籍できなかったことでとても残念な話だけで終わりませんでした。
故人様には姉がいらっしゃるのですが、ここにきて「妹のお骨は渡さない」と言いだしたそうです。
正式に籍は入れてないものの、今まで二人で生活し、ご看病をされてこられたのも旦那さんです。
当然、葬儀の費用や今後の手続き、整理なども旦那さんがされます。それを、籍を入れてないからという理由で、お骨は渡せないと。
これを聞いて義母は憤慨したようです。
旦那さんも、入籍していないことに少し負い目があったのか強く出られなかったそうですが、義母の「本当にあの子がどこに帰りたいのか、誰に連れて行ってもらいたいのか、よく考えて決めなさい!」との言葉が決め手となり、お二人で過ごされた家へと一緒にお帰りになられたとのことでした。
このようなケースでは、法的にはご遺骨は誰のものか明確な規定はなく、その時の事情や慣習によって判断することになるそうです。
「紙切れの事でいらん人間がしゃしゃり出やがって!まだごたごた言って来たらワシが
連れて帰ったるわ!」と義母が言っていましたが、義母もお節介といえば、かなりのお節介焼きなのですが…。
そんな事があり、少し日がたった頃にご葬儀の担当をさせていただく家での打ち合わせのときのこと。
お話させていただいたのは故人様の実の娘様と内縁の奥様。
事前相談にもお二人でお越しになられているくらい非常に仲の良いお二人で、故人様の好きだったお洋服にお着替えされたり、あれが好きだった、これはお父さんらしい、などなど。
先のような問題は起きそうになく私も、奥様を「奥様」とお呼びすることに
何の抵抗もありませんでした。
色々な家があるものだと思ったものですが、よくよく考えると他人事ではありませんでした。
私の妻は、義母はと言っていましたが実際は内縁関係です。
妻が看護師学校に通っており、卒業してから結婚しようと話しています。
さらに制度の関係上、同居はしているものの私の住民票は実家に置いてあります。
法的に言ってしまえば他人も他人です。
妻の卒業前に私にもしもの事があった場合、先のエピソードに近い状況になってしまいます。
実家では私の妻は私を真人間にしてくれたと神のような扱いなのでどちらがお骨を引き取るかの問題は起きないと思っていましたが、逆に私のお骨の押し付け合いになるかもしれませんので散骨なども検討しておこうと思います。
自分の葬儀や死後は、ああして欲しい、こうして欲しいという希望はあると思います。
そういったご希望を家族に話しておくのは大切なことです。
自分の死後に面倒をかけたり争いが起ったりと思うとやはり気持ちの良いものではないですしね。
急に「私がもし死んだらああしてくれ」なんていうとみんなびっくりして不安になるので
何かの折に少しずつお話されても良いのではないかと思います。