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葬儀の打ち合わせでは何を決める?必要な準備も解説

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葬儀の際には事前に打ち合わせが必要ですが、具体的な内容を知らない方もいらっしゃるでしょう。
大切な方が亡くなった直後で、精神的に余裕がない状況で打ち合わせすることを考えると、あらかじめ内容を知っておいて損はありません。

 

そこで本記事では、葬儀の打ち合わせで決める内容や、打ち合わせ前に準備すべきことを解説します。
最後まで読んでいただければ、後悔のない葬儀を行うことができますから、参考にしてください。

葬儀の打ち合わせの内容

大切な方が亡くなった直後は、各所への手続きや連絡で忙しくなります。
いざ、そのときが来てから必要なことを調べ始めるとなると、精神的に余裕がない状態になるかもしれません。
不安な気持ちがあるなかでも、落ち着いて準備を始めるために、葬儀の打ち合わせで行われる以下の内容を事前に把握しておくとよいでしょう。

 

なお本記事では、一般的な仏教の葬儀を想定して解説します。

①喪主の決定

喪主とは、家族の代表となり葬儀を主催する責任者のことで、葬儀の打ち合わせでの最終的な決定も行います。
喪主は、故人の配偶者や長男、長女が務めるのが一般的です。
その後の法要なども主催することになるので、故人の供養を長く務めることのできる方が適しているといえるでしょう。

 

なお、よく混同される施主は、喪主とは異なり、葬儀費用を負担する人のことをいいます。
多くの場合は喪主が施主を兼任しますが、喪主と施主が別々の場合は、施主も打ち合わせに参加します。

 

【関連記事】葬儀当日に喪主が対応することは?準備の手順についても解説

②葬儀の形態

葬儀には、さまざまな形態があるため、故人や家族の意向を汲んで決めていきましょう
会場の規模や費用、日程は、葬儀の形態によって決まります。

葬儀の形態には、主に以下の種類があります。

 

【主な葬儀の形態】

  • ・一般葬
  • ・家族葬
  • ・一日葬
  • ・直葬

新聞や回覧板などで葬儀の日程を告知し、家族や親族だけでなく、友人や知人、地域の方といった故人とゆかりのある人が参列するのが、一般葬です。
また、家族葬は家族だけで行う小規模なお葬式で、形式にこだわらない方が増えたことや、現代の親戚関係が希薄化したことも相まって、近年よく選ばれています。

 

ほかにも、故人の家族の状況や意向により通夜もを執り行わない「一日葬」や通夜や葬儀、告別式を行わない「直葬」も少しずつ増えてきているようです。

③宗教の確認

故人や家族の宗教や宗派を確認してから、それに基づいて葬儀を執り行います
先祖のお墓や納骨堂がある菩薩寺があれば直接連絡し、葬儀や枕経、戒名について相談します。

 

菩薩寺がない場合は、葬儀社から宗教者を紹介してもらうことも可能です。
ただしその場合も、宗教や宗派は伝えてください。
わからない場合や、故人と家族の宗教や宗派が異なる場合は、親戚に確認してみるとよいでしょう。

④会場や日程の決定

葬儀の形態が決まったら、日程を決めたうえで、参列者の数に見合った会場を手配します。

 

会場を選ぶ際は、施設の規模だけではなく、設備の充実度も判断基準となります
親族控室や参列者が待ち時間に利用するロビー、バリアフリーの有無は、誰もが快適に過ごすためにも重視されるとよいでしょう。

 

日程は、会場の空き状況や火葬場の予約に大きく左右されるので、希望日が取れるかといえばそうとも言い切れません。
また、仏教であれば僧侶、神道であれば神主の都合もあります。
これらを考慮し、都合の合う会場と日程を決めることとなります。

 

また、日本には、「六曜」という考え方が存在しており、葬儀の日程を決める際はこちらも考慮しなければなりません。
そのなかでも友引にあたる日は、“友を冥途に引きずり込んでしまう”という意味合いから、葬儀を行うのは避けられることも多くありました。

そもそも友引であれば、葬儀場や火葬場が休業の場合もあるので、ほかの日程を考えたほうが無難ではありましたが、最近では、親戚で気にされる方や参列者への配慮で避けられることが一方、大阪のように友引でも火葬場が開場しているケースも増え、家族葬化も相まって「友引」は気にされなくなりつつあるのが現状です。

