「頑張って!と私が言ったら、もう頑張れない。と主人が言ったの・・・」
私が担当させていただいたご葬儀で、喪主様がそうおっしゃいました。
ご主人が癌だと診断された時、すでに完治は難しい状態だったそうです。
「主人は必ず助かる」そう信じて毎日病院へ通えるよう、また退院後の通院の事も考えて、喪主様は病院の近くのマンションに引っ越す事を決めたと仰いました。
そんな強い思いがあったからでしょう、担当医に緩和ケアを進められた時も、少しでも可能性があるなら諦めない・・・どんな姿であっても生きていて欲しいと緩和ケアは断り、「頑張ろうね」とご主人に言ったそうです。
「もう頑張れない」というご主人の言葉に、今まで一緒に頑張ってきたのに、何で諦めてしまうのか?と思い「何で諦めるの?必ず治るから、それまで一緒に頑張ろう」と伝えたら、ご主人は黙ってうなずいたそうです。
その日の夜、ご主人の容態は悪化し、4日後にお亡くなりになったそうです。
「もう頑張れない・・・」がご主人の最後の言葉になってしまいました。
私の前では頑張ると言っていた、でも主人はもっと前からもう無理だと分かっていたのかもしれない。そんな病気で苦しむ主人に頑張れ、頑張れと残酷な事を言い続けてしまった、もっと早く楽にさせてあげればよかった。私の自己満足の為だけに、主人を無理に生かしていただけだったのかも・・・」そんな後悔の言葉を喪主様は口にされました。