2026.07.29
私たちがご遺族をサポートする中で、故人様の「お体のご処置」についてご相談を受けることがよくあります。
その代表例が「湯灌(ゆかん)」と「エンバーミング(遺体衛生保全)」です。
どちらも故人様を美しく整える技術ですが、実は現場の私たちから見ると、その必要性やご遺族の満足度には大きな違いがあります。
まず、私たちが自信を持って心からおすすめしているのが「湯灌」です。
湯灌とは、故人様をお風呂に入れてお体を洗い清め、お化粧や旅支度を整える儀式です。
現場の感覚として、湯灌を体験されたご遺族からお褒めの言葉をいただける確率は、大げさではなく「ほぼ100%」と言っても過言ではありません。
長く闘病生活を送られてお風呂に入れなかった故人様が、湯灌によってすっきりと、まるで生きているかのように穏やかな表情に変わっていく姿を目の当たりにすると、ご遺族からは「本当に綺麗にしてもらって、本人も喜んでいると思います」と涙ながらに感謝されます。
湯灌は単にお体を洗うだけでなく、ご遺族が故人様の肌に触れ、看取りの覚悟を決めるための「心のしわを伸ばす」本当に温かい儀式だと感じています。
一方で、近年よく耳にするようになった「エンバーミング」については、私たち葬儀社スタッフの本音を言えば、「本当に必要な方以外は、あまり必要性を感じていない」というのが正直なところです。
エンバーミングは、防腐剤などを体内に注入して長期保存を可能にする特殊な技術です。「海外へご遺体を搬送する」「火葬までに何週間も待たなければならない」「事故などでどうしてもお体の修復が必要」といった特別な事情がある場合には、これ以上ない心強い選択肢になります。
しかし、通常の日本の葬儀スケジュール(数日内の火葬)であれば、適切なドライアイスによる冷却処置だけで十分にお体を綺麗に保つことができます。それにもかかわらず、何十万円もの高額なエンバーミング費用を、すべての葬儀に一律で勧めようとするケースが一部で見受けられます。
実は、国民生活センターなどに寄せられる葬儀トラブルの事例でも、「不要だと思ったのに無理に高額なエンバーミングを勧められ、断りきれずに契約してしまった」という相談は少なくありません。
良い葬儀社というのは、湯灌のように「ご遺族の心に寄り添い、本当に満足していただけるもの」を丁寧にご提案し、エンバーミングのように「高額だが、その方にとって本当に必要か見極めるべきもの」については、メリットとデメリットを誠実に説明してくれる会社です。
最後のお別れの限られた時間の中で、不要な費用負担や後悔を避けるためにも、オプション一つひとつの意味をしっかりと説明してくれる葬儀社を選んでくださいね。