いざというときに慌てない！葬式の流れを徹底解説

葬儀は、愛する人を失った悲しみを共有し、故人を偲ぶための大切な儀式です。しかし、その準備や手続きは複雑で、多くの人にとって初めての経験となります。

この記事では、葬式の流れとその重要性、事前準備から葬儀後の手続きまで、いざという時に慌てずに済むよう徹底解説します。
故人に対する最後の礼を尽くし、その貴重な時を適切に過ごすために必要な知識をここで身につけましょう。

葬式はなぜ必要なのか

葬儀は故人を悼み、遺された家族や友人が悲しみを共有するための重要なプロセスです。
この儀式には三つの目的があります。第一に、宗教的儀礼として故人の魂を慰め、供養します。第二に、物理的な側面から見れば、遺体を火葬し、自然に返す方法です。最後に、社会的な役割として、故人との最後のお別れの機会を与え、関係者が亡くなったことを現実として受け入れる手助けをします。

このようにして、葬儀は故人への敬意を表し、同時に遺族が人生の新たなスタートを切るためのきっかけとなります。

葬儀の事前準備

葬儀は遺族にとって心理的、物理的に負担の大きい行事となります。そのため、親の葬儀を巡るトラブルを避け、スムーズに進めるためには事前の準備が重要です。

具体的には、以下のステップを踏むことが推奨されます。

・危篤
・ご逝去
・家族や近親者への連絡
・死亡届の提出
・葬儀社の手配
・遺体の搬送・安置
・葬儀の打ち合わせ・打ち合わせ
・僧侶の手配（仏式の場合）

それぞれ解説します。

危篤

危篤状態とは、患者の回復可能性が見込めず、いつ逝去しても不思議ではない状態を意味します。
この時期には、家族や親族への迅速な連絡が重要です。限られた時間を大切にし、故人が最後に会いたいと望む人々に声をかけることが大切です。

心残りがないように、故人との最後の瞬間を大切にすることが、遺族としてできる最善の行動です。
簡潔かつ明確に、大切な人の危篤を知らせ、共に過ごす時間を尊重しましょう。

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ご逝去

臨終の知らせを受けた際は、家族や兄弟へ速やかに連絡することが必要です。
危篤の状態が既に伝えられていた場合、家族はすでに状況を懸念していますので、速やかに最新の情報を共有することが望ましいです。連絡手段については、速さと便利さを最優先にして選び、方法選択に際して制限はありません。

この手順は、遺族が直面する困難な時期において、情報を明確に保ち、連携を取るための基本的なステップです。

家族や近親者への連絡

ご臨終時には、できるだけ多くの親しい人々が同席することが理想的ですが、実際には難しい場合が多いです。
遠くに住む家族や、三親等以内の親族が直接参加できない場合も考えられます。そうした状況を見越して、臨終が近いことが予見される時には、これらの近親者へ速やかに情報を伝えることが大切です。

電話連絡は、速やかで直接的な情報伝達に有効であり、故人の状況を速やかに伝える最善の方法です。事前に親族の連絡リストを作成し、定期的なコミュニケーションを心掛けておくことで、いざという時に素早く連絡を取り合えるように準備しておくことをおすすめします。

死亡届の提出

ご家族が亡くなられた際は、まず医師が死亡を確認し、死亡診断書を作成します。
自宅での逝去の場合、かかりつけ医または病院の救急外来に連絡することが求められます。その後、死亡診断書を基に死亡届を準備し、逝去から7日以内に市町村役場に提出します。

この一連の手続きは、葬儀社に委託することもできます。これにより、故人の死が公式に記録され、関連する手続きが適切に行われることになります。

葬儀社の手配

死亡確認後、ご遺体は一時的に病院の霊安室に運ばれますが、長時間の滞在はできません。そのため、葬儀社による安置場所への搬送が必要です。病院が葬儀社を紹介する場合もありますが、自身の要望に合ったサービスを提供する葬儀社を見つけることが大切です。

病院の推薦を断ることに礼儀違反はありません。故人との納得のいくお別れを実現するために、複数の葬儀社を比較し、検討することが重要です。
故人への最後の敬意を表しつつ、遺族の希望に沿った葬儀の実施を目指します。

遺体の搬送・安置

葬儀が行われるまでの間、故人の身体は通常、式場や自宅にて安置されます。
葬儀社に搬送先を伝えると、専用の寝台車で遺体を安置場所まで運んでくれます。ご遺体の搬送を葬儀社に依頼する場合、その葬儀社で葬儀を行うことが一般的です。また、ご遺体の搬送のみを依頼し、葬儀は別の業者に依頼することも可能です。

