浄土宗は鎌倉時代に法然上人により開かれました。本尊は阿弥陀如来です。総本山は知恩院(華頂山知恩教院大谷寺 京都市東山区)で、その他全国に七大本山があります。
浄土宗葬儀の特徴:「念仏一会」で極楽浄土へ
浄土宗は、阿弥陀仏の救いを信じて「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、必ず極楽浄土に往生できるという教えから、僧侶と共に故人に代わって参列者一同が念仏を唱える「念仏一会(ねんぶついちえ)」を行います。
「南無阿弥陀仏」と念仏を10回から一定時間唱えることで、故人が阿弥陀如来の救いを得る助けをする意味合いを持ちます。
念仏を唱えることで極楽浄土へ行くという考えは、阿弥陀如来という絶対的な力を持つ他者の心を信じ頼る「他力本願」によるところとされています。そして浄土にいても、仏となってこの世に戻り、人々を救うことができるとしています。
浄土宗の葬儀の流れ:松明を捨てるのには意味がある!
ご安置の際は、故人をできる限り北枕に寝かせ、顔には白い布、胸元には守り刀を置きます。ろうそくと線香の火は、通夜の間絶やずお世話をすることが一般的と思われます。
葬儀のときに、「下炬引導(あこいんどう)」という儀式が行われます。これは火葬の点火にあたり、導師が焼香の後、松明(たいまつ)を意味する法具を2本取り、そのうち1本を捨てます。
これを「おんりえど(厭離穢土・煩悩にまみれたこの世を嫌い、離れること)」と言います。次に残りの1本の松明(たいまつ)で円を描き、「下炬の偈(あこのげ)」を読み終えたと同時に捨てます。これは「ごんぐじょうど(欣求浄土・極楽浄土に往生したいと心から願い、求めること)」を意味しています。
浄土宗の葬儀における焼香作法
浄土宗の焼香の回数には決まりはなく、寺院や地域によって違いがあるといわれていますが、3回が基本です。