ある日、遺族様から電話があり寝台車で病院まで故人様をお迎えに走りました。
到着して地下の駐車場に直接繋がる霊安室を通りがかると、真っ暗で誰もおられない様子。
受付に行くと、「ICUに行って下さい」とのこと。
ICUに行くと、「どうぞ」とつっけんどんにドアの前で案内する看護師が立っていました。
入ってびっくり、ベットがたくさんあり、ずらりと人が寝ているのです。
「どうぞ」と言われてもどの方かもわかりません。
それに、生死の境をさまよう方の横を、どこの誰ともわからない葬儀社スタッフを通らせて大丈夫なのでしょうか?
どんな細菌を外でもらってきているかわからないわけですから。
それに、各ベットに看病のため各家族が付き添われているかもしれないのです。
いないとしても、患者さんはおられる。こんな、まる見えの状態ではその方たちにも精神的に大きなダメージを負わせるかもしれません。
「えっ?何か変。この病院」
と感じ、わたしが動かずにいると、やっと各ベットの周りにあるカーテンを引いて目隠しをしてくれました。
ご遺体をストレッチャーに安置している間にも「はやくしてくれますか?」と言ってきた看護師の態度に遺族様も怒り心頭。
式場までの寝台車の中で「亡くなったとたんに看護師がものの数分で、ある葬儀社を手配しようとしたよ。何を考えてるのかとびっくりした。事前にあなたのとこを探しておいて良かった」とおっしゃっていました。
噂ではなく、本当の事実。病院の品格が現れる最後のお見送りの仕方ですが、今回はとても残念に思いました。