『誰の事前相談ですか?』
最近はテレビやマスコミの影響で、事前に葬儀費用の見積りを取られる方が増えてきています。とてもいい傾向ですね。
お昼のワイドショーでも度々取り上げられているご葬儀ネタ。
・生前に葬儀費用のお見積
・突然の不幸ごとに付け込む悪徳葬儀業者?
・『良心的で、いい葬儀社を紹介しますよ』
というフレーズで葬儀社に高額の紹介手数料を請求する紹介会社などなど
いまやネタ不足のワイドショーからすれば、話題の宝庫といった感じですかね。
当社のホームページには問合せフォームがあります
毎日のように、葬儀の質問や、仏事の質問、相続の質問などがきます。
ある日、深夜に送られてきた1通のメール。
内容は、海洋散骨についてです。
大阪で海洋散骨を実施している業者は少なく
自社で海洋散骨をしているのは、たぶん当社のみだと思われます。
そのせいなのか、最近では海洋散骨の事前相談が非常に多くなってきました。
内容は、委託で散骨はできるのかとのこと
海洋散骨の方法は大きく2種類に分かれており
ご遺族が立ち会われる場合と私どもに委託される場合です。
もちろん出来ますと返信すると同時に、もう少しだけ詳しい内容
いつ、どこで、どのようになどをお教え下さいと文章に付けたし送信。
翌日、相手様よりの返信があり
ご遺骨を渡すところ、委託散骨の料金を支払うタイミングなど
より、詳しい内容を教えていただきました。
このような内容で、何度かメールでのやり取りをさせていただき
一度お電話していただけませんかとメールに書き込み送信しました。
すると、翌日に相手様よりお電話があり、お話することが出来ました。
電話口から聞こえてきた声は若い感じの女性。
すこし、焦った感じが伺えましたが、よくあるケースだと思いました。
ここで、最終の打合せをさせていただき、また後日お電話をいただいたときに
正式に契約しましょうと伝え受話器をおきました。
そして、数日たったある日の朝
一本の電話がありました。
『○○警察ですが、そちらの代表者様はいらっしゃいますか?』
なにごとですかと訪ねると・・・。
『○○様が、自殺されまして、遺留品のなかに、御社とのメールでのやり取りが
出てきましたのでご連絡させていただきました。少し、お話を伺ってもよろしいですか?』
なんということでしょう
その方は、事前相談でお話までさせていただいた方
まさかの自殺。
メールでのやり取りで不審なところがなかったかというと
・・・・・・・あった。
それは、4回目のメールでの事
どうも、話が合わない、散骨するのは誰?このご遺骨は誰のだろう?
電話で一度お話してみたいなと思った事があり
思い切って、電話をして下さいとメールしてから、電話でお話させていただいて
明るい声、疑う気持ちはなくなり、問題ないなと判断した。
しかしこの結果。
それから、警察にメールでのやり取りをプリントした資料を提出
事情聴取までされる始末に・・・・。
事前相談といっても実に色々あり
身内にもしもの不幸事があったとき
ご自身が病により、残された家族に対する不安から
近所の葬儀社さんとの見積り比較
などなど、様々な事前相談。
しかし、今回の件は違うと思う。
自身のこの世のお別れ準備を隠れてしていた。
残された家族の悲しみの度合いは天地ほど違う。
家族に突きつけられる受け入れがたい現実。
『よかった、この内容なら私が自ら命を絶っても、誰も悲しまないし
迷惑もかからない、これなら大丈夫』
相談者を安心させてしまったせいでの行為だとするならば
自殺幇助とも取られかねない
悲しすぎませんか?
相談する方はいい、相談された私たちは?
何ともいえない、すっきりしない気持ち。
メールやインターネットの普及で顔を見ずにできるようになった事前相談。
今後、このような内容は多くなると思われる。
本当に大変な世の中になってきました。