年齢を重ねるごとに、親族として葬儀に参列する機会は増えていくものです。
そのようなとき、故人のご家族や一般の参列者に対し、「親族としてどのように立ち振る舞うべきなのだろう……」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、親族が守るべき葬儀のマナーを、当日の過ごし方とともに紹介します。
親族として、故人さまの旅立ちをきちんと見届けるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも親族とは
本題に入る前に、親族の範囲を以下で確認しておきましょう。
民法において親族は、“6親等以内の血族、配偶者及び3親等内の姻族”と定められています。
具体的には、血族であれば再従兄弟姉妹(はとこ)、姻族であれば、配偶者の叔父・叔母や曾孫の配偶者などが親族に該当します。
とはいえ、葬儀の場では、親族の範囲を厳密に考える必要はありません。
民法上の親族に該当しなくとも、いわゆる“親戚づきあい”がある間柄であれば、親族として参列しても問題ないとされています。
参照元:e-Gov法令検索「民法」
葬儀における親族のマナー
ここでは、故人の親族として葬儀に参列する際に、守るべきマナーを紹介します。
マナー①親族の服装
親族として葬儀に参列する際は、正式喪服でなく、略式喪服を着用するのがマナーです。
正式喪服の例として、紋付の黒い着物やモーニングコート、黒のドレスなどが挙げられます。
これらは、故人のご家族が身につけるものとされているので、親族が着るとマナー違反となるおそれがあります。
そのため、親族として葬儀に参列する際は、一般の参列者と同様に、略式喪服を着用しましょう。
男性であれば、黒いスーツとネクタイ、靴、女性であれば、黒いワンピースにジャケット、ストッキングを身につけることが望ましいです。
なお、スーツに合わせるワイシャツは、白無地が基本です。
マナー②一般の参列者への対応
親族として葬儀に参列していると、一般の参列者から「このたびはご愁傷さまでした」「よい葬儀でした」といった言葉をいただくことがあります。
故人とのつながりが希薄だった方は、少し戸惑うかもしれませんが、この場では「痛み入ります」「生前はお世話になりました」と、親族として丁寧な対応を心がけてくださいね。
一般の参列者からすれば、親族は皆、喪主側の立場にある人物にみえるものです。
そのため、故人との関係性にかかわらず、葬儀を執り行う側として、適切な言動や態度が求められるわけです。
葬儀の進行について参列者から問われたときも、ご自身で答えられない場合は、葬儀社のスタッフのもとへ案内するというように、誠実に対応しましょう。
親族の香典の相場
一般参列者の香典の相場は、5,000円程度ですが、親族はこれよりも多くの金額を包むことがマナーとされています。
以下に親族の香典の相場をまとめましたので、ご参照ください。
【親族の香典の相場】
故人との関係性 | 香典の相場 |
両親・義両親 | 5万~10万円 |
兄弟姉妹・義兄弟姉妹 | 3万~5万円 |
祖父母 | 1万~3万円 |
叔父・叔母・その他親族 | 1万~2万円 |
このように、故人との親等が近いほど香典の相場は高くなります。
また、故人との関係性が同じ親族のなかでも、香典を渡す方の年齢によって金額は増減することもあります。
兄の葬儀に参列する場合を例にすると「兄弟のなかで自分だけが50代なので、弟たちよりも多めに包もう」という具合です。
故人との関係性や世代が同じ親族がほかにもいらっしゃる場合は、その方たちと話し合ったうえで、香典で包む金額を決めておくとよいかもしれません。
【関連記事】葬儀で包む香典の金額の相場は?渡す際のマナーも紹介
葬儀当日に親族が手伝えること
葬儀当日、故人のご家族は多忙を極めるものです。
ご家族の業務を葬儀社のスタッフが行う場合もありますが、もし親族の方にも手伝えることがあれば率先して引き受けましょう。
たとえば、親族は次のような業務を手伝うことができます。
【葬儀で親族が手伝えること】
- ・受付
- ・会計
- ・買い出し
- ・駐車場での案内
- ・撮影
それでは順に、紹介していきます。
手伝い①受付
葬儀会場の受付に立ち、いらっしゃった参列者への対応を任されることがあります。
受付では、香典を受け取ったり、参列者に芳名帳への記入を依頼したりします。
親族の代表として、参列者と最初に対面する大事な役割を担うので、失礼や不備のないように丁寧な対応を心がけましょう。
【関連記事】葬儀の受付係のマナーや当日の流れを解説
手伝い②会計
会計では、受付で預かった香典の中身を確認し、誰からいくら包んでもらったのかを集計します。
手書き、もしくはパソコンで作成した一覧表に、参列者の名前とその方が包んだ香典の金額を記入していきます。
この一覧表は、のちに喪主が香典返しを選ぶ際に参考とする、重要な資料です。
記入漏れやミスがないように、親族内で協力し、複数人でチェックすると安心です。
手伝い③買い出し
葬儀の場では、「お菓子やお茶が足りない」「ストッキングが破けてしまった」などの事態が起きて、こまごまとした買いものが頻繁に発生します。