この選択は、遺族の意向と故人への敬意を反映して決定されることが望ましいです。適切な葬儀社を選定することにより、故人への最終的な敬意が払われ、遺族が心の準備を進める手助けとなります。

葬儀の打ち合わせ

遺体を安置した後、葬儀の方針を決めるために家族会議を開くことが大切です。この会議では、家族が集まり、故人の遺志を尊重した葬儀の形態や規模、宗教的な側面、喪主の指名、使用する遺影、そして費用の範囲について意見を交わします。この初期段階での合意形成は、葬儀社とのスムーズな協議に向けた土台となります。

葬儀社との具体的な打ち合わせでは、葬儀の日程、式場や火葬場の選定、葬儀形式や規模、予算に基づくプランの策定、棺や祭壇、供花、接待料理、返礼品など、葬儀を実施するために必要な各項目を詳細に決定します。

この過程では、故人にふさわしい葬儀を実現するために、葬儀社の担当者との密な連携と明確なコミュニケーションが求められます。適切な打合せにより、遺族は故人に対する最後の敬意を表す葬儀を準備することができます。

僧侶の手配（仏式の場合）

仏式での葬儀を執り行う際には、読経や戒名を授けるために、僧侶の手配が必須条件です。
もし普段から関わりのある菩提寺があれば、連絡を取り、僧侶を手配しましょう。菩提寺がいらっしゃる場合、その菩提寺のスケジュールに合わせて葬儀の日程を決定することが一般的です。菩提寺がない場合には、葬儀社へ寺院紹介を依頼することができます。

紹介の場合、葬儀の日程に合わせて僧侶（寺院）を紹介してくれるため、適切に僧侶（寺院）を手配してくれます。

葬儀までの流れ

葬儀を迎えるまでの過程は、遺族にとって多くの決断と手続きを必要とします。事前に準備と理解を深めることで、心理的な負担を軽減し、故人にふさわしい葬儀を行うための基盤を築くことができます。

具体的な流れは以下の通りです。

・湯灌（ゆかん）・納棺
・通夜
・通夜振舞い
・葬式・告別式
・出棺
・火葬・お骨上げ

それぞれ解説します。

湯灌（ゆかん）・納棺

お葬式では、故人への最終的な別れを告げるために湯灌および納棺が行われます。湯灌は、故人の体を洗浄し、化粧をして、最後に故人を死装束へ着替える儀式であり、故人の尊厳を保ちながら生前の姿を再現することに努めます。納棺の際には、故人の人生の旅を象徴する副葬品を棺に添えることもできます。

故人の愛用していた品物や好物なども棺に入れられることがありますが、棺内に納めることが許される物品には規則が存在するため、前もって確認が求められます。

このように、湯灌と納棺は故人に対する深い敬意を表現する重要な手続きであり、遺族にとっても故人との最後の時間を形作る貴重な儀式となります。

通夜

お通夜は、葬儀・告別式の前日に行われ、家族、親戚、故人と縁のあった人々が集まり、故人と最後の夜を共にします。
夕方18時頃から始まり、仏式では僧侶が読経し、参列者が焼香を捧げます。法会終了時間は参列者の人数によって変わりますが、一般的には21時頃には終わります。

故人の姿がある最後の夜となりますので、故人を偲び、遺族や友人が互いの悲しみを分かち合う貴重な機会となります。お通夜は、故人との思い出を振り返り、心の準備を整えるための重要な儀式です。

通夜振舞い

通夜の後に行われる通夜振舞いは、参列者に対する感謝の意を表し、故人を偲ぶためのものです。
この際には、訪れた弔問者や親族、親戚への感謝を示すために食事と飲み物が振る舞われます。これは故人との最後の食事を象徴的に共にする意味も持ちます。

通夜振舞いへの招待は、遺族の希望や地域ごとの風習に左右されますので、不明な点がある場合は葬儀社や経験豊かな親族へ相談をしましょう。

ちなみに大阪の場合、通夜振舞いは親族、親戚、近しい友人に対して行い、一般参列者へは行わないのが一般的です。

この行事を通じて、故人の生前の思い出を語り合い、故人への敬意と感謝の気持ちを共有することができます。

葬式・告別式

通夜の次の日に執り行われる葬儀・告別式は、火葬のスケジュールに応じて開始時間が設定され、一般に式の約1時間前から参列者を迎え入れます。

式が開始されると、僧侶によって30分から60分の読経、この読経中に故人への戒名が授けられます。また一般葬では、故人と親しい関係にあった人々による追悼の言葉や弔電が読み上げられ、再び読経が実施されます。

