
香典を受け取ったあとの対応や税金の申告は、葬儀後に悩みやすいテーマの1つです。
近年では家族葬や香典辞退が主流になりつつあり、従来のマナーや考え方が通用しない場面も増えています。
本記事では、香典は誰のものなのか、喪主以外に渡すケースや発生する税金をふまえて分かりやすく解説します。
受け渡し時の注意点やマナーもまとめていますので、安心して葬儀に向き合うための参考にしてください。
香典は誰のものになる?
香典は、参列者が故人の冥福を祈るとともに、ご家族の経済的負担を和らげる目的で渡されるお金です。
「誰のものなのか」は法律上の定めがないため、親族間で認識のズレが生じやすいポイントでもあります。
ここでは、香典に対する一般的な考え方と注意点を整理します。
- 香典は原則として喪主のもの
- 葬儀費用の負担者と喪主が異なる場合は注意
- 兄弟や家族で分ける必要はない
それぞれ見ていきましょう。
香典は原則として喪主のもの
香典は、葬儀を主宰し、全体を取り仕切る喪主への贈与と考えるのが通例です。
多くのケースでは、喪主が葬儀費用も負担しているため、香典はその補填として受け取るものとされています。
受け取った香典は喪主が管理し、葬儀費用や供養に充てる流れが一般的です。
参列者も「喪主に渡している」という認識で香典を包んでいることを押さえておきましょう。
葬儀費用の負担者と喪主が異なる場合は注意
注意が必要なのは、喪主と葬儀費用の負担者(施主)が一致しないケースです。
たとえば、形式上は長男が喪主を務めているものの、実際の費用は別の兄弟や親族が負担している場合もあります。
喪主と施主が異なる場合でも、参列者の混乱を防ぐ意味では、いったん喪主が受け取るのが自然です。
ただし、施主との間で何も取り決めがないと、葬儀費用への充当や清算に関して揉め事が生じかねません。
トラブル防止のためにも、事前に親族間で以下のような合意を形成しておくことをおすすめします。
- 香典はすべて葬儀費用に充当し、過不足は喪主が対応する
- 相続人全員で葬儀費用を分担し、負担割合に応じて香典も按分するなど
親族の合意が得られていれば、どのような分配方法でも問題はありません。
大切なのは、扱いを曖昧にしないことです。
兄弟や家族で分ける必要はない
香典は相続財産ではないため、法定相続人で分配する義務はありません。
葬儀費用や供養に充てたうえで香典が余った場合、残りは喪主が管理するケースが比較的多く見られます。
すべての香典が葬儀費用として使われた際は、トラブルが起こりにくいでしょう。
しかし、お金が余った場合には、残金を誰が受け取るべきか揉めるケースもあります。
兄弟や家族への分配は、あくまで喪主の判断によって決定されることです。
不要なトラブルを避けるためにも、親族間で「香典は喪主のもの」と共通認識を形成しておくことが大切です。
受け取った香典はどのように扱う?
香典を受け取ったあと「相続財産に含めるのか」「税金はかかるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。
ここでは、香典の法的な位置づけと、課税に関する注意点を解説します。
- 香典は相続財産にならない
- 高額な香典は課税対象となる場合もある
- 会社からの弔慰金には相続税が課されるケースも
詳細を見ていきましょう。
香典は相続財産にならない
香典は、参列者が喪主やご家族に対して弔意を表す意味合いで贈与するお金です。
そのため被相続人(故人)の遺産に含まれず、遺産分割の対象にはなりません。
また、香典は故人の死亡後に発生するお金であることから、故人が生前に所有していた財産と区別して考えられます。
したがって、相続放棄をした方も、喪主として香典を受け取ることは可能です。
相続手続きと香典の管理を切り分けて考えることが、家族間のトラブルを防ぐポイントといえます。
高額な香典は課税対象となる場合もある
原則として、香典には贈与税・相続税が課されないため、一般的な金額であれば確定申告の必要はありません。
ただし、社会通念上相当といえないほど高額な香典は、例外的に贈与税や所得税の課税対象と判断される可能性があります。
たとえば、個人から極端に高額な香典を受け取った場合や、大規模な葬儀を執り行った場合には注意が必要です。
金額に明確な基準はありませんが、香典の本来の趣旨(葬儀費用の補助)から大きく逸脱していないかが判断の目安になります。
不安がある場合は、信頼できる葬儀社や専門家に相談してみましょう。
会社からの弔慰金には相続税が課されるケースも
社員が亡くなった際、会社からご家族に支給される弔慰金は、香典と性質が異なります。
