葬儀は、故人への最後の別れを告げる重要な儀式です。しかし、その費用は遺族にとって悩みの種になることがあります。
この記事では、葬儀費用の負担者、喪主以外が支払う場合の対応、費用を抑えるコツまで、葬儀を前に知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。
負担の公平な分配と経済的な負担の軽減を目指し、遺族が直面する可能性のある問題に対処するための実践的なアドバイスをお伝えします。
葬儀費用は一般的に誰が払う?
葬儀費用の負担者は、一般的には喪主が支払うことが多くなっています。
しかし、喪主が葬儀費用を負担するというのは法的な義務ではなく、慣例に基づくものです。実際には遺族間で話し合いを行い、誰がどれくらい葬儀の費用を支払うのかを決定することが可能です。
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喪主以外が支払うケース
葬儀費用の支払いは通常、喪主が行います。しかし特定の状況や合意により、喪主以外が負担する場合もあります。このような場合、遺族は事前にいくつかの重要なポイントを確認し、準備する必要があります。
喪主以外が葬儀費用を支払うケースを以下に示します。
- ・ケース①兄弟で折半して払う
- ・ケース②施主が負担する
- ・ケース③相続財産から払う
- ・ケース④香典を葬儀費用に充てる
それぞれ解説します。
ケース①兄弟で折半して払う
先述した通り、葬儀費用は喪主が支払うという事例が多いものの、葬儀費用の負担者については法律上で明確に決められておらず、複数人で負担する場合もまた、その割合は特に定められていません。
そのため葬儀の費用分担を決める際には、家族で事前に話し合いを持ち、明確な同意に至ることが大切です。関係者が費用負担について公平に感じ、納得のいく支払いができるまできちんと話し合いましょう。
ケース②施主が負担する
葬儀で、喪主以外にも「施主」を立てることがあります。施主は喪主に代わって葬儀に関する直接的な管理を行い、主に費用面の役割を担います。
施主を設けることは、喪主の負担を軽減するほか、遺族の負担をバランスよくするための効果的な対策です。
役割を分担することで葬儀は円滑に行われ、故人への最終的な敬意が払われます。
ケース③相続財産から払う
相続財産を葬儀費用に充てることは可能ですが、相続人全員の合意が前提です。故人が生前に葬儀に関する詳細な契約をしていた場合、その契約に従って相続財産から費用を支払うことができます。
また、遺言書があれば、故人の意向に沿った葬儀を行うことも可能になります。しかし、相続財産を用いて葬儀を執り行う際には、相続人間での意見の対立を避けるためにも、事前の明確な合意形成が重要です。
喪主が一時的に費用を立て替えた後、相続財産が確定した段階で精算を行う方法もありますが、この手続きには全員の同意が必要となります。
ケース④香典を葬儀費用に充てる
香典は葬儀費用の支援として受け取られることが多く、これによって故人への最後の敬意を表し、遺族の負担を軽減します。
喪主が葬儀費用を全額負担する場合、香典は全て喪主に渡されます。兄弟間で葬儀費用を分担する場合は、香典も同様に分け合うことが一般的です。
葬儀の規模が大きくなればそれに伴って費用も高くなりますが、香典を葬儀費用に充てることで、より大きな葬儀であってもその負担を軽くすることが期待できます。
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葬儀費用の負担で兄弟間で揉める理由
葬儀費用の支払いは家族間で敏感な問題になります。とくに兄弟間では、費用の分担について意見が食い違うことがあります。
こうした状況が発生する主な理由を以下に示します。
- ・理由①葬儀費用は高額だから
- ・理由②事前の取り決めをする前に親が亡くなってしまったから
- ・理由③相続する財産がないのに支払うことになったから
それぞれ解説します。
理由①葬儀費用は高額だから
葬儀費用は100万円以上と高額になることが多く、遺産がない場合は費用の負担が一人に集中しやすくなります。
この状況は精神的、経済的な負担をもたらし、生活に影響を及ぼすおそれがあります。そのため、あらかじめ兄弟間で費用の分担について話し合うことが重要です。
また、話し合いの結果は合意内容として書面に記録しておくことをおすすめします。
理由②事前の取り決めをする前に親が亡くなってしまったから
事前に葬儀の費用分担に関する取り決めがない場合、喪主が急な葬儀の準備と費用の全額を負担する羽目になることがあります。
この状況は、喪主にとって大きな精神的および経済的負担となり、予期せぬ困難に直面する原因となります。そのため、葬儀が行われる前に家族や関係者間で費用の負担について明確に話し合い、合意に至ることが非常に重要です。
可能な限り、このような合意は文書化しておくことが望ましく、これにより将来的な誤解や不和を避けることができます。事前準備と明確な合意形成は、喪主と遺族が遭遇しうる問題を防ぎ、葬儀をスムーズに進めるために必要不可欠です。
理由③相続する財産がないのに支払うことになったから
相続財産がない状態で葬儀費用の支払いが必要になることは、遺族にとって大きな負担となります。葬儀費用を香典などの補助に頼る場合、資金の確保が十分にできない場合があります。
この状況が兄弟間での揉め事を引き起こす原因となることも少なくありません。
そのため、葬儀に関わる費用の分担については、事前に家族間でしっかりと話し合い、合意形成を図ることが重要です。
兄弟間で葬儀費用のトラブルを避けるためには
葬儀費用に関して兄弟間で発生するトラブルを防ぐには、事前の準備と明確なコミュニケーションが重要です。
以下に、トラブルを回避するために検討すべき主な対策を示します。