後半の読経中に、遺族や親族、そして参列者全員が順番に焼香を行います。この流れは、規模、形式、宗旨宗派によって形式が異なるため、予め確認しておくことが大切です。式の締めくくりには、司会者による閉会の言葉が述べられ、お別れの儀へと移ります。

出棺

葬儀・告別式が終わった後、故人を火葬場へと送り出すお別れの儀が執り行われます。
この時、喪主と遺族、さらには参列した全員が集い、故人の柩に花などを納めて最後のお別れをします。花を納め終えた後、棺の蓋を閉めて、故人を火葬場へと運ぶ出棺が開始されます。

なお、火葬場に同行しない参列者は、この時点で式場から解散することになります。

火葬・お骨上げ

出棺の後、霊柩車によって故人、喪主、そして葬儀社のスタッフが先導し、遺族と親しい人々がマイクロバスや個人の車などで火葬場に向かいます。

火葬場に到着してからは、僧侶が火葬炉前にて読経、喪主をはじめ遺族や友人たちが順番に焼香をおこないます。

この儀式後、棺は火葬炉へと移され、火葬が始まります。火葬は約1時間半〜2時間を要し、大阪ではこの火葬の間に「精進落とし（仕上げ料理）」を行う慣習があります。

葬儀後の流れ

葬儀が終了した後も、遺族が行うべき手続きや儀式がいくつかあります。これらは故人を偲び、遺族が新たなスタートを切るための重要なステップです。

具体的な流れは以下の通りです。

・還骨法要・初七日法要
・精進落とし
・散会・ご帰宅

それぞれ解説します。

還骨法要・初七日法要

還骨法要とは、ご遺骨になられた故人がご自宅へ戻られたときに行う法要です。

また初七日法要は、亡くなった方を悼み、その魂を供養するために行われる法事で、本来は逝去から7日後に実施されます。（この初七日の数え方は、東日本、西日本、宗旨により違いがあります。関西では、浄土真宗を除き、ご逝去日の1日前から数えます。）
近年では、還骨法要と併せて葬儀当日に先行して行う「繰り上げ初七日」や、葬儀・告別式の一部として「式中初七日」を取り入れる例が一般的になってきています。

これらの法要は通常、15分〜30分程度で行われ、僧侶が読経を行った後、家族や親族が焼香をし、最後には喪主が挨拶を行って終わります。

このような形式の変更は、現代人の忙しい生活や、遠方に住む参列者の事情を配慮したものです。繰り上げや式中初七日法要は、故人に対する尊敬の念を保ちつつ、遺族の心身の負担を考慮した優しい選択として広く受け入れられています。

精進落とし

本来は、忌明け（49日法要）後に普通の食事に戻ることを「精進落とし」と呼んでいましたが、大阪では火葬からお骨上げの間に、葬儀に参加した人々や僧侶への感謝の表現として行われ、喪主の挨拶の言葉によって始まります。大阪ではこれを「仕上げ料理」という言い方もします。
この時間は、喪主が食事を通して参列者に感謝を伝え、お互いの絆を深める貴重なひとときです。
近年では、僧侶が同席するケースは稀で、御礼の形で「粗飯料（御膳料）」をお渡しすることが一般的です。

精進落としは通常1〜2時間程度で行われ、メニューは祝事に使われる食材を避けた和食中心で構成され、その内容は予算や規模に応じて選ばれます。
この会食を通じて、故人の思い出を共有し、遺族と参列者が相互に励まし合う機会となります。

散会・ご帰宅

初七日法要と精進落としを経た後、葬儀は散会となります。
この時、喪主は散会の挨拶を通じて参列者全員に感謝の意を表します。この挨拶は、葬儀に参加してくれたすべての人への感謝を伝え、故人への最後の敬意を示す重要な瞬間です。

散会の挨拶は葬儀の締めくくりであり、遺族と参列者が共に故人を偲び、支え合った経験を胸に帰路につくための大切な一歩となります。

葬儀後に必要な各種手続き

葬儀と初七日法要が終わり、散会してからの日々は、遺族にとって新たな生活への転換点となります。この期間には、故人に関するさまざまな手続きを進める必要があります。

以下に、葬儀後に必要な主な手続きを紹介します。

・関係者への御礼（返礼品など）
・四十九日法要の準備
・四十九日法要・納骨式
・香典返し
・各種手続き
・葬儀費用の支払い
・役所・保険会社・銀行への手続き
・遺品整理

それぞれ解説します。

関係者への御礼（返礼品など）

葬儀の完了に伴い、遺族はサポートしてくれた全ての人々に感謝の気持ちを伝えます。
この対象は家族や地域の住民、職場の同僚まで広がり、面会の約束や心付けの持参は礼節に則った行為です。