【関連記事】葬儀の日程の決め方は?確認事項や注意点を解説

⑤費用の決定

喪主や葬儀形態、日程や会場などが決まったら、予算に応じた葬儀プランを決めていきます。
葬儀に関する項目は非常に細かいので、喪主を初めて務める場合は、わからなくても無理はありません。
そのため、ほとんどの葬儀社は、わかりやすい料金形態のセットプランをグレードごとに設けています。

 

なお、葬儀にあたっては、セットプランの基本費用のほかに、参列者をもてなした際にかかる仕出し料理や返礼品、宗教者へのお布施も必要です。
総額でどれくらいの費用がかかるのかを、見積書で必ず確認しましょう。

費用に関して何かわからないことや、疑問点などがあれば、遠慮せずに葬儀社に質問することが大切です。

 

【関連記事】葬儀代の平均はどのくらい?葬儀形式ごとの費用相場も紹介

葬儀内容が決まったあとの打ち合わせで決めること

葬儀内容が決まったら、次は葬儀で使用する葬祭用品や、返礼品を決めます。
費用に大きく差が出るところなので、しっかりと話し合ったうえで、内容を擦り合わせていきましょう。

①祭壇

祭壇は、故人や家族へ弔意を表すための供物を、神仏に捧げるものです。
葬儀の中心的存在であるため、もっとも価格差があります。

 

よく選ばれるのは、伝統的な白木祭壇や、近年人気の花祭壇です。
このほかに、葬儀社によってはオリジナルの祭壇を用意しているところもあります。

 

白木祭壇は、別名「仏式祭壇」ともよばれ、過去には仏教の多くの宗派で使用されていました。白木をふんだんに使用したひな壇のような構造は、格式の高い荘厳な印象を与えます。
一般的に、白木祭壇は葬儀社から借りるケースがほとんどです。
費用は祭壇の規模に左右されるため、20万~100万円と開きがあります。

 

そして花祭壇は、生花や造花で飾られる祭壇です。
特定の宗教ではない場合は、近年ではこの花祭壇を選ぶ方が増えています。
費用の目安は、生花か造花を使うかで多少異なりますが、30万円前後です。

②棺(ひつぎ)

棺は材質や装飾、デザインが多種多様であるため、価格差があります。

 

以下に、5種類の棺それぞれの価格を特徴とともにまとめました。

 

【5種類の棺の価格と特徴】

種類価格特徴
天然木棺6万~110万円・桐や杉、檜などの天然木を使用する
・価格は、桐<杉<檜
・彫刻量が多いと値段が高くなる
フラッシュ棺3万~7万円・フラッシュ材という2枚のベニヤ板と芯材を使用する
布張り棺6万~30万円・フラッシュ棺に上から布を被せる
・シンプルな棺であれば5万円程度、柄付きでグレードが上がれば20万円程度となる
エンバー棺10万~40万円・「エンバーミング」という、遺体を長期間、衛生的に保管するための処置を施している
エコ棺5万~15万円・強化段ボールに、化粧または布張りする
・木材よりも二酸化炭素排出量を抑えることが可能で、環境に配慮できる

価格に大きな差があるため、予算を考慮して最適な種類を選択しましょう。

③骨つぼ

骨つぼを選ぶ際は、デザインや材質の前にサイズに気をつけましょう。
なぜなら、東日本と西日本では、納める骨の量に違いがあり、適切な骨つぼのサイズも異なるからです。

 

東日本では遺骨のすべてを納めますが、西日本では遺骨の一部を収めるので、東日本で使用される骨つぼのほうが、西日本のものよりもひと回り大きくなります。
したがって、葬儀を執り行う地域に合わせて、適切なサイズの骨つぼを選びましょう。

④戒名(かいみょう)

戒名は、亡くなられた方が仏弟子になった証として授けられる名前で、仏式の葬儀を行うにあたって必須とされています。
俗名ではなく戒名で葬儀を行うことによって、極楽浄土に導かれるという教えがあるからです。

 

戒名は、菩薩寺の住職からつけてもらいます。
ただし、院号や居士、大姉など、授かる名前によってお布施の金額が高くなることに留意しましょう。

⑤遺影

遺影作成時に、使用する写真をあらかじめ探しておきます。
葬儀社によっては、携帯電話やデジタルカメラのデータから画像を作成してくれます。

 

祭壇の中心に飾られる遺影は、故人が大きくはっきり映っているものを選ぶとよいでしょう。
あまり古いものではなく、できるだけ新しい画像を用意できるとベターです。

 

