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お役立ちコラム

葬儀の一般的な流れとは?地域で異なるマナーも解説

公開日  更新日

「葬儀の流れがわからない……」「もし喪主を務めることになっても、うまくできるのかな」とお困りの方もいらっしゃるでしょう。
もしものときに慌てず冷静に行動するために、葬儀の流れは事前に把握しておきたいものです。

そこで本記事では、人には聞きづらい葬儀の基本的な流れを詳しく紹介します。
大切な方が亡くなったときに落ち着いて対応するためにも、ぜひご一読ください。

葬儀の基礎知識

葬儀とは、ご家族やご友人などが故人の冥福を祈り、死者を葬るための儀式のことです。
従来はご親戚やご友人だけでなく、会社の関係者などにも知らせて、盛大な葬儀を行うのが一般的でした。

しかし近年では、葬儀のかたちも多様化が進んでいます
たとえば、ご家族だけで葬儀を執り行う“家族葬”や、通夜は行わず、告別式と火葬を一日で実施する“一日葬”などがあります。
葬儀の主な種類と内容は以下の表にまとめましたので、ご確認ください。

葬儀の種類

葬儀

内容

一般葬

参列者を限定せず、故人と生前に親交のあった方を広く招く葬儀

家族葬

ご家族を中心に、故人のご友人や知人など、親しい方を参列者として招く葬儀

一日葬

通夜は行わず、告別式から火葬までを一日で執り行う葬儀

直葬

通夜や告別式は行わず、火葬のみを執り行う葬儀

社葬

企業に多大な功績を残した故人に対し、顕彰の意味を込めて、主に取引先や株主を招いて執り行う葬儀

区民葬・市民葬

各市町村が、行政サービスの一環として執り行う葬儀の制度

このように、葬儀といってもその種類はさまざまです。

また、一般葬や家族葬などによって負担する費用も異なります。
そのため、故人の意向をくみ取ったうえで、予算も考慮しながら適した葬儀を選ぶことが大切です。

葬儀の基本的な流れ

ここからは、身近な方が急逝した際にも焦らず対応できるよう、葬儀の流れを順番にお伝えします。

①臨終の手続き・連絡

故人が息を引き取った場所によって、その後の対応が異なります。

病院で亡くなった場合、その場で死亡診断書が発行されます。
その際、看護師が、亡くなった方の身だしなみを整える“エンゼルケア”を行うのが一般的です。

一方、自宅で亡くなった場合は、まず警察へ連絡しましょう。
検察官や監察医の検視によって死因が特定されると、監察医事務所および監察医より死体検案書が発行されます。
どうしたらよいのかわからない場合は、葬儀社に相談すると、その後の対応を教えてもらえます。

必要な対応が完了したら、ご家族やご親戚に連絡を取り、通夜と葬儀の打ち合わせを行いましょう。

末期(まつご)の水

故人が逝去したら、仏教の葬送儀式の一つである末期の水を行ってください。

末期の水は故人が渇きに苦しまず、安らかに旅立つことができるよう、逝去に立ち会った近親者が故人の口元を水で湿らせる儀式です。
地域によってタイミングは異なりますが、大阪の場合では、ご安置のあとや、ご納棺の際に執り行うことが多いようです。

末期の水の正しい手順は、以下を参考にしてください。

【末期の水を行う手順】(大阪の一般的な手順)

1.樒の葉を用意する

2.枕飾りにお供えしているお水に、樒の葉で少量の水を掬う

3.湿らせた樒の葉を故人が喉の乾きに苦しまないよう優しくなぞるように当てる

4.その場にいる全員が済まされたら、最後に弔意を表すお声かけをし、お口元を拭く

末期の水は、故人との血縁が濃い方から順番に行うと言われております。
まず故人の配偶者が行い、それから子ども、親、故人の兄弟や姉妹、故人の子の配偶者、孫、従兄弟・従姉妹、その他の親族となります。

ただし、その時の状況に応じて、順番を気にされ過ぎず行っていただいても構いません。

遺体安置

故人が逝去したあと、遺体は死後24時間が経過しないと火葬できないため、通夜・葬儀までのあいだは指定の場所に安置されます。
従来の安置場所は自宅が一般的でしたが、近年は通夜や葬儀を行う会場、火葬場などの施設を選択するケースも多くみられます。

病院で亡くなった場合、逝去から数時間以内で、霊安室からの搬送を求められることも少なくありません。
そのため、早急に葬儀社に連絡して、遺体安置室の確保や寝台車の手配を行いましょう。

