身をもって
先月、父親が胃癌になったと母から知らされました。
年齢的にそのようなことがあってもおかしくないとは思いつつも、実際に「胃がん」になったと聞いても、あまり現実的に受け止められませんでした。
仕事柄、他の人より病気になる方や亡くなる方についての話を聞くことが多いのですが実際に病院へ「患者の付き添い」として行ってみると、わからないことだらけで、少しずつ「大変な状況なのだろう」と現実が見えてきました。
入院に関しても、こんなにも準備しないといけないのか、と思うほどたくさんのものが必要でした。
洗面用具・タオル・室内用スリッパ・小さいスプーン・着替えなどの生活用品から、健康保険証・マイナンバーカードなどの関係まで、あらゆるものの準備が必要でした。
お客様と事前のご相談でお会いするタイミングとしては、入院されてからというタイミングに来られることが多いです。ただでさえ病気のことを聞かされ、準備に一苦労し、そして葬儀のことまで…
それは、相談に来るのは並大抵のお気持ちではないのであろうと、このような境遇になってよくわかりました。
父親の場合は幸いにも入院期間も短く、命に係わる状況になることはないと、お医者様から伝えられていたので、入院の準備と退院後のことだけを考えればよかったですが、それでも家族で毎日誰かはお見舞いに行き、退院後の準備をするなどやらなければいけないことがたくさんありました。
今回父親が入院したことで一番考えさせられたことは準備の大切さです。学校の授業や仕事等なんでも準備が大事だとは思っていました。
ですが、今回父親が入院して慌てて色々なことを調べだしている自分がいました。
終活をされる方・ご高齢の方・お身内がご入院された方など、事前相談に来られる方はたくさんいらっしゃいます。
お葬式の「準備」という言葉は、まるで「死」に向かっているようなことでそんなところから、と敬遠されがちです。
ですから私は、準備という気持ちよりも、「知識をもつ」「知っておく」という気持ちで聞いてくださいと、ご相談者様にはお伝えします。同じことと思われるかもしれませんが、気持ちの中では、私は全く違うと思います。
私は今回、父の入院を機に、改めて「寄り添う仕事」だと強く思い直して、こういう経験一つ一つがあって、寄り添いの意味が少しずつわかってきた気がします。