お迎えに行く際の私の思い/大阪市生野区、東住吉区、平野区、天王寺区、北区、福島区、堺市北区の老舗葬儀社かわかみ葬祭のスタッフの現場レポート
冬の寒さも厳しい夜、慌てた声で「母が亡くなったので病院に迎えに来てほしい」
と電話がありました。
「準備してすぐに向かいます」とお伝えし、私は病院に向かいました。
病院に到着すると、息子様がお母様に付き添っておられました。
「お母様をどちらにお連れさせていただきましょうか?ご自宅にお帰りになりますか?
それとも式場にこのままお連れいたしましょうか?」とお伺いすると息子様は少しお考えになった後、
「近所に知られたくないので、式場にお願いします」と仰いました。
準備が整い病院を出発する際に息子様が
「ずっと家に帰りたい、帰りたいって言ってたんやけど、しゃあないなぁ・・・」
と自分に言い聞かせる様に、呟かれました。
「それでしたら、ご自宅の前を通って、式場にお連れしますね」
と私が申し上げると
「そんな事ができるの?お母さん、良かったなぁ」
と息子さんのお顔が少し明るくなりました。
自宅前に車を停め、少し窓を開けると息子様は
「お母さん、帰ってきたよ。ずっと帰りたがっていた家にやっと帰れたよ・・・。よかったなぁ、よかったなぁ・・・」
と泣きながら、お母様の手を握っていらっしゃいました。
そのお姿を拝見し、私はご自宅に寄ることで、にこんなにも喜んでいただけると思っていなかったので、ご自宅に寄って本当に良かったと思いました。
その一方で、私はお客様の何気ない言葉に隠れた本当のお気持ちを残さず拾い上げることができているだろうか?という疑問が涌いてきました。
病院や施設でお亡くなりになった場合、ご家族は悲しむ間もなく葬儀社を手配しなくてはいけません。
たいていの方は混乱し、平常心でいられる方などいらっしゃいません。
そんな時に、ご自分の思いを葬儀社に伝えてもいいのかな?こんな事をお願いしたら迷惑にならないか?など考えておられる方もいるかもしれません。
だからこそ、私はお客様の何気ない言葉に込められた本当のお気持ちを見落とすことなく、残さず拾い上げないといけないと強く思いました。
この思いを胸に経も、お迎えに向かいます。