②通夜・葬儀の打ち合わせ

遺体の安置が完了したら、次は通夜・葬儀の打ち合わせです。

ご家族のなかで誰が喪主を務めるのかといった点や、葬儀の形式や参列者の人数、おおよその予算なども含めて話し合いましょう。
葬儀社の到着前に、先んじて家族間で話し合っておくことで、その後の行程がスムーズに進みます。

ご家族と葬儀社を交えた打ち合わせでは、主に以下の項目を決めます。

【葬儀社との打ち合わせで決める項目】

・喪主

・葬儀の宗教と宗派

・葬儀の規模と形態

・葬儀のプランと費用

・葬儀の日時と場所

・葬祭用品

・通夜振る舞いや仕上げ料理(精進落とし)などの接待料理

・参列者への粗供養

上記の項目のほか、死亡届の手続きや供物の手配も、葬儀社に依頼することができます。
また、喪服はこの時点で忘れずに準備しておきましょう。

③通夜の準備

葬儀の日程が決まったら、通夜の準備へと移行します。
ここでは通夜の日程の告知や、粗供養・礼状の手配を行います。

通夜の告知

故人と関係が深い親族だけでなく、交流が少なかったご親戚やご友人などにも、葬儀場の所在地や通夜の日程を告知しましょう。

ただし、故人の遺志や遺族の意向で家族葬として執り行う場合、限られた方への訃報通知を行わないと想定と違った葬儀になる場合もありますので、ご注意ください。

訃報の連絡は電話やFAXが一般的でしたが、告知はLINEやメールで伝えることも多くなりました。

返礼品や会葬礼状の手配

通夜や葬儀の参列者には、粗供養や礼状を渡すのが礼儀とされています。

ほとんどの場合、粗供養や礼状は葬儀社が事前に準備してくれるため、遺族の方が特に用意する必要はありません。

粗供養には、通夜供養と当日供養の2種類があります。

香典拝受の場合、即日返しとして「香典返し」を準備される方もいらっしゃいます。

粗供養品は600~1,000円、香典返しは3,000~4,000円がおおよその相場となります。

粗供養品が余った場合は、葬儀社が返品対応を行ってくれることもあるため、事前の打ち合わせで、粗供養品の処理についてきちんと確認しておきましょう。

また、僧侶にお渡しする粗供養も忘れずに準備しておいてください。

僧侶に渡すお礼の品は、参列者に渡す粗供養と同じでかまいません。

④通夜

葬儀は基本的に2日間あり、1日目に通夜が執り行われます。

通夜は、遺族の方が夜通し故人を見守る儀式とされていましたが、近年のお通夜というのは夕方6時ごろから僧侶の読経が始まり、弔問客が焼香をして、親族は通夜振舞いをする流れを(このことを“半通夜”といいます)執り行うのが一般的です。時間にして1~3時間くらいになります。

近年では、親族はもちろん、ご友人や仕事の関係者など、故人と縁のあった方も参列するため、葬儀や告別式よりも参列者が多くなる傾向にあります。

通夜の進行は葬儀側のスタッフが取り仕切ってくれるので、遺族が特別何かを行う必要はありません。
とはいえ、通夜の流れは把握しておく必要があるので、役割や段取り、席次などを事前に確認しておきましょう。
基本的に、通夜は以下の流れで執り行われます。

【通夜の流れ】

1.受付

2.通夜開始

3.読経や焼香

4.喪主の挨拶(通夜に一般の弔問が多い場合)

5.通夜振る舞い

6.終了

上記はあくまでも大まかな流れで、地域によっては細部が異なる場合もあるので、葬儀社の担当者と入念に打ち合わせておく必要があります。

通夜振る舞い

通夜振る舞いとは、通夜のあとに行われる会食のことです。
参列者にはもちろん、僧侶や通夜を手伝ってくださった方々に、通夜振る舞いとして料理やお酒を提供します。

また、通夜振る舞いに呼ぶ方は、遺族の意向で決めることができます。
地域の慣習もあるので、会食を行う前に葬儀社や親族の方などに相談しておくと安心です。

なお関西では、参列者は通夜を済ませたあと、そのまま帰宅するのが一般的です。
会食はご親戚や親しい知人のみと限定しているケースが多く、関東のように一般弔問者に通夜振る舞いを行うことはほとんどありません。

