若い方の葬儀というものは、言葉では表現しにくいものがございます。
お年を召された方の場合、残されたご遺族は口々に「大往生だった」「楽になって良かったな」と悲しみの中にも時折安堵の言葉が漏れたりするものです。
しかし、若い方の場合は、ただただ、悲しみの言葉しか聞こえてきません。
以前、病気に侵されお亡くなりになられた若い女性の葬儀を担当した時のこと、病院から
ご実家へお帰りいただき布団にお寝かせした後、ドライアイスなどの処置をおこなって
いると、女性の祖母と思われる方が来られ、冷たくなった手を泣きながら握り、
「○○ちゃん。○○ちゃん。○○ちゃん。なんで、お祖母ちゃんより先に逝ってしまうの・・・」
と何度も名前を呼びながら声をかけられている姿を目の当たりにし、言葉に詰まる苦しい心情に陥ってしまいました。
葬儀社のスタッフはいかなる時でも葬儀のプロですから、冷静に対応しなければなりません。
しかし同年代の方が亡くなっているという現実に、やはりやりきれない思いはいなめません。
できるだけ感情移入しないように日頃は心掛けているのですが、どうしても気持ちが揺れ動いてしまうこともございます。
まだまだ私も半人前・・・
年齢に関係なく私達は常に「死」と隣り合わせですが、日頃意識をしながら生活をすることなどありません。
でも、そう意識すると、考え方にも変化が生まれるような気がします。
ご遺族にとっては非日常的な出来事・・・
そのような状況の中で私達に出来ることは、ご遺族の負担を少しでも取り除き、一日でも早く普段の生活に戻れるようにお手伝いをすることですが、この方のように普段の生活に戻られるまでにかなりの日数を必要とされる方もおられます。
その姿をただ見守ることしか出来なかった自分に気づき、私自身の力の無さを改めて痛感させられた葬儀となりました。