- ・遺言書で葬儀費用の負担割合を決めておく
- ・費用を相続人同士であらかじめ協議する
- ・相続人間で葬儀費用や香典の金額を開示する
- ・相続財産と葬儀費用の関係についての理解
それぞれ解説します。
遺言書で葬儀費用の負担割合を決めておく
遺言書で葬儀費用の負担割合を明確にすることは、遺族間のトラブルを防ぐ有効な手段です。遺言書に記載された葬儀に関する指示は法的な強制力は持ちませんが、故人の意向として尊重する価値があります。
遺言書の内容が葬儀前に開封されないこともあるため、生前に家族間で意思疎通を図り、故人の望みを共有することが重要です。
これにより、葬儀の準備と実施において、予期せぬ誤解や衝突を避け、故人の最終的な意志を尊重することが可能になります。
費用を相続人同士であらかじめ協議する
相続人同士で葬儀について事前に話し合うことは、将来の紛争を回避する上で欠かせません。葬儀の詳細や費用について共通の理解と合意が得られれば、遺族間での見解の相違を防ぐことができます。
とくに葬儀は亡くなった後すぐに行われるため、事前に計画を立てておくことが重要です。このような協議を行うことで、各相続人の考えを尊重し、葬儀の準備期間中に生じがちなストレスを軽減できます。
遺言書に葬儀に関する希望を明記することも、スムーズな意思疎通を助けることになります。最終的に、相続人間での事前協議は互いに故人を敬う心を持って、円滑に葬儀を進めるための効果的な手段となります。
相続人間で葬儀費用や香典の金額を開示する
葬儀費用と香典に関する明確な情報共有は、トラブルを防ぐ上で効果的です。
費用の総額や詳細については領収証を保管し、必要に応じて全員で共有することが、公平性を保ちながら負担を分散させる手段となります。
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葬儀費用を兄弟間で負担できない場合
兄弟間で葬儀費用の分担が難しい場合、遺族は葬儀の費用をどのように賄うかについて追加の対策を講じる必要があります。
以下に、葬儀費用の分担が困難な際に考慮すべき代替手段を示します。
- ・故人の預貯金過払いしてもらう
- ・借り入れを行う
- ・給付金を利用する
それぞれ解説します。
故人の預貯金過払いしてもらう
2019年7月に相続法が改正され、故人が保有する銀行口座からの預貯金の払い戻しがしやすくなりました。これまでは相続人全員の同意が必要でしたが、現在では各銀行で最大150万円までの引き出しが許可されています。
故人の死後、葬儀費用のほか、お墓代や当座の生活費、相続関連の費用など、さまざまな費用が金銭的負担がかかります。相続法の改正は、これらの悩みを解決する糸口となります。
葬儀を始める前の初期段階で、故人の銀行預金の状況を銀行で確認しておきましょう。
借り入れを行う
故人の預貯金だけでは葬儀費用が足りない場合、葬儀ローンの利用を検討してください。
葬儀ローンは多くの金融機関から提案されており、急な出費に対応するため速やかな審査が可能です。
ただし、審査には数日から数週間かかることがあるため、早めの申し込みが重要です。
なお、借り入れには利息が発生しますが、国民健康保険からの給付金や香典を活用することで、返済計画を立てやすくなります。
給付金を利用する
国民健康保険などからの給付金を活用することで、葬儀費用の一部を補填することが可能です。
葬儀費用に対する給付申請には、故人の保険証、葬儀の領収書、印鑑が必要になります。
給付金の額は市町村によって異なりますが、一般的には5万円〜7万円程度が支給されることが一般的です。
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葬儀費用を抑えるコツ
葬儀の費用を計画的に管理し、無駄な出費を避けるための実用的なアドバイスをご紹介します。葬儀費用を抑えるためには、事前の準備と適切な選択が重要です。
以下に、コストをおさえつつ故人を尊重した葬儀を行うためのコツを示します。
- ・施設の利用費
- ・葬儀設備費用
- ・おもてなし費用
それぞれ解説します。
施設の利用費
家族葬における斎場使用料は、斎場が公営か民営かにより大きく変わり、5万円〜40万円までの幅で設定されています。
公営の斎場は、民営斎場と比較して料金が低めになっていることが多いため、予算に合わせて適切な斎場を選ぶことが、葬儀のコストを抑える上で重要です。
一方で、葬儀会社が提案する家族葬のパッケージは、通常50万円からの価格設定ですが、斎場や火葬場の利用料は別途必要となるケースがほとんどです。そのため、経費を節約したい場合には、公営斎場を選択することで追加費用を最低限に抑えることができます。
葬儀設備費用
葬儀設備費用は、式場の装飾、音響設備、遺影の準備などを含み、葬儀の予算に大きな影響を与えます。また、施設によって費用が異なるため、予算内に合わせた選択をすることが重要です。
複数の葬儀社に見積もりを依頼し、必要な設備を厳選することにより、コストを効果的に抑えつつ、故人を悼むにふさわしい雰囲気を維持することができます。
おもてなし費用
お通夜や葬儀の際の飲食費用は、参加者一人当たり約6,000円〜7,000円が相場ですが、家族葬ではこの伝統に固執する必要はありません。親しい人だけで行う家族葬では、食事を省略しコスト削減を図ることが可能です。
しかし、その場合でも参列者が空腹を感じないよう軽食を用意するなどの気配りが求められます。さらに葬儀後に家族や親族だけで食事に出かけるという選択をする方もいらっしゃいます。
このような柔軟な対応により、経済的な負担を軽減しながらも、故人を思いやる適切な方法を実現できます。
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