いざ葬儀の受付を頼まれたとき、どんな準備が必要で、具体的に何をすればよいのかわからず、戸惑う方も多いのではないでしょうか。
葬儀における受付係は、弔問客(会葬者)を迎える役割で、故人のご家族の代理ともいえる重要な仕事です。
本記事では、葬儀の受付を依頼されたときに慌てないよう、受付係のマナーや当日の流れを具体的に説明します。
安心して葬儀の受付に臨みたい方は、ぜひこの記事をご参照ください。
葬儀の受付係とは
葬儀の受付係とは、喪主や家族の名代(みょうだい)として、弔問客を迎え入れる役割です。
主な内容としては、弔問客(会葬者)への挨拶と記帳のお願い、香典の受け取りなどが挙げられます。
故人を偲びに訪問してくださる方を、初めに迎え入れるので、とても重要な立場です。
そんな重要な役割を担う受付担当者は、喪主やご家族から指名を受けた方が任されます。
たとえば、家族葬のような小規模の葬儀では、故人の孫やいとこが選ばれ、一般葬をはじめとする大規模な葬儀では、会社関係者やご近所の方(町会関係者)が選ばれる傾向にあります。
受付係を依頼されたら、代表者としての責任感をもって、弔問(ご会葬)される方々に向き合う気持ちで対応しましょう。
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受付係のマナー
受付係が失礼な態度やマナーに反した行動をとってしまうと、ご家族の評判を落としてしまう事態になりかねません。
そのような事態を避けるためにも、以下で紹介するマナーをきちんと守りましょう。
マナー①挨拶
弔問客(会葬者)に挨拶する際は、口調やトーンに気をつけて、相手に不快な気持ちを抱かせないように心がけましょう。
相手が安心できるような、穏やかで静かなトーンで話すことが望ましいです。
マナー②言葉遣い
弔問客(会葬者)の方々に接する際は、言葉遣いにも気を配りたいものです。
たとえば、葬儀に参列いただいた方に記帳を促す際には「こちらにご記帳いただけますでしょうか」と正しい日本語で、丁寧に伝えることが大切です。
なお、葬儀の場においては、不幸が続くのを連想させる、重ね言葉の使用を避けなければなりません。
“重ね重ね”、“たびたび”、“くれぐれも”などの言葉は、受付の際には使わないように注意しましょう。
マナー③服装
受付係は多くの参列者に対応するため、身だしなみの配慮も必要です。
ご家族に恥をかかせないよう、相手を不快にさせない清潔な装いを心がけましょう。
男女別の服装マナーを以下の表にまとめたので、参考にしてみてください。
【男性・女性別の服装のマナー】
男性 | 女性 | |
服 | ・喪服を着用(ジャケットはダブル・シングルのどちらでも可)
・白い無地のシャツ ・光沢のない黒い無地のネクタイ | ・黒のワンピース、アンサンブル、ツーピース、和装(光沢のある素材や、柄のあるものは避ける)
・膝下丈以上の長めのスカート |
靴 | ・黒色の革靴(エナメル素材は避ける) | ・黒色のパンプス(エナメル素材は避ける)
・ヒールの高くないもの |
靴下・ストッキング | ・黒の無地 | ・光沢のない薄手のストッキング |
アクセサリー | ・結婚指輪以外は外す
・ネクタイピンはつけない | ・真珠のネックレスやイヤリング、結婚指輪以外は外す(二連は不幸が重なるとして縁起が悪いので、一連にする) |
髪型・メイク | ・シンプルに清潔感を意識する | ・髪が長い場合は結び、短い場合はピンで留める
・メイクやネイルは控え目にする |
男女ともに、光沢のあるものは避けて、落ち着いた印象を意識しましょう。
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葬儀の受付の流れ
いざ葬儀が始まると、弔問客(会葬者)の対応を行うこととなります。
慌てずに、常に落ち着いた対応を心がけましょう。
ここからは、実際の受付の流れを説明するので、ご参照ください。
①挨拶する
弔問客(会葬者)が受付に来たら、ご家族の代表として「本日はお忙しいなかをお越しいただきまして、誠にありがとうございます」と、感謝の気持ちを丁寧に伝えましょう。
天気が悪い日には「本日はお足元が悪いなか、お越しいただきありがとうございます」と、労いの言葉を添えるとより丁寧になります。
また、弔問客(会葬者)が故人の親族である場合には「この度はお悔やみ申し上げます」と言い添えます。
②香典を受け取る
挨拶のあとは「お預かりいたします」と、一言を添えて香典を受け取ります。
その際は、両手で受け取ることを意識し、受け取ったあとは一礼を忘れないようにしてください。
まれに、ご家族が香典を辞退していても、香典を持参する方もいらっしゃいます。
その際には「申し訳ありません。ご遺族の意思によりご香典は辞退申し上げております。お気持ちだけありがたく頂戴いたします」と丁重にお断りしましょう。
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③芳名帳への記帳を促す
香典を受け取ったら、参列いただいた方のお名前と住所を記帳してもらう冊子、芳名帳(ほうめいちょう)への記帳を促します。
記帳いただく際には「恐れ入りますが、こちらにご住所とお名前をご記入ください」と丁寧にお伝えしましょう。
芳名帳には、参列者の名前や人数を記録する役割のほかに、参列者の名前の正しい表記の確認時や、香典の集計時のチェックリストとしての重要な役割もあります。
なかには、名前だけしか記帳しない方もいらっしゃるので、住所まで記帳いただけるように促すことが大切です。
