大切な方が逝去した際、一般的には、お通夜、その翌日に葬儀・告別式が営まれます。
しかし、葬儀を執り行う機会は少ないため、「どのような日程で行うのか」「葬儀や法要の流れがわからない」とお思いの方がいらっしゃるかもしれません。
そこでこの記事では、葬儀の日程を決める際の確認事項や、注意点を解説します。
万が一のときにも落ち着いて対応できるよう、必要な知識を身につけておきましょう。
葬儀の日程
まずは、葬儀の日程について解説します。
執り行う日程は葬儀の種類によって異なるため、ご遺体の状態や参列者のスケジュールに合わせて決めましょう。
基本的な日程
お葬式は、3~4日間かけて執り行われるのが一般的です。
亡くなった日を1日目としたときに、2日目にお通夜、3日目に葬儀・告別式、火葬が行われます。
ただし、人の多い都心部では、葬儀場や火葬場が混雑していることが多いため、火葬できるまで数日間待たなければならないケースもあるでしょう。
また、冬より夏のほうがご遺体の保全環境は悪くなりますので、なるべく早めに葬儀を営みたいというご遺族の希望はありますが、火葬場の空き状況が、最終的には日程決定のポイントに成らざるを得ません。
一日葬の日程
一日葬とは、お通夜を省略する葬儀のことです。
一般的な葬儀では、亡くなったその日(もしくは翌日)にお通夜を行うのが一般的ですが、それを省き、1日で告別式や、火葬を執り行います。
葬儀場は、告別式を行う1日だけの使用になるので、料金を比較的安く抑えられる場合もあります。
また、お通夜での参列者への対応や、会食の準備も不要です。
ただし、菩提寺によっては1日で葬儀を完了させるのをよく思わない場合もあります。
一日葬を依頼したい場合は、菩提寺に事前に相談しましょう。
また、逝去から24時間が経過していないご遺体の火葬は、法律で禁じられています。
1日葬を選んだ場合でも法律を遵守し、ご逝去後24時間以内の火葬はできない、ということは覚えておきましょう。
直葬の日程
直葬とは、お通夜と葬儀・告別式を省略し、直接火葬場にお運びする葬儀スタイルのことをいいます。
ご家族や親しいご友人など、故人と親しい方のみでしめやかに行われるため、参列者への挨拶などで負担を感じることはありません。
また、一般的な葬儀と比べて、費用をリーズナブルに抑えられます。
なお、逝去から24時間が経過していないご遺体の火葬は、法律で禁じられています。
直葬を選んだ場合でも法律を遵守し、24時間はご遺体を安置させましょう。
逝去から葬儀までの平均日数
逝去してから葬儀にかかる日数は、およそ2~4日です。
亡くなってから1~3日のあいだにお通夜を行い、その翌日に葬儀と火葬を営むのが一般的です。
しかし、地域によって逝去から葬儀までの日数は異なります。
地方の場合、逝去の翌日にお通夜、その翌日に葬儀が営まれます。
なお、人の多い都市部では葬儀場や火葬場の予約がとりにくく、亡くなってから1週間後に葬儀を執り行うのもまれではありません。
葬儀の日程を決める際の確認事項
葬儀の日程を決める際の確認事項には、どのようなものがあるのでしょうか?
ここからは、火葬場や僧侶のスケジュールの取り方について解説します。
葬儀場や火葬場の空き状況
まずは、葬儀場や火葬場の空き状況を確認しましょう。
人口に対して葬儀場や火葬場の数が足りていない都市部では、葬儀のスケジュール通りに予約がとれないこともしばしばあります。
火葬場が予約できないと、お通夜や葬儀の日程も決められないので、逝去された際は、先ずは火葬場の予約から行ってください。
菩提寺や僧侶のスケジュール
お通夜や葬儀では、僧侶に読経していただくのが一般的です。
菩提寺がある場合は、そのお寺の僧侶に読経をあげてもらいます。
そのため、逝去後はなるべく早く菩提寺に連絡し、僧侶のスケジュールを確認してください。
僧侶の都合が合わないときは、葬儀場と相談することで予約が空いていれば1~2日ほど葬儀のスケジュールをずらせます。
それでも難しい場合は、同じ宗派の別の僧侶を手配してもよいか、菩提寺に確認したうえで、手配をすすめましょう。
菩提寺がない方で、仏式葬儀を希望される方は葬儀社に僧侶の手配をお願いしてください。
ご遺族・参列者のスケジュール
ご遺族や参列者のスケジュールも、確認したいポイントです。
葬儀に参加するのに無理のない日程を選び、集合が難しい場合は週末や祝日に葬儀を執り行いましょう。
また、遠方から来る方がいる場合は、公共交通機関の予約も必要になるため、余裕をもってスケジュールを調整してください。
特に故人と縁が深かった方のスケジュールは早めに確認し、葬儀に参列してもらいましょう。
葬儀の日程を決める際の注意点
ここからは、葬儀の日程を決める際の注意点を紹介します。
