先日、ある男性が白黒の遺影写真をカラーに直してほしいとお店に来られました。
30年以上前に作った年代物です。絵で描いたような少しぼやけたものでした。
「親父の顔は、こんなんちゃうねん。もっと、頬のあたりがふっくらしててな・・・」
他にも、アルバムから何枚か故人様の写真をお借りし、それをもとに修正することになりました。後日、できたものをお見せすると、
「ちょっと違うなあ・・・。眉毛はもっと濃かった気がする。」
こうなったら、男性の記憶だけが頼りです。
「顔色はどうですか?ピンク系か?黄色系か?」
「う~ん。どうやったかな。」
参りました、記憶も頼りにならないぞ・・・遺族さんとスタッフで頭を抱えていたところ、ふと気づいたスタッフが、写真の故人様と悩む男性の顔を見比べて一言。
「これだけお顔が似てたなら、肌の色もきっと似ているはずですよ!」
「そうか!わしの肌の色に合わせたら間違いないわ~」
そこにいた一同、大笑い。
後日、完成品をお届けにいったところ、今回作り直した理由を教えてくださいました。
「親父ははやく死んだからな、俺の息子たちではわからん。きちっと作っておきたかってん。」
仏壇やお墓とともに、遺影写真は代々受け継ぐもの。
故人様のことを少しでも正確に残していきたいという想いで作り上げたお写真は、故人が生きていた頃を知る男性だからこそできた良いお顔になりました。