再会 創業140年 大阪生野の老舗葬儀社スタッフが語る葬儀のリアルな現場。生野区、東住吉区、天王寺区、阿倍野区、北区、福島区の家族葬
先日、ご近所のいつもお世話になっている方のお父様のご葬儀を担当させていただきました。
お父様は数か月前からご入院されていらっしゃったとのことで、お亡くなりになられる数日前、ご相談にお越しになられた喪主様と前もって打ち合わせをさせていただいておりました。
実は、その方のご葬儀をお世話させていただきますのは2回目で、前回は喪主様のお嬢様のご葬儀でした。
お父様の時とは違い、突然の出来事でした。
まだ20代半ばのお嬢様の突然の死にも、喪主様は取り乱すことなく、いつもと変わらない穏やかな口調でお話しされながら、1歳に満たないお孫様を片時も離されず、ずっと抱いていらっしゃいました。
お孫様を優しく抱きかかえながら式場へ行ったり来たりされ、時折、祭壇に飾られた成人式の晴れ着姿のお嬢様のお写真をじっと見つめられ、お孫様がぐずれば、すぐに愛子ながら、また式場を行ったり来たり…と繰り返されていらっしゃったことを今でも鮮明に覚えています。
押しつぶされそうなお気持ちを必死でこらえ、お孫様を抱くことで何とか、平常心を保とうとされているように私には見えました。
通夜のお勤めが終わり、寺院様がご退席された後、奥様は式場で柩の中のお嬢様をただ黙ってずっと見つめておられました。
そんな奥様を気遣うように、喪主様はご親戚の方々の接待を一人で行い、ずっと気配りをされていらっしゃいました。
喪主様の挨拶の際も、お嬢様との思い出を静かに語られ、「遺影写真の時よりも大きくなった娘を見てやってください」と、最後まで涙を見せることなくご参列の皆様の前で最後まで気丈にふるまわれていらっしゃいました。
あれから3年。
お嬢様の葬儀の際に抱いていらっしゃったお孫様は随分大きくなられ、式場を走り回って喪主様に注意されていました。
この度のお父様の葬儀におきましても、喪主様はご親戚方々にいつものように気配りを欠かさず、ご挨拶ではお父様との思い出を静かに語られていらっしゃいました。
お父様のお骨を抱いてご自宅へ戻られた喪主様が、最後の挨拶で
「今頃、父は娘と会っていることでしょう…」
喪主様はお父様の葬儀の際、皆がこの自宅でいっしょに過ごしてきた日々を思い出し、お嬢様のことをずっと気にかけていらっしゃったのだと思うと、とても胸が締め付けられる思いになりました。
子供はいつまでも子供で、亡くなられていたとしても、その子が淋しくないか、なんか困ってはいやしないか、と思うのは、当然のことかもしれません。
この3年どんな思いでお過ごしになられてきたのか。
大切な方を亡くされた悲しみは簡単には癒されるものではありません。
ですが喪主様の最後の挨拶で、喪主様をはじめ、ご家族皆様が、以前のときのように皆が一緒に集まっていた楽しい思い出を思い浮かべていらっしゃったのではないでしょうか。
他人である私でも、再会されていらっしゃるお二人のことを考えてみると、なんだか暖かな気持ちになりました。