以下の点を踏まえずに日程を決めると、スケジュール通りに葬儀ができない可能性もあるため、注意が必要です。
訃報連絡は葬儀の日程が決まってから行う
ご家族やご友人、職場の方などへの訃報連絡は、葬儀の日程を決めてから行ってください。
ただし、葬儀に参列してほしい方が遠方にいる場合は、その方の日程を調整する必要性も考慮して早めに連絡しましょう。
また、葬儀の日程は、医師から死亡診断書を作成してもらったあとに決めるのが一般的です。
葬儀社の担当者と打ち合わせをしたあと、安置場所やお通夜・葬儀を行う会場、詳細な日程を決めます。
最近では、ご家族だけで葬儀を執り行う家族葬も増えています。
その場合、近親者以外の知人や職場の方には、葬儀を済ませたことをハガキや手紙で伝えましょう。
【関連記事】葬儀の打ち合わせでは何を決める?必要な準備も解説
地域によって風習が異なる
葬儀に独自の風習が強く残っている地域では、式の順序に違いがあることをご存じでしょうか。
普通は逝去のあと、お通夜を行ったのち葬儀、火葬の順番で営まれますが、お通夜の前後に火葬する“骨葬”の文化が残っている地域もあります。
たとえば、北海道や東北など雪がたくさん降る地域では、骨葬が執り行われます。
葬儀会場に到着するまでに時間がかかり、すぐに集合することが難しいためです。
夏場の葬儀で、火葬までのあいだ、ご遺体を安置しつづけることに不安を感じた際は、葬儀社に事前に相談することで骨葬へと切り替えられます。
また、ご遺体保全の技術や専用の施設環境も進歩していますので、どのような方法がご遺族にとっても一番良いかを葬儀社へ相談されることが大切です。
友引の日を避けるケースがある
「友引は葬儀を避けたほうがよい」と、一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
友引は、毎日の吉凶を占う六曜の一種で、勝負事で引き分けになる日とされており、やがて友を引き寄せる日として意味が変わりました。
葬儀を執り行う日として問題なさそうですが、“友を連れて行く”と連想できることから、ふさわしくないと考えられていました。つまり、迷信といわれる事柄の一つです。
そのため、火葬や葬儀が友引に当たった際は、日程を1日遅らせるのがベターと言われてきましたが、大阪では葬儀場や火葬場は、友引でも開場していますので、友引でもご葬儀をされることに抵抗がない方も多く、更に六曜は仏教にも何ら関係のないため、僧侶も友引に拘る方は少ないです。
ただし、親戚やその他参列者への配慮から、避けられる方もいらっしゃいますので、ご家族でよく相談されることが必要です。
年始は火葬場が休業している場合がある
年末年始にご家族が亡くなった際の葬儀は、正月三が日を避け、1月4日以降に営まれてきたものでした。
火葬場はどの地域でも1月1日は休業していることが多く、その日に合わせて葬儀場も休業しているケースが一般的です。
ただし、大阪では2日から火葬場が稼働しているところが多いので、家族葬化している現在では、正月元日にお通夜、2日に葬儀というケースもあります。
※ただし、ご家族の都合優先だけでなく、参列者や寺院など宗教家のご都合もよく考えたうえで決定されることをお勧めします。
葬儀までに期間が空いて、ご遺体の状態が不安な場合は“エンバーミング”を行うという選択肢もあります。
エンバーミングとは、ご遺体に殺菌消毒・防腐、化粧などを施すことで、生前に近い姿に戻してくれる処置のことです。
こちらの処置を施すことで、逝去後10日~2週間はご遺体の保存が可能です。
ただし、ご遺体の状況、季節的な要因もありますが、1週間以内であれば、保冷剤(ドライアイス)や湯灌、保冷施設利用等でもご遺体保全は充分に行えることが多いです。
葬儀から法要までの流れ
ここからは、葬儀から法要までの具体的な流れを紹介いたします。
一周忌を迎えるまでは、故人への法要や法事が続くため、チェックしておきましょう。
【関連記事】いざというときに慌てない!葬式の流れを徹底解説
①火葬
告別式を終えたあと、ご遺体の火葬が執り行われます。
火葬したあとは骨上げの儀式をし、ご遺骨を骨壺に納めます。
骨壺に納めたご遺骨は、四十九日法要までご自宅でご安置されるのが一般的です。
②初七日法要
初七日法要とは、故人の逝去から7日目に行う法要のことです。
しかし、遠方に住んでいる方がいると、初七日法要のスケジュールを合わせるのが難しいため、近年では葬儀や告別式の同じ日に営まれます。(繰上げ初七日)
還骨法要と一緒にお骨上げ後に行われることが一般的になりましたが、最近では、葬儀式と一緒に行う式中初七日法要を行う場合もでてきました。
③精進落とし
日本全国的にみると、葬儀当日の初七日法要のあとに、参列者や僧侶を労う目的で食事することを精進落としといいます。