この先も、ずっと飾られるものですから、故人を象徴するような素敵な写真を選んでくださいね。

⑥供花(くげ)

供花は、故人への追悼の意や、感謝の気持ちを表すために祭壇の周りに飾る花です。

 

供花で使用される花の種類は、地域や宗教によって異なります。
打ち合わせでは、花の種類や配置は念入りに確認しましょう。

⑦返礼品

お通夜や葬儀に来てくれた方に、お礼として渡すのが返礼品です。
返礼品には、「会葬御礼品(粗供養)」「香典返し」の2つがあります。
渡す相手やタイミング、品物までも多少異なりますので、ここで把握しておきましょう。

 

それぞれの違いについては、以下の表をご覧ください。

 

【会葬御礼品(粗供養)と香典返しの違い】

 会葬御礼品(粗供養)香典返し
渡すタイミングお通夜やお葬式の当日葬儀当日(即日返し)、または四九日法要後
相手香典の有無にかかわらず、お通夜やお葬式に参列した方香典を包んでくれた方
品物日常生活で役に立つ、持ち帰りやすい物(タオルやハンカチ、クオカード、図書カードなど)香典の金額の1/3~半額程度の品物(近年では、カタログギフトが主流)

葬儀当日に、香典返しを行う「即日返し」は、葬儀を執り行う家族の負担を減らせます。
忌明けである四十九日法要後は忙しくなることが多いなか、参列してくれた方への渡し忘れを防げるうえに、送料のコストも抑えられるからです。
ただし、即日返しを行った場合でも、高額な香典を包んでもらったら、その金額に見合った品物に挨拶状を添えて、後日改めて送るのがマナーです。

 

また、近年の香典返しでは、受け取った側が自由に商品を選べる、カタログギフトの形式でお返しする方が増えています。

 

【関連記事】葬儀の香典返しとは?お返しのタイミングと費用相場を紹介

⑧霊柩車

霊柩車は、故人を火葬場まで運ぶための車両です。
葬儀のセットプランに入っていることがほとんどなので、葬儀社が手配してくれます。

 

霊柩車には、伝統的な和式である宮型や、スタイリッシュな洋型、バン型、バス型の4種類があります。
近年では、火葬場付近の住人を考慮して、豪華絢爛で霊柩車とひと目で識別できる宮型よりも、リムジンタイプの洋型が好まれるようです。
また、葬儀社によって選べる車種も変わってきますので、よく確認をするようにしましょう。

⑨参列者への会食

参列者への会食には、「通夜振る舞い」「精進落とし」の2種類があります。

 

通夜振る舞いとは、お通夜後に親族や参列者に振舞う会食のことです。
「故人を偲ぶ」「僧侶や弔問客に感謝の意を表す」という意味合いがあります。
故人を偲びながら思い出に浸ることが目的なので、簡単につまめる軽食やお酒を用意するとよいでしょう。
大阪では、通夜振る舞いは一般的に親族・親戚などに用意をし、一般の参列者へは振る舞いことが多いです。

 

精進落としは、火葬場から戻ってきたあとや、初七日法要後に設けられる食事の場を指します。(大阪では、火葬の間にされるのが一般的です。)
僧侶と親族のみで行われることが多く、一人ひとりに懐石料理や仕出し弁当を用意するのが通例です。

⑩葬儀の演出

近年では、葬儀が多様化し、演出に「故人らしさ」を盛り込む方も増えています。
たとえば、故人が生前好きだった音楽を流したり、愛用品や作品を展示したりといった例が挙げられます。
ただし、演出によっては別途料金がかかる、そもそも対応してもらえないということも考えなければなりません。
また厳かに葬儀を行いたい方には、理解を得られない場合もあります。

 

個性的な演出を考えている場合は、親族や菩提寺の理解を得てから行うのが無難でしょう。

葬儀の打ち合わせの前に準備しておく持ちもの

葬儀社と打ち合わせを行う前に、「死亡診断書」「遺影用の写真」の2つを準備しておきましょう。

 

死亡診断書は、A3サイズの用紙1枚に、死亡届と並んで配置されており、右側の死亡診断書は立ち会った医師が記載して、左側の死亡届は家族が記入します。
役所への提出は、葬儀社が代行してくれることが多いので、打ち合わせの場には記入したものを持参してください。
この死亡届が受理されると、火葬場で必要な死体火葬許可証が交付されます。