⑤葬儀の準備

通夜の準備と並行して、葬儀の準備も進めることとなります。
その際にチェックしておきたい項目は、以下の通りです。

【葬儀前の準備のチェックリスト】

・葬儀・告別式の席次と焼香の順番

・弔辞の依頼

・弔電の選択

・会葬のお礼の挨拶を行う方の決定

・礼状の数

・火葬場に向かう車両の手配

・僧侶へのお礼

・精進落としの手配

・精進落としで挨拶や献杯を行う方の決定

・香典を預かる方の決定

これらの項目をもとに準備を進めておくと、慌てることなく葬儀当日を迎えられるでしょう。

僧侶へのお礼の相場

僧侶へ渡すお布施の全国的な相場は、およそ20万~50万円で、このなかには通夜や告別式、初七日法要までの費用が含まれています。

通夜を行わない一日葬では10万~20万円、火葬のみを行う直葬では5万~15万円が相場です。

なお、相場は地域や宗旨、菩提寺か否かによっても異なり、たとえば関西地方では20万~30万円が相場とされています。

戒名の階級によっては、100万円以上になることもあるため、こちらの相場が絶対というわけではありません。

戒名は遺族が決められるものではなく、菩提寺の僧侶につけてもらうのがルールです。

故人の生前の社会的地位や、お寺への貢献度に応じて4つのランクに分けられ、位が高くなるにつれてお布施も上がるのが一般的です。

心付けの相場

 

心付けとは、葬儀を手伝ってくれたご親戚やご友人、葬儀社に対し、お礼として渡すお金のことです。

心付けは渡す人数が多いため、一人に対し2,000~5,000円が相場とされています。

ただし、心付けは義務ではありません。

葬儀社によっては、心付けの受け取りを規定で禁止しており、解雇や懲罰の対象になるケースがあります。

反対に、心付けの費用をあらかじめ見積書に計上している葬儀社も存在します。

このとおり、心付けに関しては葬儀社によって対応が異なるので、それぞれのルールに合わせてください。

ちなみに関西では、火葬場職員に対する心付けの習慣は禁止されております。

 

⑥葬儀・告別式

 

葬儀・告別式は、故人と最後のお別れを行う重要な儀式となります。

遺族は、葬儀のおよそ1時間前には会場に到着しておき、葬儀社の担当者と詳細な段取りを確認しましょう。

出棺の時間に合わせて開式し、開式の辞ののち、僧侶が読経を行います。

読経時間は宗旨、宗派によって異なりますが、およそ30~60分ほどが一般的です。

そのあとは、会葬者による弔辞・弔電の紹介へと移ります。

弔辞は故人に贈るお別れの言葉で、関係の深かった方が読みます。

また、弔電は故人に弔いの気持ちを伝える電報のことです。

弔辞・弔電が終了すると、再び読経が始まり、遺族から親族、参列者の順番で焼香を行います。

焼香の作法や回数は宗派によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

読経後は、司会者が閉式の辞を述べて葬儀、告別式は終了、ここから最後のお別れの儀へと移ります。

最後のご拝顔となり、生花や副葬品などを棺に納めます。

上記はあくまでも一般的な葬儀、告別式の流れです。

 

⑦火葬

 

お別れの儀が終了したあとに出棺を行い、火葬場へ到着したら係員へ火葬許可証を渡し、火葬を行います。

火葬にかかる時間はおよそ1時間半で、そのあいだは関西では近隣の料理屋などで仕上げ料理(精進落とし)をいただきながら収骨まで待機することとなります。

火葬が終了したら、次はお骨上げです。

お骨上げとは、遺骨を箸で拾い上げ、骨壺へ納めることを指します。

遺骨は足から腕、腰、背骨、肋骨、歯、頭蓋骨、喉仏の順番で納めるのがルールです。

その理由は、こちらの順番で骨壺に納めることで、生前と同じ状態で安置できるためです。

また、関西と関東では収骨の習慣が異なります。

関西では、足元からお頭までの主要な遺骨だけを拾う部分収骨が一般的です。

一方、関東の場合は、故人の遺骨をすべて拾い上げます。

ただしあくまでも習慣ですので、関西の方がすべて収骨してはいけないということではありません。

地域によって習慣が異なるので、不明点があればその都度、葬儀社スタッフに確認しましょう。

 

⑧還骨法要・初七日法要

 

