深夜の出来事です。
ピリリリリ!!電話が鳴り響き慌てて受話器を取り「川上葬祭 地田でございます」と名乗った後、受話器の向こうから慌てた女性の声で『先日事前相談をした○○です。先ほど父が亡くなりました・・・』
「はい。○○様ですね。」ではすぐに寝台車の手配を致します。病院の先生は何時頃までにお迎にあがればよいかおっしゃっていましたか?」
『はい。○○時頃と言っています』
「安置先は先日のご相談どおり、ご自宅ですね」
『はいそうです』
「では、○○病院に○○時頃にお迎えに伺います」
『はい、お願いします。それと、地田さん・・・』
「はい、どうされました?」
『父が入院していたこの病院には出入りの葬儀社があるらしく、看護師さんに、その葬儀社の寝台車を使用するようにと強く言われたのですが、決めた葬儀社があるのでと断ったのです。
しかし病院の方針で必ず、お迎の際に出入りの葬儀社が立会をしなければならないという決まりがあるそうで・・・』
「なるほど。分かりました。もし何かあれば、私がすべての対応致しますのでご安心下さい」『ありがとうございます。じゃあ病院で待っています』
「はい。それでは一旦失礼致します」
受話器を置き、すぐに寝台車の準備をし、深夜の谷町筋を疾走しました。
病院へ到着すると、正面玄関に葬儀関係者らしき人影が・・・。
搬送口に寝台車を停車すると、先ほどの人影が私の方に歩いてきました。
男性の私でも少し腰が引くような方が現れ、私は少し緊張しながら挨拶をかわしました。
「川上葬祭の地田と申します」
『○○セレモニーの○○です』
しばらくの沈黙・・・
挨拶の後、私は搬送用ベットの準備を行い、病室へ向かいました。
遺族様に挨拶をし、故人様を自宅へお連れする準備を手早く行い、
遺族様を寝台車までご案内の間、葬儀関係者が随時同行し監視の目を光らせておりました。
私は遺族様の乗車を確認したのち寝台車で病院をあとにしました。
走行中の車内で遺族様が話してくださったのですが、
『あの葬儀社の方、本当に強引で嫌だった。
何度も寝台車を断ったのに、病院の決まりだからと強引に勧めるの』
本来、このような方法で勧誘することは違法だと思います。
また、病院内に葬儀社従業員が常駐している部屋もあると聞いたことがあります。
葬儀社も様々な方法を使って葬儀の依頼をうけようと、あの手この手で営業してきます。
よけいなトラブルを防ぐためにも事前の葬儀社選びが重要だと思います。