そういった場合に、親族が買い出しに行くことで、やるべき業務が多い故人のご家族の負担を軽減できます。
手の空いている時間ができた際には、「買い出しが必要なものはありませんか?」とご家族にお声がけしてみてくださいね。
手伝い④駐車場での案内
一般的に葬儀場の車の案内や管理は、葬儀社のスタッフが担当しますが、まれに誘導員がつかない場合があります。
その際は、親族が率先して駐車場係を引き受けましょう。
駐車場内での混雑を避け、参列者のスムーズな来場と退場を叶えるためには、欠かせない役割です。
手伝い⑤撮影
故人のご家族によっては、葬儀の様子を写真に収めたいと考える方もいらっしゃいます。
撮影に集中しすぎると、故人とのお別れが疎かになってしまうおそれがあるため、故人のご家族の代わりに、親族が撮影係を引き受けると喜んでもらえるかもしれません。
なお、葬儀の様子を写真に残すことに対し、不謹慎と感じる方もいらっしゃいます。
そのため、撮影係は率先して立候補するのではなく、あくまで故人のご家族から依頼された場合に引き受けるとよいでしょう。
葬儀の流れ
親族として葬儀に参列する場合には、1日の流れが一般の参列者とは異なる点があります。
当日に慌てないためにも、通夜と葬儀における全体の流れは把握しておきたいところです。
通夜の流れ
通夜の流れを、以下で順に紹介していきます。
通夜の流れ①開始の40分~1時間前までに会場に到着する
親族は、一般の参列者を迎える立場のため、通夜の始まる40分~1時間前には会場に到着しておくのがマナーです。
故人のご家族への挨拶や式中の席の確認が済んだら、何か手伝えることがないかを確認しましょう。
通夜の流れ②自身が割り当てられた持ち場につく
手伝いを引き受けたときは、葬儀社のスタッフから仕事内容を説明してもらい、持ち場につきます。
特に受付係や会計係は、お金を扱うことになるので、説明をよく聞いて万全の状態で臨みたいところです。
通夜の流れ③焼香を行う
仏式の葬儀では、焼香をあげます。
焼香の順番は、宗派によって異なる場合もありますが、まずは喪主とそのご家族が焼香をあげ、次に親族があげるのが一般的です。
焼香の順番やタイミングは、葬儀社のスタッフが示してくれるので、それに従って進めてください。
通夜の流れ④通夜振る舞いに参加する
通夜のあとには、“通夜振る舞い”という食事の席が設けられている場合があります。
通夜振る舞いが開催されるようであれば、親族はそれに参加するのが好ましいです。
なお、通夜振る舞いには、食事に手をつけることが故人への供養とつながるという意味があるため、少しだけでもいただくことがマナーとされています。
故人のご家族は、翌日も早くからすべきことが多いため、なるべく早く退席することも心がけましょう。
席に着いてから、1時間程度が退席の目安です。
葬儀の流れ
続いて、葬儀の流れについても確認しておきましょう。
なお、焼香をあげるまでの流れは、通夜の場合と変わらないため省略します。
葬儀の流れ①お別れの儀に立ち会う
親族は、葬儀が終了したあとに行われる、お別れの儀にも参加します。
祭壇から棺が下され、蓋が開けられるので、故人の顔の周りに一輪ずつお花を捧げます。
故人と近しい関係だった場合には、喪主や葬儀社のスタッフの了承のもと、故人との思い出の品を入れることも可能です。
葬儀の流れ②出棺に立ち会う
お別れの儀を終えたら、棺は会場から霊柩車に運ばれます。
棺の移動は、故人のご家族を中心とする男性複数人で行われますが、ご家族だけで運ぶのが難しい場合には、葬儀社のスタッフから故人と近しい親族に手伝いを依頼されます。
特に孫や従兄弟など、故人との血縁が近い男性は、率先して手伝いを引き受けるのが望ましいです。
葬儀の流れ③火葬場に向かう
霊柩車を合掌して見送ったら、次は火葬場に向かいます。
故人の子や孫、兄弟姉妹など比較的血縁の近しい方は火葬場に同行するのが一般的ですが、遠縁の親族は喪主の判断によって同行の有無が決まります。
もし喪主に火葬への立ち合いを依頼された場合は、謹んで同行してください。
葬儀の流れ④精進落としに参加する
火葬の終了後、ないし火葬中に、“精進落とし”という食事の席が用意されている場合があります。
通夜振る舞いと同様、こちらも開催されるようであれば、親族には参加することが求められます。
精進落としでは、開始から2時間程度で喪主から終了の挨拶がありますが、事情がある場合は早めに帰っても問題ありません。
ただ、その際は何も言わずに退出するのではなく、故人のご家族にきちんと挨拶してから帰りましょう。
親族として葬儀に参列する際は、服装と一般の参列者への対応に注意が必要
本記事では、親族が守るべき葬儀のマナーを当日の過ごし方とともに詳しく紹介しました。
親族は、故人のご家族が着用するような正式喪服ではなく、略式喪服を着ることが求められます。
一般の参列者に対しては、葬儀を執り行う側として、適切な言動や態度で接しましょう。
また、葬儀当日は、故人のご家族は多忙なので、率先して仕事を手伝うのがベターです。
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