さらに、葬儀終了後には多くの手続きが遺族を待っています。これには葬儀費用の清算、喪中通知の発送、故人の遺品の整理、相続の手続き、年金の手続きの停止、銀行口座の変更などが含まれ、これらにはそれぞれ期限が設けられています。

速やかな行動が必要とされるこれらの手続きは通常、喪主によって管理されますが、場合によっては家族や法的支援を求めることも一つの選択です。

これらの活動は故人への最終的な義務を果たし、遺族がこれからの人生へと歩み出すための基礎を築きます。

四十九日法要の準備

四十九日法要は、故人の成仏を願い、遺族が新たな生活を始めるための重要な仏教式儀式です。
この期間中、遺族は故人への深い敬愛の念を込めて、僧侶による読経やお供え物の奉納を行います。適した場所の選定、僧侶への連絡、そして儀式に必要な準備は、法要を滞りなく進行させるために欠かせません。

また、故人の遺影や位牌を飾る後飾り段を通じて、故人を日常の中に留め、遺族が慰めを見出します。
これらの行事を通して、故人との絆を再認識し、遺族が平穏な心持ちで新たな章を開始できるよう支えとなります。

四十九日法要・納骨式

四十九日法要は、故人が亡くなってから49日後に行われる、仏教における意義深い儀式で、「忌明け法要」とも呼ばれます。

この期間、故人を偲ぶ「忌中」と称し、法要によって忌が明けることを意味します。法要では、僧侶が読経し、参列者が焼香を行います。その後、お斎（御斎・おとき）と呼ばれる共食の時間が設けられます。この法要までに、必要に応じて仏壇やお墓、そして本位牌の準備が求められます。

この法要は、故人への祈りと共に、遺族がこれからの人生を歩み始める新しい節目として位置付けられます。

またこの法要に主たる親族が集まることから、併せて「納骨」をされる場合も多くあります。

香典返し

香典返しは、葬儀に参加していただいた方々から頂戴した香典への謝意を伝える行為であり、同時に「四十九日法要が無事に完了した」という情報の共有も目的としています。
四十九日法要が終わった翌日から2～3日以内に相手に届くようにすることが一般的で、返礼金額は受け取った香典の約半額を目安としますが、地域や受け取った額に応じて3分の1や4分の1に調整することもあります。

また、最近では葬儀の当日に香典返しを行うことも増えています。この習慣は、故人への敬意と参列者への感謝を示すための大切な行為です。

各種手続き

家族が亡くなった後、葬儀を行うまでに遺族が行わなければならないことの中には、いくつかの手続きがあります。
最も重要な手続きには、死亡診断書などの書類の受け取りのほか、死亡届の提出、火葬許可証の受け取りなどがあります。

また葬儀の後にも、遺産相続に関連した手続きなどがあります。

葬儀費用の支払い

葬儀終了後には、提供された詳細な請求書を基に葬儀費用の支払いが行われます。
支払方法には現金、銀行振込、クレジットカードがあり、選択は葬儀社との事前の話し合いによって決定します。

葬儀の費用は規模や選択したサービスにより大きく異なるため、事前に見積もりを取得し、予算を決めておくことが必要です。
適切な計画と予算管理を通じて、葬儀を円滑に進行させることができます。

役所・保険会社・銀行への手続き

以下は死亡後の手続きとその期限をまとめた簡易表です。

手続き	期限
死亡届の提出	死亡から7日以内
埋葬許可証の申請	死亡から7日以内
各種年金（厚生年金、共済年金、国民年金）の受給停止	死亡から14日以内
国民健康保険の脱退手続き	死亡から14日以内
被扶養者の国民健康保険加入手続き	死亡から14日以内
被扶養者の国民年金種別変更	死亡から14日以内
介護保険資格の喪失届	死亡から14日以内
住民票の抹消届け	死亡から14日以内
世帯主変更の届出	死亡から14日以内
児童手当の手続き	死亡から14日以内
障害者手帳の返却	死亡から14日以内
相続放棄や限定承認の申請	死亡から3ヶ月以内
準確定申告	死亡から4ヶ月以内
相続税の申告と納付	死亡から10ヶ月以内
健康保険の埋葬料申請	死亡から2年以内
国民健康保険の葬祭費申請	死亡から2年以内
労災保険の葬祭料と葬祭給付の申請	死亡から2年以内
高額医療費の申請	診察月の翌月を1日として2年以内
生命保険の死亡保険金請求	死亡から3年以内
国民年金の寡婦年金請求	死亡から5年以内
国民年金の遺族基礎年金請求	死亡から5年以内
厚生年金の遺族厚生年金請求	死亡から5年以内
労災保険の遺族補償給付請求	死亡から5年以内