葬儀の日程
近年問題になっておりますのが、火葬炉の問題。人口に対してなかなか火葬が追い付かないという地域もあります。葬儀のお打ち合わせでよくあるはなしですが、例えば夜中や朝方にご不幸に見舞われた場合、その日がお通夜になる、という認識の方がやはりまだまだ多いようです。しかし実際にその日がお通夜になるというケースは実際お現場に携わる者としていいますと、結構難しいというのが現状です。これは火葬炉の問題で、火葬炉が空いていなければ、葬儀を行うことはできないわけです。では、火葬炉を増やせばということも考えられますが、現実的にこれから人口が減少していくということが予想される中では、こちらもむずかしいという側面もございます。勿論、その日にお通夜が全くないというわけではありません。ただ、いまは家族葬が主流の中でさえ、準備やご通知、各方面への連絡など、その日のうちにお通夜となると大変なのですが、少し昔はそれが当たり前であったわけですし、いろんな面で規模も大きかったわけですが、それが成り立っていたわけです。これは葬儀社が、というよりは地域の助け合いにつきるのではないかと。いまは家族葬とはいえ、ほぼほぼの段取りは葬儀社が行います。以前は、段取り的なことは町会や地域の方がどんどん進めてくれたそうです。つまり葬儀社はいろんな道具や人を準備、段取り的なことや振る舞いなんかは地域の方や町会が行う、こんな役割分担があったようです。ですから、まだまだ業界経験が浅い私にしてみましたら、どちらかというと、ご連絡をいただいた日から翌日がお通夜で、翌々日がご葬儀というパターンのほうが一般的で、それよりも日延べしてしまうケースもよくありますから、「今日、お通夜何時から?」と聞かれると、やはりそういうご認識の方が多いのだな、とおもうわけです。ご遺族の感情や火葬炉問題の実情、いろんなことが交錯いたします。やはり故人を早く儀式にて良いところへ行ってもらいたい、という方もいらっしゃれば、却ってゆっくりとお別れできてよかった、と思われる方もいらっしゃいます。ただ思うのは、まだ葬儀が一般大衆化されていないころは、葬儀自体は何日も何日もかけて行われたわけです。当然火葬炉問題なんてありません。基本的に土葬でしたから。火葬炉の問題もあるでしょうが、やはりお葬式に固定概念を持ち出しすぎるとよくないのかもしれません。