葬儀や火葬がひと通り終了したあとにするものですが、地域によっては火葬中に行うケースも存在します。大阪はこのケースに当てはまります。
ちなみに大阪では、火葬場で故人とお別れしたあと、再び式場もしくは会食場(火葬場近隣の料理屋)に行くことがほとんどです。
そのため、火葬が完了するまでのおよそ2時間で、精進落としを済ませてしまいます。
精進落としは忌中の苦労を労わるものなので、一般的には豪華な料理が提供されます。
ただし、祝い事を連想させる鯛などの提供は避けるようにしましょう。
④後飾り祭壇の設置
ご遺骨が自宅に戻ってきたら、ご自宅に後飾り祭壇を設置します。
お通夜や葬儀に参加できなかった親族が手を合わせる場所でもあるため、非常に大切な祭壇です。
ご遺骨を安置する期間は、仏式は四十九日まで、神式の場合は五十日祭までとされています。
関西地方では中陰壇とよばれており、中陰は、成仏する四十九日までの期間を指します。
その四十九日目のことを満中陰といいます。
葬儀には仏式や神式、キリスト式などさまざまな種類がありますが、宗教や宗派によって祭壇にまつるものが異なるため、事前に確認しましょう。
⑤四十九日法要
四十九日法要とは、故人が亡くなってから49日目に営まれる法要のことで、僧侶や親族、知人などを招きます。
必ずしも49日目ではなく、親族や知人の方が集まりやすい休日などに前倒ししても問題ありません。ただし、五七日(三十五日)以降、七七日(四十九日)の間で、執り行うことが望ましいです。
ご遺骨の埋葬(納骨)もこの日を選ぶことが多く、四十九日法要、納骨式と僧侶に読経をいただいたあと、お斎(とき)とよばれる宴席がひらかれます。
⑥納骨
納骨は、いつまでにというタイミングは決められていませんが、一般的に四十九日法要と同じ日に、親戚、縁者が集まっているということから、済ませられる方が多いようです。
ご遺族が直接納骨することもできますが、お墓を石材店に依頼している場合は担当の方がカロートを開けて納骨します。
納骨が終了したあとは、お供え物を置くのが主流ですが、その際は汚れやすいものや、足がはやいものは避けてください。
また、四十九日までに納骨の準備ができない場合は、一周忌など節目の日に行うことが多いようです。
仏教以外の宗教の法要
仏教以外の宗教は、法要をどのように執り行うのでしょうか?
ここでは、“神道”“キリスト教”“無宗教”の法要にあたる儀式を紹介します。
神道
神道は、仏教とは異なる死生観をもっています。
“故人は氏神となってご家族を守る”と考えられており、先祖を敬う習慣が存在します。
なお、“死はけがれ”という考え方もあるため、神様がいる神社では葬儀を執り行いません。
神式で法要にあたる儀式は、“霊祭”と“式年祭”の2種類です。
故人を弔うために、儀式は自宅や葬儀場で営まれます。
翌日祭から百日祭までは墓前で行うところも多いため、案内状を確認し、場所を間違えないようにしましょう。
キリスト教
キリスト教は、カトリックとプロテスタントで教えが異なります。
カトリックでは、亡くなった日から3日目、7日目、30日目、故人の命日に追悼ミサを行うのが一般的です。
ただし、故人やご遺族に仏教徒が多い場合は、初七日や四十九日に合わせて日程を決めます。
プロテスタントでは追悼の儀式を「礼拝」といい、牧師を中心にして礼拝が営まれるのが主流です。
故人に黙祷を捧げる際に、オルガンを演奏するのがカトリックとの明確な違いです。
仏教と違い、服装に細かいルールはないため、普段着のようなカジュアルな服装でも問題ありません。
無宗教
無宗教の葬儀は特に決まったルールがなく、自由葬ともよばれています。
その名の通り、ご家族やご友人たちが自由なかたちで故人を弔うことができます。
また、無宗教の葬儀は僧侶や神父などの宗教者をよぶ必要がないため、読経やお焼香もしません。
なお、読経の代わりに黙祷したり、お焼香の代わりに献花を供えたりするのが定番です。
具体的な法要実施日も定められていないため、「この日にしたい!」というこだわりがない場合は、仏教の形式と同じ四十九日、一周忌などに合わせるとよいでしょう。
葬儀の日程は、一日葬や直葬などその種類によって異なる
本記事では、葬儀の日程の決め方と確認事項を解説しました。
葬儀は基本的に3~4日間の日程で行われますが、一般葬や一日葬、直葬などの種類によって異なります。しかし最終的には火葬炉の空き状況に委ねざるを得ません。
いざ執り行う立場になると、わからないことばかりで焦る方もいらっしゃるかもしれません。
その際は葬儀社の方に相談することで、葬儀の不安を払拭できます。
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