弔慰金は、企業の福利厚生制度の一環として支払われるもので、一定額までは相続税がかかりません。
ただし以下のようなケースでは、みなし相続財産として相続税の課税対象になることがあります。
- 弔慰金の金額が、相続税法の定める相当額を超える場合
- 実質的に退職金や功労金とみなされる場合
社内規程に基づいて、高額な弔慰金が支給されることも珍しくありません。
名目だけでなく、金額や性質を確認することが大切です。
香典を受け取る際の注意点
香典は受け取り方や扱い方を誤ると、親族や参列者との間で思わぬトラブルにつながることがあります。
ここでは、香典を受け取る際に押さえておきたい注意点を見ていきましょう。
- あらかじめ香典の使い道や分配方法を決めておく
- 香典返しは葬儀費用に含まれない
- 地域独自のマナーを把握しておく
それぞれ解説します。
あらかじめ香典の使い道や分配方法を決めておく
多くの場合、香典だけですべての葬儀費用をまかないきれません。
ただし、参列者が多かった場合などには、香典の総額が葬儀費用を上回る可能性もあります。
余った香典は、以下のように扱われるケースが通例です。
- 今後の法要に充てる
- 喪主が全額を管理・受領する
- 喪主の判断で、相続人全員に分配する
香典は相続財産ではないため、余ったお金の分配を喪主以外の相続人が求める権利はありません。
香典の総額が多くなりそうな場合は、扱いについて親族間で合意を形成しておくことが大切です。
香典返しは葬儀費用に含まれない
香典返しは、香典をいただいた方へ感謝の気持ちを表すものであり、費用は喪主個人の負担とされます。
相続税を計算する際、葬儀費用は相続財産から控除できますが、香典返しの費用は控除の対象外となるため注意しましょう。
相続税の申告において、葬儀費用に含められる支出の例は以下のとおりです。
| 葬儀費用になるもの | 葬儀費用にならないもの |
|---|---|
|
|
葬儀前後はさまざまな手続きに追われ、余裕のない方が大半です。
支出の区分を意識的に整理するよう心がけましょう。
地域独自のマナーを把握しておく
近年は家族葬が主流となっている影響で「香典辞退」を選択するご家族が少なくありません。
たとえば大阪では、葬儀社との打ち合わせにおいて8~9割のご家族が「香典辞退」を宣言されています。
香典辞退の背景にあるおもな理由は、香典返しの手間や精神的負担の削減です。
いただいた弔意にお返しする気遣いは、故人を見送ったあとの「仕事」としてご家族を疲弊させる一因になっています。
一方、故人と親しい間柄の方にとっては「せめて香典だけでも」という気持ちもあるでしょう。
相手のお気持ちを汲み入れることは大切ですが、一部の方からのみ香典を受け取ってしまうとトラブルに発展する可能性があります。
「なぜ自分だけ断られたのか」と誤解を招くおそれがあるため、一貫性を持った対応が必要です。
地域の風潮やマナーをふまえ、ご家族として対応の方針を定めることが、関係者間の摩擦を防ぐポイントです。
判断に迷う場合は、信頼できる葬儀社に相談してみることをおすすめします。
香典を渡す相手やタイミング
香典は原則として喪主のものであることをふまえ、葬儀に参列した際の基本的なマナーを押さえておきましょう。
「いつ・誰に渡すべきか」で迷った場合は、以下のルールを参考にしてください。
- 通夜か告別式の参列時に渡す
- 受付や喪主以外の遺族に渡してもよい
それぞれ見ていきましょう。
通夜か告別式の参列時に渡す
香典を渡すタイミングは、通夜または告別式に参列した際が基本です。
「不幸が重なる」とされることから、2回に分けて渡すのはマナー違反とされています。
通夜と告別式の両方に参列する場合は、通夜で渡し、告別式では記帳のみ行うケースがよく見られます。
香典袋は袱紗に包んで持参し、受付で渡すのが通例です。
受付や喪主以外の遺族に渡してもよい
葬儀会場に受付が設けられている場合は、記帳後に受付で香典を渡します。
受付がない場合は、喪主やご家族、世話役の方に直接手渡しましょう。
実際の葬儀では、ご家族が役割分担して対応しているため、喪主以外の方に渡してもマナー違反にはなりません。
受け取った香典は、のちほど喪主のもとに集められます。
なお、受付やご家族に渡すタイミングを逃した場合は、焼香の際に御霊前へ供えるのも1つの方法です。
御霊前へ供える際は、表書きが自分側から読める向きに置くのが配慮とされています。
香典の受け渡しに関してよくある質問
香典の扱い方は、立場や状況によって最適解が変わります。
ここでは、判断に迷いがちな以下3つのポイントを解説します。
- 親の葬儀の香典はどうする?
