火葬場に霊柩車が到着すると、火葬場のスタッフが迎えに来て電動式ストレッチャーに乗せてご遺体を窯まで移動させます。
私たち葬儀社はしょっちゅう行く火葬場ですが、一般的には人生のうち何度も足を運ぶことは無いでしょう。
そんな火葬場で、しばしば問題が起きるのです。
こんなことがありました。
重々しく霊柩車の扉を開け霊柩車の運転手の手から、火葬場スタッフの手にご遺体が渡ったそのとき、喪主様が「なんじゃ、あの持ち方は!仏は物じゃないぞ!」とすごい剣幕で当社スタッフにお怒りになりました。
火葬場スタッフがちょうど、ご遺体を運びながら、手招きをして「どうぞ~」とご遺族様を呼び込んでいるところで、わたしたちスタッフには見慣れた風景です。
いつもと同じで、だらだらとした感じの火葬場スタッフ。
お辞儀もペコッと軽く頭を下げただけ。
両手を大きく広げて霊柩車を手招きしています。
たぶん、喪主様は今までの私たちスタッフとのギャップに驚かれたのだと思います。
葬儀社、霊柩車、テント設備会社、供養屋、料理屋など、今までご葬儀をお世話してきたスタッフ全員は、遺族様、そして特に仏様には丁寧な対応を心がけおり、お辞儀の角度、案内するお声かけひとつとっても、ひとつの粗相もないように、細心の注意を払っています。
大切な儀式、仏事ですから、それは当たり前の事。
ご遺族様にとって、この場は二度と戻らないお別れの場となるのです。
提携しているスタッフなど、葬儀に関わるスタッフ全員に徹底的に指導しています。
しかし、指導できない部分があります。
それは、火葬場です。
火葬場スタッフは環境事業局の職員だからです。
当社が雇っているわけでも、提携しているわけでもなく、指導することができないのです。
このようなクレームを聞くたびに悔しく思います。
しかし、喪主様にとって、火葬場の職員も当社のスタッフも同じようなもの。
怒りの矛先が当社にむいてしまうのも無理はありません。
待機中、帽子を放り投げて遊んでいたり。
霊柩車を誘導するときは、片手を挙げて「は~い。こっち~。こっち~。」
ズボンのポケットには、大きなスポーツタオルがぶら下がっていたり。
帽子をちょこんと斜めに被っていたり。
しかもその帽子の下は茶髪だったり。
おじぎの仕方とか、サービスとか、そんなこと以前の段階です。
ちゃんと努めている方もいます。しかし、全員がそうでは無いにせよ、
スタッフの多くは「仏様に関わっている」という感覚は無いに等しいのだと思います。
だから、仏様をご移動させるとき、「よいしょ、よいしょ」と荷物かのように運んでしまうのでしょう。
確かに、ラッシュの火葬場が目が回るくらい忙しいのは事実です。
建物内は暑いし、一日とても疲れると思います。
しかし、機械相手だけに働いてるわけではないのですから、遺族様が見ているときだけでも、何とかならないものでしょうか。
これだけ役所が叩かれている時代に、こんな状態の国の職員がいまだ存在することを不思議思います。火葬場の休憩室(お骨上げまでの待ち時間用の部屋)に目安箱を置いて頂けたら、市民の声が聞けてよいと思うのですが。。。どうでしょう、太田知事。