還骨法要とは、火葬のあとすぐに埋葬するのではなく、自宅や葬儀会館にご遺骨を運び入れてご安置し、ご遺骨になられたことに対して法要を行うものです。

この流れに続いて「初七日法要」も執り行うことが一般的です。

基本的に、四十九日を迎えるまでは葬儀社が自宅用に作った後飾り祭壇に、ご遺骨や位牌、遺影を安置します。

⑨精進落とし

 

関東やその他多くの地域では、火葬が終了したあと、僧侶やお世話になった方々を招いて、精進落としを行うこととなります。

精進落としはもともと、遺族が肉や魚を絶ち、四十九日を区切りとして通常の食事へと戻る儀式でした。

現代の精進落としでは、火葬後(関西では、火葬のあいだ)に会食や宴席を設けて、葬儀が無事に完了したことへの感謝を述べ、僧侶や参列者をもてなします。

その際、遺族は下座に座り、僧侶が最上座に座るのがマナーです。

精進落としの会食で用意する料理には、お祝い事で使われる食材は使用しないように気をつけましょう。

たとえば伊勢海老や鯛などの食材や、紅白を連想させるメニューは避けてください。

なお、僧侶の方に予定があり、精進落としに参加できない場合は、お布施として御膳料を包みましょう。御膳料の相場は、5,000~1万円程度です。

⑩散会・帰宅

 

関西では初七日法要が終了すると葬儀は散会となり、参列者は帰宅します。

喪主は最後に散会の挨拶を行い、僧侶や参列者に感謝の気持ちを述べましょう。

なお、葬儀が終了しても関係者へのお礼や、さまざまな事務手続きを行う必要があります。

期限が設定されていたり、手順が難しかったりするものもあるため、早めの行動を心がけ、抜け漏れがないようきちんと確認することが重要です。

葬儀が終了した直後に行う事務処理に関しては、次項で解説します。

 

⑪葬儀後の事務処理

葬儀が無事に終了したら、最後に香典の受け取りや領収書の整理などの事務処理を行います。

以下で、葬儀後の事務処理の内容をご確認ください。

葬儀後の事務処理

  • 会葬者名簿の受け取り(当日)
  • 香典と香典帳の受け取り(当日)
  • 領収書の整理(当日)
  • 葬儀社への支払い(葬儀社の規程による)
  • 寺院へのお礼(当日か遅くても翌日)
  • 香典返しや忌明けの挨拶(忌明け頃)

一般的な葬儀の例にはなりますが、このように、当日から翌日にかけて行う事務処理は、一つではありません。

これらの事務処理は、遅くとも翌日までに行わなければならないので、同時進行で進めるといった、早めの行動が大切です。

また、葬儀後のお金に関するトラブルを防ぐためにも、納品書や領収書などを整理し、出納帳と照らし合わせて未払い額の確認も行いましょう。

また近年、家族葬が主流となっていますので、故人がお住まいの町会や自治会、参加されていらっしゃった団体などへも早めにお知らせされることをおすすめします。

葬儀の流れや作法は地域によって異なるため、事前に確認しておくことが大切

 

今回は、葬儀の基本的な流れを解説しました。

大切な方が亡くなった悲しみを抱えながら喪主を務めるのは、非常に大変です。

また、複数の作業を同時に進める必要があるため、葬儀に不慣れな方は混乱してしまうかもしれません。

しかし、本記事で紹介した葬儀の流れを踏まえて、必要に応じて葬儀社の担当者に不明点を聞けば、問題なく進められるでしょう。

葬儀に関して不安を抱えている方は、かわかみ葬祭にお問い合わせください。

24時間365日の無料相談で、スタッフが不明点に対して丁寧にお答えし、お客様の不安を解消します。

ご来店での相談も承っているため、実際の葬儀の雰囲気なども、事前にご確認いただけます。

監修者

川上 知紀

株式会社川上葬祭 代表取締役

<略歴>

創業明治10年の老舗葬儀社、川上葬祭の5代目
関西大学卒業後、テニスコーチとして就職。その後、家業である川上葬祭へ入社。
代表に就任以降、業界の異端児として旧態依然の業界改革に着手。その経営手法から葬儀社向け経営コンサルティングや、業界向けセミナー講演活動、一般消費者向けの「無料お葬式講座」を講師として17年以上、現在もなお続けている。

<主な著書>

あなたのお葬式

葬儀社だから言えるお葬式の話

(共に日経新聞社出版より刊行)

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