ひと通りご弔問者もお帰りになり、遺族親族だけで祭壇前に交代で線香とろうそくの番を行う。
そこにお酒は付き物。
皆でワイワイがやがや言いながら、故人との思い出話に花を咲かせる。
「故人への供養や」なんていいながら・・・。
挙句の果てに、「これも供養や」と言いながら、何処からかコタツを持ち出して天板を裏返し、麻雀大会に早がわり。
当然、翌日のお葬式では、お寺様のお経が子守唄となるのは言うまでもない。
団塊の世代の方は「そうそう、昔のお通夜はこんなんやった」と、おっしゃるのだと思います。
核家族化が進み、会葬者も激減しているなか、家族葬というお葬式スタイルが大流行となっている現在はというと、お通夜ひとつとっても大きく様変わりしてきました。
むかしは、お通夜というと徹夜でろうそくと線香が絶えないように、遺族が交代で番をするのが普通でした。もちろん、多くは今でもそうです。
ですが、お通夜でのお寺様のお経が終了し、しばらくすると「川上さん、そろそろ私らも帰っていいですかね」と、おっしゃる方も最近は増えてきました。
初めのころは「えっ、帰られるんですか?」と、ご遺族にお通夜の意味や先人たちがしてこられた経緯などをお話しし、引き止めていたものの、最近ではよくお聞きするので、「ろうそくだけは消してくださいね。あと鍵は閉めさせていただきますので」と、言うようになりました。
お寺様がお帰りになり、私どもとご一緒にご遺族も式場を後にする。
なんだか不思議な気持ちがします。
これも時代の流れといえばそれまでですが、それにしても人と人とのつながりが希薄になりつつあるなか、あまりにも寂しい気がいたします。