「俺の葬式はマイケルジャクソンの音楽と赤いバラで飾ってや、なんか辛気臭いのが嫌やねん」
これが奥様から伺った「ご本人から葬儀社へのメッセージ」でした。
それまで大きな病気も無く、いつも明るく賑やかな事が大好きで友人や家族を大切にされていたご主人。
若いころはディスコで朝まで踊り明かし、ファッションなども詳しくオシャレな方で周りを楽しませるエンターテイナーだったそうです。
まだまだ働き盛りで仕事に家族とこれからたくさんの思い出をつくる矢先の出来事でした。
1年前に身体の不調を感じ、病院で診察を受けたところステージ4の末期癌と医師から説明を受け、その瞬間から入院手続きから仕事関係への連絡と慌ただしく時間が流れていき、その後、奥様より当社へご葬儀のご依頼がございました。
ご自宅へお伺いし、奥様と娘様達と4人で葬儀内容についての打ち合わせ。
というよりはご主人の希望をどんな形で表現できるかを細かく説明していく説明会のようでした。
ご希望に沿って柩の周りを赤いバラで埋め尽くし、式場に設置したスクリーンにマイケルジャクソンの映像と音楽を流すことに。
スターウォーズも好きだったということで娘様がキャラクターバルーンを式場に装飾してくれることになりました。
会葬者に配る粗供養は大好きだったアニメの主人公が印刷されたパッケージのお菓子を準備してお配りするなど、ご家族がそれぞれの意見を出し合い決まっていきました。
宗教色はできるだけ出したく無いそうで宗教家は呼ばず、来られた友人の方々が故人様と語り合える空間にしたいというご希望だったので、式場の設営もそれに合わせて皆様が語り合える場所も設置。
お通夜が始まり、マイケルジャクソンのリズミカルな音楽をバックに、ご主人が華麗な踊りを披露していたころのスライドが流れ、ご友人の方々は懐かしそうにご覧になっていました。
来られたご友人は「最後までエンターテイナーやなぁと」と口々におっしゃっておられました。
故人様のご遺影は満面の笑みで皆様を見ておられます。まるで「してやったり」という表情で。
故人様は短い余命に絶望せず、最後まで前向きに生き抜かれ、周りの友人を楽しませることを考えておられました。
ともすると我々葬儀社は残されたご家族の意向だけを伺い、それを表現することで頭がいっぱいになっていることもありますが、今回の生前中からのメッセージをもとに経験させていただいた一連の流れで、今後もっと深く故人様の思いも汲み取っていかなければと非常に大切なことを学ばせていただきました。
「楽しく」「厳かに」「シンプルに」、、、様々な思いを全て汲み取って表現できるように日々精進いたします。