火葬場も地域によってさまざま
大阪市内に火葬場は五箇所(平野区の瓜破斎場、北区の北斎場、大正区の小林斎場、
鶴見区の鶴見斎場、西淀川区の佃斎場)あり、すべて市営となっています。
一方、東京は民間の火葬場が非常に多いのが特徴です。どちらが良いというわけで
はなく、それぞれに一長一短があるように思います。
なぜなら、公営は料金に関しては安いのですが、そのかわり役所のように融通性に
とぼしく、私たち専門家の立場から申しますと、運営に関して改善の余地がたくさん
あるように思います。
それに対して民営の場合は、さすがにお客様のことを考えた施設や対応ぶりで、非
常に評価できますが、費用は高くなります。
火葬炉にもランクがあって、一番高いものではン十万円もするそうです(大阪では考
えられないことです)。
そんな火葬場ですが、やはり地域によって利用方法や規則が様々なのです。
大阪で火葬場が登場したのが昭和のはじめ頃。
今では見ることもありませんが、高い煙突から黒い煙がもくもくと見えると、『あっ、
誰かを燃やしてる』と子供ながらによく言ったものでした。
職員さんは、全員が黒いサングラスをかけており、なんだか怖い感じだったのを覚えています。
今でこそ、サングラスを外している方もいますが、まだしておられる方もいらっしゃいます。
なぜなら、火葬執行のボタンを押すのに自分の素顔がわかってしまうと、故人に恨まれるもしくは、遺族に恨まれるということを恐れたからだそうです。
もちろん、本当はそのようなことはないのですが…。
なお、写真撮影はどこの火葬場でも禁止となっています。
また、大阪市内の火葬場は年間364日稼動しています。
1月1日だけが休みとなっているのです。ですが、葬儀社はこの日もお仕事です。
なぜなら、お通夜はできるからです。
他の地域や大阪以外では、友引の日に火葬場が休みのところが結構あるそうですが、
大阪市内はそうではないということです。
元日以外は毎日、午前11時から午後4時までの火葬が行われます。
つまり、朝一番のお葬式は午前10時~11時で、最終のお葬式は午後3時~4時
というのが大阪では一般的です。
なかでも、その日にお骨上げができるのが、午後2時~3時までのお葬式が最終
ということですから、ほとんどの方がその日に収骨できる時間帯を希望されます。
260万人の大都市・大阪の場合、火葬場を希望する日が先約で埋まっており、
日延べしなければならないこともあるということです。高齢化がますます進むなか、
2日3日の日延べが当たり前になるのではないでしょうか。
一部には火葬場が少なすぎるという声もあるくらいです。
最後に。最近、大阪市内の葬儀は『半出し』といって、○時半から○時半までという
時間設定のお葬式が多くなってきています。
知らない方はなぜこんな中途半間な時間設定なのかとご不審に思われるかもしれません。
初めのころは、当社もかたくなにこの時間設定を否定していましたが、
最近では行うようにしています。
理由は火葬場の数と交通渋滞にあります。
火葬場は、従来からの慣習で出棺時間で予約しますが、その予約時間から30分以内に到着しなければならないのです。
たとえば、11時の火葬場予約を行うと11時30分までに到着しなければなりません。
火葬場の数が少ないので、遠くの火葬場まで行かなければならない場合があり、
片道30分かかる地域からのご出棺なら、ちょっと渋滞や工事に遭遇したら遅刻ということになってしまいます。
そこで、繰り上げて11時の予約の場合は9時半から10時半のお葬式としました。
そうすると、火葬場へ到着しなければならない時間まで60分ありますので、慌てずに余裕を持って到着できるということになったのです。
最初はその時間設定に疑問をもたれる方も多かったのですが、広まると不思議なもので、逆に最近では当たり前のようになりつつあります。
まぁ、火葬場から近い地域や火葬場併設の式場でお葬式をされる方には、あまり関係のない話ですが…。