事前のご相談での私の思い
夏の日差しも幾分和らぎ過ごしやすくなってきた頃、以前、私がご葬儀のお手伝いをさせていただいた方のご紹介で、事前のご相談に来られた方がいらっしゃいました。
「どなたかご心配な方がいらっしゃるのですか?」と私がお伺いすると、
「母の病状が思わしくなくて・・・。友達が、かわかみさんにお願いしてよかったって言うてたから話を聞きに来たの」と、おっしゃっていただきました。
「ご不安に思っていらっしゃることや、どのようにお母様を見送って差し上げたいかなどお聞かせ願えますか?」とお伺いしたところ、
「ずっと家に帰りたがっていたから、一度家に連れ帰ってやりたいなぁと思っているのですが、仏間が二階やから連れて帰るのは難しいのかなと・・・」と、迷われていたため、
「問題は何もございませんので、お母さまが帰りたいと仰っていたのであれば、是非連れて帰って差し上げましょう」と私が申し上げると
「ありがとう。やっぱり連れて帰ってあげたかったから、そう言ってもらって嬉しいわ。相談に来てよかったわ」と少し安心された様でした。
「ご不安なことがあればいつでもご連絡下さい」とお伝えし、その日の相談を終えました。
その3カ月後、少し肌寒い朝に、お母様がお亡くなりになったと、その方からご連絡がありました。
病院にお迎えに上がり、ご自宅に安置が終わった時に、
「亡くなる前に相談に行くなんて気が引けたけど、前もって話を聞いていたおかげで亡くなった時も慌てずに済んだし、母の希望通り家に連れて帰ることもできて本当によかったわ」とのお言葉をいただきました。
そのお言葉に私は、はっとさせられました。
葬儀社に相談に来られる方は後ろめたい気持ちを抱きながら、それでもご不安なのでご相談に来られているのではないだろうか?
そして一番に思ったのは、ご相談にこられてから、あれからの3ヵ月、どんな思いでいらっしゃったのだろうか?
私は、そういったお客様の心情を理解し、向き合うことができていただろうか?
お客様に安心していただける様な伝え方はできていただろうか?
日々の仕事の中でもっと勉強し、もっとお客様の言葉に耳を傾け、ご相談に来ていただいた方にご安心していただけるようにならなければならないと痛感しました。
この思いが、私の仕事に対するモチベーションであり、そのことを再確認させていただいたお言葉でした。