日ごとに暖かさが増し、春の気配を感じるある日の出来事。
弊社のキタ店に男性と女性2人の3人で来店されました。
前もってお約束のお電話をいただき、約束の時間にご来店され、
男性の方が
「私自身の葬儀をお願いしたいんです。病気を患い余命宣告を受けております。
いつになるかはわかりませんが、私には家族がなく独り身なので、お話をお聞きし、
姉達に託したいのです」とおっしゃられました。
皆さんにお座りいただき、式場や葬儀の希望を色々とお聞きしておりましたところ、
おもむろに封筒を差し出されたのです。
そこには写真が数枚入っておりました。
そして、
「遺影写真にと準備をしてきたんだけど、この中に適しているのはあるかな」
と話されました。
私は、お写真を一緒に拝見し、一番笑顔がすてきな写真をお預かりすることにしました。
病院でご逝去された後の安置場所から、通夜、葬儀に至るまでの流れを説明した後、葬儀の祭壇や必要経費についてもすべてご説明を終えた時、男性はアプローチブックのプランが載っているページを開き一つのプランを指さしながら、「安心した、ありがとう。姉さん、このプランで後はよろしく」と話され、ニコッと笑われました。
そして事前登録をされた後、お帰りになられました。
日差しがきつくなった7月中旬に男性は息を引取られ、打合せ通りにお姉さまより弊社に連絡をいただき、葬儀も終えられています。
葬儀の事前相談は、一昔前までは、『縁起でもない』『申し訳ない』などと罪悪感をもってしまい避ける方がほとんどで考えられないことでした。しかし今では、年々増加傾向にあり、実に多くの方が事前に相談されているという事実があります。現に弊社にも毎日のように事前の問い合わせがあり、ご依頼いただく方の70%もの方が事前にご相談されています。
そして上記の方もまた、ご自身の葬儀を弊社に託していただきました。
私は今でも、事前相談の時に見せた男性の最後の笑顔を忘れることが出来ません。
私どもに葬儀のすべてを託された男性の想いを考えますと、それだけ責任のある仕事をしていることを改めて感じさせられました。
そして事前の相談での対応が大切なのだと、気付かされたのです。
もっと襟をただしお客様と真剣に向き合うことで、少しでも安心をご提供できるように、日々精進してまいります。