カトリックの教義の根底には「伝承と聖書を、共に神の啓示として考える」という姿勢があります。ローマ教皇の言葉は、「神の啓示」と同じものだと考えられています。
カトリック葬儀の特徴:先ずは神の許しを得る
カトリックの葬儀においては、宗教者は「神父」と呼ばれます。
※ちなみにプロテスタントにおいての宗教者は「牧師」ですね。
カトリックでは神の許しを得るために、洗礼や聖体拝領、油を使うことなどいくつかの秘跡(ひせき※神からの許しを得るために行う儀式のこと)が必要です。
一般的にカトリックの葬儀は「教会」で行われます。また、故人が洗礼を受けているか否か、を問題視する向きもありますが、現在では仮に故人が信者でなくとも相談に乗っていただける教会もあるそうです。
カトリック葬儀の流れ:「儀式(ミサ)」を重んじる
カトリックの場合、故人が危篤状態になったときから神父を呼び、塗油の秘跡を行うことで、神の許しを得るという行為が始まります。(仏教の枕経も、昔は危篤の方の枕元で安心を与えるためにしていたものです)
次に行われるのが、「聖体拝領」と呼ばれるもの。これはパンとワインを与える、という儀式です。その後に神父による臨終の祈りがささげられ、ご遺体を移動する段取りを行うというのが正式な流れです。
カトリックにおける葬儀は、入堂聖歌・開式の辞・葬儀のミサの流れで行われます。また、告別式は、入堂聖歌・聖歌斉唱・弔辞・弔電の紹介・献花・遺族の挨拶が行われます。
このなかでも特徴的なのは「葬儀のミサ」です。
このときには「言葉の典礼」と「感謝の典礼」が行われます。前者は、神父が行う説教と聖書の朗読を指し、後者は聖体拝領の考えに基づくものです。感謝の典礼のときは、ご遺族がパンとワインをささげ、それを神父が参列者に配ります。
そして献花へと移ります。一般的な献花の流れは以下の通りです。
献花の流れ
1. 両手で花を受け取る。そのとき右手は手のひらを上にして、左手は下にする
2. 祭壇に一礼
3. 花を回し、茎のほうを祭壇側に向けて献花台に置く
4. 黙とう(手を合わせる)、もしくは一礼して、さらに遺族へ一礼して席に戻る
カトリックの葬儀の注意点:教会に供花は送らないのがマナー
キリスト教において、供花は仏式でいうところの意味合いと変わってきます。
キリスト教でいう供花の意味合いは、故人を華やかに飾るものです。
キリスト教式の葬儀では、決して供花に「札」や「カード」をつけたりはしません。また、教会に直接供花を送ることも実はマナー違反です。喪主の自宅に送り、喪主が教会へ運ぶのが一般的な流れです。
最近はいろいろと柔軟に対応してくれる教会も多くなっているようですが、本来は籠花(バスケットフラワー)で送ることが良いとされています。
葬儀後は、「召天記念日(亡くなって1か月後)」にあわせて埋葬されるケースが多くなっています。ご逝去後3日目・7日目・30日目に追悼ミサを行います。その後の追悼ミサは、毎年命日に行われます。
カトリックの葬儀では、「お布施」という表現は使いません。教会に寄進するという意味で、「献金」としてお渡しするかたちが一般的です。
お香典にあたるものは、「御花料」とすることが一般的です。
カトリックの場合「御霊前」とすることも可能ですが、プロテスタントでは「御霊前」は用いません。