 

さらに、遺影用の写真もお通夜に間に合うよう、打ち合わせの段階で必要です。
写真は、故人が大きくはっきり映っているものを選ぶのはもちろんですが、候補の写真を複数枚持っていけば、相談しながらベストなものを決められます。

 

参照:厚生労働省「死亡診断書記入マニュアル」

葬儀の打ち合わせの際に確認しておきたいポイント

「葬儀の詳細が決まったから安心!」と思っても、想像していたプラン内容と葬儀社が用意しているものに相違があれば、トラブルのもとになります。
したがって、随時プランを確認しながら進めていくことが大切です。

 

ここからは、打ち合わせの際に確認しておく4つのポイントをご紹介します。

ポイント①費用の内訳は明確になっているか

見積書に「葬式一式セット」「〇〇プラン」と詳細がなくプラン名のみで、金額だけが記載されている場合、内訳や個数、それぞれの料金を出してもらってください。

 

まとめて記載されているがゆえに、単価のわからないものは、遠慮せずに聞いてクリアにしましょう。

 

 

【関連記事】葬儀費用は誰が負担する? 内訳から事前準備までを徹底解説

 

 

 

ポイント②トータルの費用になっているか

見積書を確認して、何が費用に含まれているのか、いないかを明確にします。
総額にすべての費用が含まれているかを確認するには、担当者に下記のことを尋ねましょう。

 

【担当者に必ず確認する項目】

  • ・見積書の総額がすべてか
  • ・ほかに見積書がないか
  • ・追加でかかる項目はないか

あとから「聞いてない!」とならないためにも、気になることは積極的に質問し、家族が納得したうえで葬儀を行うのが一番です。

ポイント③要望が反映されているか

見積書に記載されているオプションやグレードが、希望した内容と合っているかを細部まで確認してください。
特に葬祭用品のグレードについては、葬儀社の担当者とともに、写真を見ながら確認できれば、間違いを未然に防げます。

ポイント④どのような支払い方法があるか

あらかじめどのような支払い方法が用意されているのかを確認できれば、予期せぬ金銭トラブルを防げます。

クレジットカードの利用可否や分割可否といった支払方法だけでなく、支払うタイミングも葬儀社ごとに異なるため、聞いておくとよいでしょう。

 

お金のことでのちにトラブルになれば、気持ちよく故人を送り出したい気持ちが台無しになってしまいます。
高額な葬儀費用ですから、疑問点があれば、必ず葬儀社へ問い合わせてください。

 

 

【関連記事】葬儀費用のケンカを防止! トラブルを避ける方法とは

葬儀の打ち合わせでの注意点

「相手はプロだし大丈夫だろう」とすべてを葬儀社に任せてしまうのは、おすすめしません。
ご家族ごとに適切なプランは異なりますし、葬祭用品である祭壇や棺の価格は数万~数百万円とピンからキリだからです。
「故人のためになります」などといった言葉で、感情に訴えかけられると揺さぶられてしまい、ついつい予算を上回る金額で契約を結ぶことになるかもしれません。

 

しかし、葬儀は世間体や見栄のためではなく、故人やその家族のものです。
故人を気持ちよく送り出すにも、打ち合わせは相手任せにしないことが大切です。

打ち合わせで決める内容を把握し、後悔のない葬儀を執り行おう

今回は、葬儀の打ち合わせで決める内容や、打ち合わせ前に準備するものを具体的に解説しました。

 

葬儀を行うにあたって、事前の打ち合わせは必須です。
喪主を初めて務める方にとっては、何がスタンダードなのかもわからない状態かもしれません。
そのような状態であっても、打ち合わせ内容や準備すべきものをあらかじめ把握することで、要望に沿った葬儀を行うことができます。

 

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監修者

川上 知紀

株式会社川上葬祭 代表取締役

<略歴>

創業明治10年の老舗葬儀社、川上葬祭の5代目
関西大学卒業後、テニスコーチとして就職。その後、家業である川上葬祭へ入社。
代表に就任以降、業界の異端児として旧態依然の業界改革に着手。その経営手法から葬儀社向け経営コンサルティングや、業界向けセミナー講演活動、一般消費者向けの「無料お葬式講座」を講師として17年以上、現在もなお続けている。

<主な著書>

あなたのお葬式

葬儀社だから言えるお葬式の話

(共に日経新聞社出版より刊行)

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