お棺に納めるもの…大阪市生野・天王寺・東住吉・阿倍野・平野・北・福島・都島・堺市北区の老舗葬儀社創業明治10年かわかみ葬祭スタッフの思い
ご葬儀では、最後のお別れのとき、お棺の中に故人様の大好きだったお花や思い出の品などさまざまな品物、いわゆる副葬品を納めて差し上げたいというご要望を聞きます。
勿論、お棺の中に納められるものと、できないものがあります。
実は火葬場側からしますと、本来、副葬品は何も納めてほしくない…というのが本音のようです。
とはいえ規則的な話で言いますと、燃え残ってしまうもの(金属製品・ガラス類・紙幣・硬貨・分厚い本など)や、燃えるときに有害ガスが発生するようなもの(スプレー缶やプラスチック類など)は火葬炉を傷めてしまったりする可能性があるので、禁止とされています。
火葬炉を傷めるくらいですから、火葬中にご遺骨にも影響があるような危険性もあります。
逆に、よく納められたいと仰られるものの大半は、問題なく火葬されます。
たとえば、ご遺族が故人様に書かれた手紙や故人様愛用の洋服や着物、そしてお菓子など好物の食べ物やアルコール類などは、「どうしても入れてあげたい」とご遺族から強く仰られることもあります。
ご遺族がどうしても納めてあげたいという、強いご要望をされた副葬品で、とても印象に残る出来事がありました。
それはお打ち合わせのときのこと。
故人様といえば登山、というくらい山登りがご趣味だったそうで、必ず愛用の帽子を被って出かけられていたとのことでした。
ですから、その愛用の帽子をお棺に納められたい、というのは当然のご要望であったわけです。
ただそこで私は、この帽子を被られて登山をされていらっしゃる故人様のことを、想像で思い浮かべていました。そのとき、「あ、こんなご提案をしたらどうなんだろう?」と頭に浮かぶや否や、お応えいたしました。
「もちろんです、是非とも納めて差し上げましょう。でも、もしよろしければせっかくなので帽子を被らせてあげてお送りしませんか?」と。
その言葉を非常に喜んでいただき「ぜひ被せてもらいたいです」と仰っていただきました。
「あぁ、お父さんがかえってきたみたい!本当にありがとうございました!」
この時に、愛着のある帽子を、「お棺に納められるもの」として納めただけだったら、どうだったのか?
ご遺族は、それでも満足されたのかもしれません。
またタイミングとして、一歩遅かったら、被せて差し上げられなかったかもしれません。
棺に納められる一つひとつの思い出の品々に込められる想いは、本当に計り知れないくらいの思いがあるのだと感じました。
本当にご遺族に寄り添う、ということはこういったところからでも、私たちが気付いて差し上げなければと強く感じさせていただけたご葬儀でした。