ちなみに、記帳の代わりに「名刺」をいただく場合もあります。芳名帳に名刺が挟めるものもありますので、詳しくは葬儀社へお尋ねください。
④返礼品を渡す
香典の受け取りと芳名帳への記帳が済んだタイミングで、返礼品をお渡しする場合もありますが、大阪では一般的にお焼香の際、もしくはお帰りの際に、参列いただいたお礼として、葬儀社スタッフが「粗供養」をお渡しする場合が多いです。
ただし、「即日返し」としてお香典への返礼をその場でする場合もあります。
その際は「ありがとうございます」と、お礼を添えて渡すことを意識しましょう。
香典の受け取りと同じく、返礼品を渡す際は必ず両手で渡すことを心がけてください。
弔問客(会葬者)が増えてくると受付に並ぶ列が長くなり、焦りが生じて一人ひとりへの対応がおろそかになりがちです。
片手で渡す行為は、相手にとって大変失礼にあたるため、焦らずに丁寧な対応を常に意識しなければなりません。
⑤会場に案内する
記帳を済まされたら、会場への入り口を示して「葬儀式場はあちらです」と弔問客(会葬者)を案内します。
高齢の方や、サポートが必要な方もいるので、様子を見つつ、必要であれば入り口まで付き添いましょう。
会場にクロークがある場合には、コートや荷物を預かり、引換札を渡します。
また、葬儀の開始時間よりも早く来られた方に対して、休憩所を案内することもあります。
その際には、葬儀の開始時間をお知らせしておくと、より親切です。
このような受付での対応は事前に葬儀社スタッフと打合せをしておきましょう。
⑥香典を会計係に渡す
一般葬のような大規模の葬儀では、香典を管理する“会計係”もいます。
その際は、受付係は弔問客から受け取った香典を会計係に渡します。
家族葬などの小規模な葬儀では、受付係が会計も兼任するケースが多いため、その場合には会計係の仕事内容も把握しておかなくてはなりません。
以下に、会計係の仕事をまとめたので、お役立てください。
【会計係の仕事】
- ・香典袋に記載された名前・住所・金額を会計帳に記録する
- ・会計帳の金額を集計する
- ・会計帳と実際の金額を照合する
- ・現金・会計帳・香典袋をご家族に渡す
受付係と会計係の兼任は大変ではあるものの、香典の受け取りから集計までをスムーズに対応できるのはメリットです。
焦らずに落ち着いて、ミスのない対応を心がけてください。
特に大阪では「香典辞退」が主流となっているので、香典拝受の際は、十分に気を付けて対応することが大切です。
受付係に必要な事前の準備
受付係には、静謐な空間のなかでの、正確で丁寧な対応が求められます。
故人にお別れを伝える、大切な儀式を滞りなく進行させるためにも、事前に抜かりなく準備しておくことが大切です。
準備①葬儀の時間を把握する
葬儀の進行スケジュールを把握しておくことは、受付係にとって重要な仕事です。
受付係は葬儀当日に遅れないように、葬儀開始の1時間前には会場入りしておくのをおすすめします。
そして、喪主や葬儀社のスタッフからタイムスケジュールを聞き、当日の流れを頭に入れておいてください。
弔問客(会葬者)から、葬儀の進行について聞かれるケースも多いでしょう。
そのときに慌てず対応できるように、喪主や葬儀社とコミュニケーションをとり、万全な準備を整えておきましょう。
【関連記事】いざというときに慌てない!葬式の流れを徹底解説
準備②会場を確認する
受付係は、会場のレイアウトを把握しておくことも欠かせません。
一般的に、会場内の席は正面に祭壇、右手中央が喪主とご家族、左側に友人・知人といった並びになります。
また、トイレや駐車場の場所については弔問客(会葬者)に聞かれる可能性が高いため、覚えておく必要があります。
くわえて、会場周辺のコンビニエンスストアや、コインパーキングの情報も把握しておけば、より確実でしょう。
準備③受付台に必要なものを確認する
受付台に必要なものが揃っているかを、事前に確認しておくことも大切です。
主に必要なものを、以下にリストとしてまとめたので、参考にしてみてください。
【受付に必要な備品】
- ・芳名帳
- ・香典受け
- ・名刺受け
- ・筆記用具
- ・返礼品
- ・メモ帳
基本的には、受付に必要な備品は、葬儀社がひと通り揃えてくれるため、受付係が自分で準備する必要はありません。
足りないものがある場合は、事前に葬儀社のスタッフに確認しておくと、あとから困らずに済みます。
準備④葬儀の受付係が不在になる状況を想定しておく
受付係が葬儀に参列する場合は、葬儀中に受付が無人になる状況が発生します。
受付では香典を預かっていることもあるため、受付不在の状況を作ることは、防犯上の観点から避けなければなりません。
また、遅れてきた弔問客(会葬者)の対応もできなくなってしまいます。
そのために、あらかじめ葬儀社のスタッフに相談して、一時的にスタッフが代理で受付係を担当する、別の受付係と交代でお焼香へ行く、など、ご自身が席を外す際の対応を取り決めておくと安心です。
葬儀の受付のやり方をしっかりと把握し、責任をもって受付係の仕事に臨みましょう
今回は、葬儀の受付係として大切なマナーと、当日の流れなどを詳しくお伝えしました。
受付係は、代表者として、丁寧な言葉遣いや対応を心がけることが大切です。
仕事内容は、弔問客(会葬者)への挨拶や芳名帳への記帳依頼、香典の預かり、返礼品の手渡しなど、多岐に渡ります。
この記事を参考に、葬儀の受付係に対する不安を解消して、安心して葬儀に臨んでいただけると幸いです。
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