- 会社からの香典は喪主に渡す?
- 葬儀に参列できない場合、香典はどのように渡す?
回答を見ていきましょう。
親の葬儀の香典はどうする?
親の葬儀における香典は、自分が葬儀費用を負担する立場かどうかで判断します。
喪主や施主として葬儀費用を負担する場合、香典を包む必要はありません。
自分が主宰側であり、香典を受け取る立場になるためです。
すでに独立して世帯を持っており、施主が自分でない場合は、親への香典を包むのが通例です。
兄弟姉妹がいる場合は、事前に話し合い、金額や対応を揃えましょう。
配偶者の親への香典金額も、原則として自分の親と同額を包みます。
あくまで目安になりますが、香典金額に迷った際は以下の相場を参考にしてください。
| 香典を包む相手 | 金額相場 |
|---|---|
| 両親 | 5〜10万円 |
| 兄弟姉妹 | 3〜5万円 |
| 祖父母 | 1〜3万円 |
なお、学生など扶養されている立場であれば、無理に包む必要はありません。
会社からの香典は喪主に渡す?
会社から渡されるお金には「香典」と「弔慰金」があり、それぞれ扱いが異なります。
封筒に「御香典」「御仏前」などと記載されている場合は、一般の香典と同様、葬儀の際に喪主へ渡すのが基本です。
一方で弔慰金は、故人を失った社員本人への見舞金であるため、必ずしも喪主に渡す必要はありません。
福利厚生として家族弔慰金制度が設けられている場合でも、支給対象や金額は会社ごとに異なります。
判断に迷った際は、封筒の表書きや就業規則などを確認しましょう。
葬儀に参列できない場合、香典はどのように渡す?
通夜や告別式に参列できない場合でも、香典を渡すこと自体は失礼にあたりません。
後日弔問した際に直接渡すか、現金書留で郵送する方法が一般的です。
銀行振込はマナー違反となるため注意しましょう。
通夜・葬儀当日に郵送が間に合う場合は、斎場に送ることも1つの選択肢です。
ただし、現金書留を受け取ってもらえるかどうか、事前に斎場へ確認する必要があります。
当日に間に合わない場合は、喪主の自宅宛に郵送しましょう。
ご家族の香典返しの負担にならないよう、遅くとも1ヶ月以内に届くよう手配することが大切です。
大阪では、香典を辞退するご家庭も多いため、郵送前に意向を確認しておくことをおすすめします。
まとめ:香典は葬儀費用を負担する喪主への贈与と考えることが一般的
香典は、故人への弔意を示すとともに、葬儀費用を負担する喪主を支える目的で渡される金銭です。
法律上は喪主への贈与と位置づけられるため、遺産分割の対象にはならず、原則として相続税の課税対象にもなりません。
一方で、葬儀費用の負担者と喪主が異なる場合や、香典が高額になった場合などは、トラブルや課税リスクにつながることもあります。
香典の使い道や分配方法について、事前に親族間で認識を統一しておくことが大切です。
なお、大阪では家族葬や香典辞退が主流になりつつあります。
香典を受け取るかどうか、どのように返礼するかは、形式よりも関係者のお気持ちに配慮した判断が求められます。
葬儀のマナーに関して不安な点がある方は、かわかみ葬祭へご相談ください。
お問い合わせは24時間365日、早朝深夜いつでも受け付けております。
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